第百三話 予想外の奇襲
ついにサイド7とサイド6で同時に始まったヘマ総帥の侵攻。
都市の広域バリアと防衛ロボットが稼働し、サイド6では最新鋭機「アルティメットシールド」を駆るシャクが圧倒的な機動力で敵機を撃墜していく。
ラボに残されたアリスとリスタも専用の戦闘ジャケットを身に纏い、大切な人々を守るため固い決意を交わしていた。
都市周辺の迎撃システムで敵を退けていたと思われた矢先、アラートの警告音とともにモニターに映し出されたのは、ヘマ総帥の「ダークホープ」とは異なる漆黒の異形機体――。
波乱の予感が走る中、セブンスターの命運を賭けた更なる激闘の幕が上がる!
「なんだあれは!?」
黒い機体がサイド7の都市方面へ進んでいく。
「フハハハ、これが新型!ダークサイダーだ!」
ヘマ総帥は複数の弾丸ミサイルを一斉射撃して都市に放つ。
護衛用の機体はみるみるうちに破壊されていく。
「いけない!このままでは敵の兵士が都市のバリア内へ侵入する!」
「バリア機能が破壊されたら、一気に都市が蹂躙されてしまう!」
ラボにも緊張が走る。
ビー!ビー!
「緊急連絡!複数の機体がこちらに接近しています!」
「なに!?こちらの場所がわかったのか!?」
マザーより通信が入る。
「こちらも、外へ機体を送ります。早めに撃墜できるように対処します。」
向かってきている機体の数は数百。
サイド1から5まで制圧したヘマ総帥は、この戦いにかけていた。
随分前から機体の生産と量産を始めており、隠していたのだった。
◆
「くくく……人工知能があることくらいは把握済みだ。パーツ開発だけ量産して、後は原始的なマニュアル作業で組み立てる。
そうすれば、隠し場所もわかるまい。
人工知能の入り込めないエリアを作り、そこに流し込む。単純なことだ。」
ヘマ総帥は終始ニヤついていた。
「この前の女はおそらくサイド6へ向かっただろう。そうするしかないからだ!
だからこそ、この手薄なサイド7を狙う!
我々の技術が低いことを前提で、サイド7は後回しと予想していただろうが、残念だったな!
サイド6はもはやどうでもいい!
このサイド7さえ落とせば、セブンスターは堕としたようなものだ!」
ヘマ総帥の作戦は、人工知能の推測を踏まえた上での作成だった。
「このセブンスターの統一後は、移動式の星を作り、銀河の果てに向かう……やつらの手の届かないところへ行かなくては……」
ヘマ総帥にも計画があった。
銀河を支配しようとするダークナイトの手から逃れるために、計画的に脱出することだった。
永続的に生きていくためには、ある程度の母船が必要。
その技術を手に入れて、銀河の彼方へ消える予定とのことだった。
(待っていろ、母上……この戦いが終われば、必ず迎えに!そのためなら、俺は鬼にもなろう!)
ズガガガガ!!
サイド7の機体が次々に堕ちていく。
サイド7内。
「う、このままでは、機体の数が持たない!」
「伝令!陸から兵士がこちらへ迫ってきています!エアスクーターで接近中!」
「なに!?これはまずい!早く護衛ロボットを配置させるんだ!」
都市の指示は、サイド7の大統領的なポスト、リーダーが指示を出していた。
◆
サイド6。
ズドドドーーーン!
シャクはサイド6内で無双していた。
もう半数以上制圧。
もちろん、敵の攻撃は当たらない。
スカ!スカ!
「わかる!どんな攻撃がくるか、手に取るように!」
ズドドドーーーン!!
次々と撃墜。
「これなら、ユウが来るまでになんとかできそう!」
そのとき、上空に巨大な戦艦が現れる。
そこから、一斉ビームが放たれた。
ズビ!!
ズドドドーーーン!!
サイド6の街から火が上がる。
「あ、あれは何!?大きすぎる!あれをなんとかしなくては、サイド6の都市は壊滅してしまう!」
◆
サイド7。
ついに、サイド1側の兵士が次々と都市内部へ侵攻し、ロボットらとの抗争になった。
「緊急避難!まだ逃げ遅れたものは速やかに逃げてください!!」
ズビ!ズオオオオ!!
都市からも爆発音が鳴り響く。
ラボ周辺では、ついに、機体同士の戦闘が始まった。
「ま、まさかこんなに早く侵攻されるとは……ヘマ総帥とは、なかなかの策士。人工知能の裏をかくとは。」
「ジョウ博士、こちらも肉弾戦に備えましょう。博士は1番奥のコントロール室へ!
わたしとリスタは、メインロビーの奥で奴らを
待ち構える。」
「なに!?それは、1番敵が流れ込んでくる可能性があるぞ!?」
「その通り。でも、わたしがここで足止めしておくことが1番早いと思うの!
リスタは部屋の格納庫でわたしの様子をみててね。もしわたしに万が一があったら、すぐにジョウ博士に連絡して、警備をそこに集中させるように指示して。」
「あ、アリス!敵の数がわからないんだぞ!?
君一人で足止めするというのか!?」
「いえ、一人じゃないわ。」
アリスはリスタを見る。
「格納庫にも、攻撃できるシステムはある。リスタ、格納庫の中から、敵を狙撃できる?」
「う、うん……頑張る。」
「大丈夫、おそらく敵は生身の人間は少ない。
ロボット兵だから……」
「わ、わかった。ごめん、わたし、足がすくんで……」
アリスは諭すように優しくリスタに声をかける。
「大丈夫よ……誰でも人を撃つのは怖い。普通のことだからね。」
リスタは少し安心した。しかし、すぐに表情がくもる。
「アリスにもしものことって……」
アリスはクスッと笑う。
「大丈夫!しんどくなったら早めにサインするから!あと、私がもし、致命傷を負って動けなくなったらっていう意味なんだけど、多分そんなことにはならないから安心して!」
「で、でも……」
「わたしはエージェントよ?なんなら、今のユウにも、まだ負けないわ。それくらいに思っていて大丈夫だから!
作戦ってのはね、いくつもの、"もしも"に備えるのが定石なの。だから、あえてリスタに伝えただけだから、だから、そこまで深く考えなくて大丈夫。安心して格納庫で狙撃してくれたらいいから。」
アリスはニコリと笑う。
それを見てジョウ博士も覚悟を決めた。
「アリス。今ここには君しかエージェントがいない。だから、わたしの命は君に預ける。」
「ええ、任せて。けど、もう一人、頼もしい人がいるわ。」
「も、もう一人!?それはいったい……」
◆
マザーから通信が入る。
「では、準備はよろしいでしょうか?
出撃してください。」
「了解!」
第百三話 完
第百三話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
人工知能の監視の目を掻い潜るため、あえて「手作業による組み立て」で隠密に量産を進めていたヘマ総帥の周到すぎる奇襲作戦……!
そして、彼がセブンスター統一を目指す裏にあった「母を救い、邪悪なダークナイトの手から逃れる」という切実な背景と執念が垣間見えた、非常に深みのある回でした。
サイド6で巨大戦艦の猛攻に直面するシャク、そして地上でロボット兵を迎え撃つべく立ち上がったアリスとリスタ。
絶体絶命とも思えるこの状況で、マザーの合図とともに「出撃」した頼もしすぎる“もう一人”とは……当然、覚醒を遂げたあの男!?
怒涛の反撃が始まる予感に包まれる第百四話も、どうぞご期待ください!
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