第百六話 抜け駆け
防衛ラインを突破され、膨大な数のロボット兵が直接雪崩れ込んできたアースラボ。
ただ一人で待ち構えるアリスは、「高性能人型エージェント」としての圧倒的な身体能力を解放し、襲い来るロボット兵を次々と撃破していく。
しかし、敵の狙いはアリスを削る自爆覚悟の特攻ロボット兵、そして侵入ルートの確保だった。
一方、ユウが対峙していたヘマ総帥の「ダークサイダー」も、通信の途絶や不自然な挙動を見せ始め、ユウは機体が無人である可能性を疑い始める。
アリスの疲弊がピークに達し、ラボの監視モニターが謎の侵入者を捉える中、はたしてラボとセブンスターの命運はどうなってしまうのか!?
「やっぱりそうだ!誰もいない!なら!」
ギュイン!ガシャ。
アルティメットブレイヴのウイングが全て敵機を向く。
キュイーン……バシューーン!!!!
全てのウイングの先の砲口からビームが放たれ、敵機を爆発させる。
「思った通り、誰も乗ってなかった!ということは……まさか!ラボへ向かったのか!?
まずい!みんなが!」
ユウはアルティメットブレイヴを急加速させてラボへ向かった。
◆
ズドーーン!!
「ああ!」
ドガ……
9体目も爆発し、アリスは爆風により吹き飛ばされる。
かなり消耗しており、息も上がっていた。
「アリス!!もう逃げよう!」
「大丈夫よリスタ……まだまだここからよ。」
「な、なんという……エージェントとは、ここまで強いのか……」
そこに、一体のロボット兵が入ってくる。
かなりスマートで、動きも滑らか。
明らかに他のロボット兵とは違う。
「もうゴリ押しは無いの?今度は質で勝負といったところかしら。」
シャキン。
ロボット兵がトンファーのようなもので構える。
アリスも立ち上がり、構える。
ビ!ビビ!
アリスがビームライフルを連射して攻撃。
スカ!スカ!バチン!
ロボット兵は避けたり弾いたりしながらアリスへ向かってくる。
アリスの目の前にくると、トンファーを振り回してアリスへ攻撃を乗り出す。
スカ!
「あまいわ!」
アリスは反転して蹴りを繰り出す。しかし、ロボット兵は少しよろけるがすぐに攻撃を繰り出す。
スカ!
またもやアリスは間一髪で避け、今度は関節技を繰り出して地面に叩きつける。
ドガン!!!!
クルクル……
ロボット兵は地面を転がり間合いをとってすぐに立ち上がる。
「なんて頑丈なのかしら。まあまあ強めにいったとおもったのに。」
ドン!
ロボット兵はまた急加速してアリスへ向かってくる。
この攻防がしばらく続いた。
先ほどと同じく、アリスが避け、攻撃を叩き込む。これをもう何度も何度も繰り返していた。
しかし、ロボット兵は確実に動きが鈍くなっており、ガタが来始めた様子だった。
「はあ、はあ……タフね。」
アリスは肩で息をするようになり、いよいよ体力も限界に近づいていた。
そこに、ある人物がやってくる。
バ!
!?
「あ、あなたは!?」
「おや?ここは、ジョウ博士がいるところじゃないのかね?」
アリスの顔が曇る。
(しまった、2対1……圧倒的に不利。どうする……)
「ふ……2人がかりで君に向かっていくとでも?
あいにくだが、この兵士一体で充分やれているみたいだから、わたしは先を急ぐ。
ジョウ博士の場所を探らねばな。」
(な!?ジョウ博士を狙ってる!まさか、こいつがヘマ総帥!?)
「そうだ、君の反応、わかりやすかったよ。わたしがヘマ総帥だ。では、失礼するよ。」
「ま、まて!!」
ジャキ!
そこにロボット兵が立ちはだかる。
(く!……足止めされたら、博士が危ない!)
◆
スタン……
「ありがとう、ラムコピー、アルティメットブレイヴはオートでこのラボ周辺を守るように動いてもらう。ここからは、ラボ内の案内を頼むよ!」
「承知しました。」
「ユウ、わたしもいます。ヘマ総帥はもうラボの中です。」
「マザー!ありがとう!」
(早くいかなくちゃ!みんな、無事でいてくれ!)
◆
ドガ!
「う!ああ!」
ドガン!
アリスは壁に叩きつけられた。
ウイーン……バチバチバチ。
ロボット兵は関節から火花が散っていた。
アリスとの攻防により、ロボット兵の動きはぎこちなくなっている。
同時に、アリスも回避はするものの、次第に相手の攻撃が当たるようになり、少しずつダメージが蓄積されていた。
「はぁ、はぁ……も、もうそろそろ限界かも……なんてタフさなの……明らかに旧式のアンドロイドのはずなのに……戦闘能力は高い……」
ズドドドーーーン!!
ロボット兵はガトリングでアリスを狙う。
「く!」
間一髪でアリスは全て避ける。
ズザザザザー!
地面に倒れ込み、顔を上げる。
ドスドスドス!
ロボット兵がぎこちなくではあるが、走ってくる。
アリスももうボロボロであり、後一撃でも攻撃をもらえば致命傷になる。
スチャ!
「残念!この一撃で終わりね!」
アリスはレーザーライフルで頭部に狙いを定める。
「くらえ!」
ピッ!
ライフルの引き金を引いた!
カチャ……。
「え!?うそ!?そんな……」
カチャ、カチャ……
レーザーは出なかった。
すると目の前にロボット兵が現れる。
(だめ!間に合わない!!)
ドガ!!
「うああ!!」
アリスはガードしたが、ガードごと横へ飛ばされて、壁まで吹き飛んだ。
ドガン!!
ドサ……
「あ、アリスー!!!」
リスタは格納庫から、泣きながらアリスを呼んだ。しかし、アリスは起き上がれない。
クル……ドスドスドス……。
ロボット兵がまた走ってくる。
「だ、ダメ!!アリス!アリスが!」
アリスは地面に横たわりながら目を開ける。
すると、ロボット兵が走ってくるのが見えた。
その後ろのミラーに、リスタの格納庫が見える。
アリスは目の前にホログラムスコープをしていたため、リスタがミラー越しにも見えていた。
(リスタ……そこにいれば、バレることはない……生き延びて……)
リスタがミラー越しにガラスを叩いている姿が見える。
(わたしのために……リスタ……シャク……ああ、ユウ……ごめんね。)
ドスドス……
ロボット兵からも火花がかなり出始めたため、走ることはもうできなかった。徐々にスローで近づいている。
「アリス!どうしよう!わたしにできること!ダメ、ここからじゃビームを撃っても、アリスに当たる可能性がある……どうすれば……」
リスタはその時あるものが目に入る。
「こ、これだ!!」
格納庫から、スピーカーがオンになる。
「アリスーーー!!!」
ピク。
アリスは目を開けて、力を振り絞り上半身だけ起こした。
「り、リスタ!?……あ!!」
第百六話 完
第百六話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
囮の「ダークサイダー」を一瞬で撃破し、急いで戻るユウ!
そして、満身創痍になりながらも圧倒的なアンドロイド兵と戦い抜き、ジョウ博士を狙うヘマ総帥の侵入を許してしまうアリスの絶体絶命の危機……。
残薬切れという最悪のタイミングで追い詰められたアリスに対し、格納庫で「あるもの」を見つけたリスタの絶叫!
リスタが見つけた起死回生の一手とは!?そして急行するユウは間に合うのか!?
息をのむ展開が続く第百七話も、どうぞご期待ください!
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