第44話、入会。
「お見苦しいところをお見せして、すいませんでした」
ナハト―ラは音もなく両足を落とし、両手をそろえて額の前に。
床に額をそっとつけた。
しなやか、そして清楚にして華聯。
誇りと自分の存在全てをのせた最上位の謝罪、”DOGEZA”である。
ドワイフのDOGEZAを、”動”とするなら、ナハト―ラはまさに、”静”であった。
目や鼻や口、他の穴からいろいろなものを垂れ流した彼女は、水浴びをしキャラバン服に着替えている。
「……部下たちを奴隷として売るのなら私だけに」
「皇女っ」
後ろでDOGEZAをしていたドワイフだ。
「ガンドのものに売れば高値がつくでしょう」
第五皇子にだ。
その場合はほぼ命はないだろう。
「シャルさん」
チャールズがナハト―ラを助けた本人に聞く。
キャラバンの家族たちも助けて欲しそうにシャルを見た。
「売ったりはしない」
ナハト―ラが、小さくうなずく。
「商会長、どうしたらいい」
逆にシャルがチャールズに聞いた。
「うーむ」
チャールズがあたりを見回す。
巨兵を操り諜報の訓練を受けた帝国皇女。
訓練された二十人近い兵士たち。
特殊な軍艦(潜砂艦)に特殊な巨兵。
「正直、普通のキャラバン員の私には手に余る」
「シャルさんはこのキャラバンの警備部長だ、彼らはシャルさんの部下でいいだろうか」
「ふむん、妥当な判断だろうな。 いいだろうお前たちは今日から私の部下だ」
うんうんとキャラバン員がうなずく。
小規模のキャラバンでは家族が増えたという感覚だ。
「……ありがとうございます」
「「「ありがとうございます」」」
ナハト―ラと二十名の部下たちがDOGEZAしながら言った。
ワイルダーキャラバンにナハト―ラと二十名、潜砂艦と巨兵が参加した。
「早速鍛えなおしてやろう」
ガンドーラ台地で三十年間ブートキャンプに参加したシャルがにやりと笑った。
「九六っ、あのお方を呼んでくれ」
「へっ、えーと、分かった」
胸について円筒状のモニター群から光が出る。
光があるモノを形作った。
「やはり正月はこたつに日本酒だ~ね」
おちょことおちょうし。
炬燵の上にはあぶったするめ。
マヨネーズには赤い七味がトッピングされていた
炬燵にはんてん。
豊かな胸をこたつの天板の上にのせた。
「えっ」
今キャラバン船の甲板に、炬燵の中で背を丸め、口元におちょこをよせたハートウーマン軍曹が顕現した。
覚えているだろうか、元々ハートウーマン軍曹は操縦訓練用のホログラフなのである。
ちなみに、ガンドーラ台地は正月で真冬であった。




