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異界見聞録。九十六式歩行空挺戦車、ハイエルフ、フェンリルと異世界を旅する。  作者: トウフキヌゴシ


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49/51

第49話、ハイジャンプ。



「じゃあ、実用試験に入ります」

 自分が言った。

 背中には、真ん中に丸いドラム。

 その左右に台形の新型魔動式ジェット。

 噴射口には推力変向用のフィンが突き出ている。

 同じようにすねの外側にもつけられていた。


 背中と足のジェットで飛ぶ、”ハイジャンプユニット”である。


 ワイルダーキャラバンの工廠があるオアシス沿いの建物。

 その前は水に面した港となっており、そこにハートウーマン軍曹と警備部。

 商会主であるチャールズの祖父であり、整備開発部の長であるアイクと整備士たちが並んで見学したいた。


「エンジンスタート」

 自分の操縦席に座るシャル殿がスイッチを押す。

「シャル殿」


 コレヨリ、マドウジェットエンジンノ、ジッショウシケンニ、ハイリマス

 ア(・)ラ(・)タ(・)ナ(・)、セイギョプログラム(アプリ)ノ、サクセイヲ、カイシシマス


「………九六………?」


 ゴオオ


 背中とすねのジェットに点火。

「最初は水面の上をホバリングしよう」

「わかった」

 スロットルを開けた。

「いつでも大丈夫です」

 水の中に潜砂艦と水面から上半身を出したシェラザードが待機。


 ゴオオオオ


 ふわりと自分が港の水際で約一メートルくらい浮いた。 

 シャル殿が操作レバーを少し前に倒す。

 背中とすねの台形のジェットが前に少し傾いた。


 ザアアアア


 水面に白い波を出しながらゆっくりと水の上を前に進む。


「浮いてる」

「前に動いたぞ」

「オアシスに出た」

「ロボ様、お母様と一緒に作ってきたのです」

「食べてください」

「ガウ」

 ロボの膝の上に座り、口元にサンドイッチを差し出すローラ。

 給餌行動だ。


 オアシスの真ん中くらいまで来た。

「もうすこし出力を上げてみよう」

「わかった」


 データ、サイシュチュウ


 ゴ、ゴオオオオ


 ザザザザザ


 自分が水面をすべるように走り出した。

 シャル殿が操作レバーを左右に。


 ザザ、ザザ


 左右に機体が走る。

「もうすこし」

「うむ」

 

 スロットルカイド、80パーセント

 ジソク、100キロメートル、ニタッシマシタ


 ゴ、コオオオオオ


「うわっ、あからさまに高音になった」

「戻してっ」

「わかっ」

 スロットルを戻しても出力が落ちない。

 さらに、むちゃくちゃに上下しはじめた。


 ジェットエンジンガ、コウオンノタメ、ボウソウシマシタ


「うわああ」

「うわああ」


 くるくると回る。

 

 バシャアア


 片足が水面を叩いた。

 部品をまき散らしながら水の上を勢いよく転がり始める。


「や、やばい、緊急脱出させる」

「くううう、ま、待て、九六っ」

「飛びます、飛びます、飛びます〜」

 強烈なGに耐えるシャル。

 強引に機体を水平に。


 バンッ


 操縦席が前に飛び出す。

 

 ズドオン


 胴の上部の装甲を吹き飛ばしながら、操縦席が上に飛んだ。

 しばらく飛んでパラシュートが開く。


「た、助けますっ」

 大慌てで、ナハト―ラの操るシェヘラザードが、水面に堕ちたシャル殿を回収する。


 自分は、水面を何度もバウンドし、四肢を周りに吹き飛ばしながら。対岸の砂地に突っ込んでいった。  


 ジッショウケンハ、シッパイシマシタ


 無機質な電子音が聞こえた。



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