第百七話 目の前
ジョウ博士の抹殺と技術奪取を狙い、単身ラボ内部へと侵入を果たしたヘマ総帥。
彼が解き放った強力なアンドロイド兵の前にアリスは傷つき、弾切れという最悪の危機に陥ってしまう。
満身創痍で倒れ込み、迫り来る爆発の恐怖と死を覚悟するアリス。
その時、格納庫でモニターを見つめていたリスタが「あるもの」を目にし、通信スピーカー越しにアリスの名を叫ぶ!
残された時間がない中、リスタが起こした起死回生の行動とは何なのか?
そして、ラボ周辺の無人機を撃滅して駆けつけるユウは、果たして仲間たちの危機に間に合うのか――!?
ウイーン……ガシャ、ガシャ……
ロボット兵が徐々に近づいてくる。
ついにアリスの場所まであと数歩に迫った。
「アリスーー!!!」
通信スピーカーがオンになり、フロア内にリスタの声が響く。
!?
グイーン……!
「あ!」
アリスはロボット兵の後ろから、ライフル銃が飛んでくるのが見えた。
(ま、まさか!リスタがフォースで!?)
「ナイス、リスタ!」
パシ!スチャ……
アリスはライフルをキャッチして、ロボット兵へ放つ。
バシューーン!!
ズバン!!
バチバチバチ!!
ロボット兵の右半身を貫いた。
かなりの損傷だが、アリスへの歩みをやめない。
バシューーン!!
ズバン!!
今度は左腕に命中。
しかし、ついにアリスの目の前までやってくる。
「く……ここまでね。ここで爆発されたらもうわたしは耐えられない。」
ピピピピピ……
それは、いかにも爆発寸前の音だった。
「アリス!逃げてーー!!」
リスタは通信スピーカーで泣きながら叫ぶ。
(ごめん、本当にもうダメみたい。後は頼んだよ、ユウ。)
アリスは目を閉じて、下を向いた。
その時。
ダダダダ……ドゴン!!!
目の前で鈍い音がした。
アリスはハッと顔を上げる。
すると、そこには、宙を舞うユウの姿があった。
ユウは、ロボット兵を飛び蹴りして、吹き飛ばしていた。
ギュイーーン……バゴンー!!!
反対側の壁までとてつもない速度で突っ込み、壁にめり込んでいる。
スタン……
ユウは着地して、アリスを抱き抱える。
「ごめんアリス!待たせた!」
ドン!
ユウはマザーからロボット兵が爆発することをきいており、アリスを抱えてすぐにフロアから脱出した。
「り、リスタ、リスタもいるの……」
アリスは意識が朦朧としながら言う。
「大丈夫!格納庫の強度なら全く問題無いってマザーが教えてくれたんだ!」
シュパ!!
フロアから脱出した。その時。
ピピピッ……ドゴーン!!!!
フロア内で大爆発が起こった。
ズザザザザ!
ユウはアリスを抱えて、間一髪で着地。
「ふう……さすがにあれをもらうとまずかったかな。ん?アリス?アリス!」
「大丈夫です。アリスは気を失っているだけです。生命維持装置を起動しているので、問題ありません。」
ユウはフロアに戻り、格納庫のリスタと合流した。そこには、泣きじゃくるリスタがいた。
「ユウ!アリス!」
リスタが駆け寄ってきて抱きついてくる。
アリスをそっと床に寝かせた。
すると、マザーから格納庫内にスピーカーで通信が入る。
「ヘマ総帥が、フォースを使ってジョウ博士のもとへ向かっています。ユウ、早く向かって阻止してください。
アリスとリスタはこの格納庫で保護します。」
「わかった!マザー、たのんだよ!よし、じゃあ、ヘマ総帥を倒しに行ってくるね!」
「ユウ!む、無理はしないでね!」
「大丈夫!アークと会ってから、なんとなくだけど、感覚が変わったんだ。ヘマ総帥には、多分ギリギリ勝てる……そんな気がするんだ。」
そういって、格納庫から出たユウは、マザーの指示でヘマ総帥の元へ向かう。
(やっぱりだ。マザーが指示する方向……俺が感じている感じと一緒だ。)
ダダダダ……
ものすごい速度で走る。
◆
ウイーン……
フロアのドアが開く。
「ほう……ここは、メイン研究室みたいなところか?かなり広いな。
独立したホログラムの数。
凄まじい技術だ。これなら、母上を連れて、銀河の果てまで行けそうだ。
さて……ふ……ジョウ博士はその奥か。感じるぞ?
だが、そこは頑丈なのだろう?
なーに……このライトソードがあれば、こんな壁、時期に破壊できる。」
ブォン……
手元の筒状の持ち手からビーム状のソードが伸びて出てきた。
ヘマ総帥のライトソード、光は赤黒いライトソードだった。
「よし、この壁に突き刺すとするか……むん!」
「待て!!」
「ん??」
ヘマ総帥は振り向いた。
「ほう……もう追いついたのか、なかなか早かったじゃないか。で?これからどうするというのだね?」
ユウはゆっくり歩く。
「ヘマ総帥、もうやめよう。」
「は?ここまできてやめようなどと、なんの事情も知らんガキの意見に、わたしが止まるとでも?」
「なんでここまでする。そんなに一番になりたいのか?支配することが、そんなに楽しいのか?」
ヘマ総帥は、少し笑う。
「浅いな……お前たちには、わたしがそんな浅い理由でここまできたと思ったのか?
まあ、そう見えるだろうなあ。だが、そんな浅い理由ではない。
支配などどうでもいい。
ただ、この技術がわたしには必要なのだ。」
「………………もう、やめよう、ヘマ総帥。」
「まだ戯言を……ん!?なんだその顔は……わたしを憐れむのか?……そうか……お前、フォースに精通しているのか?
わたしの心を少し察したのか……」
「わからない……ただ、なんとなくだ。戦いも、被害も、無駄だと思ったんだ。」
「だが、もう私は止められん。私の願いを叶えられるのは、この方法しかないからだ!
邪魔するなら、ここでお前を消す!」
ドドドド……
ヘマ総帥はユウへ走ってきた。
(く、くそう!やっぱり戦うのか!俺は、この人と戦いたくない!!)
第百七話 完
第百七話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
リスタの念動力によるライフル投擲、そして間一髪で飛び込みアリスを救い出したユウ!手に汗握る大迫力の救出劇でしたね!
しかし、メイン研究室で追い詰めたヘマ総帥の口から語られたのは、単なる征服欲ではなく「母上を連れて銀河の果てまで行きたい」という哀しき執念と目的……。
フォースを通じて相手の心の痛みを感じ取り、戦いを躊躇するユウ。それでも己の願いのために赤黒いライトソードを構えて襲いかかるヘマ総帥!
対話の余地なき宿命の直接対決、勝利を手にするのはどちらなのか――!?
怒濤の展開が待つ第百八話も、どうぞご期待ください!
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