第43話、救出。
「去っていったか」
未知の攻撃(メーサー砲)に恐れをなしたか、ナハト―ラ皇女を始末できたからか、飛行艦と砂上艦は撤退していった。
次の瞬間。
ザザザザザパアアン
とがった艦首を45度くらいに傾かせ、潜砂艦が砂の中から飛び出してきた。
ひっくりかえるように水平に。
「むうう」
潜砂艦の各所にあるハッチが開いてクルーが飛び出してきた。
「白旗か」
クルーたちが白い旗を振りながら大声で口々に叫ぶ。
「降参だっ」
「ナハト―ラ皇女を助けてくれっ」
「我々を察知していたのならできるはずだっ」
「自分たちを奴隷にして売ってもいいっ」
「この艦も好きにしろっ」
「だけどっ」
「「「ナハト―ラ皇女だけはたすけてくれっ」」」
「……まだ十歳を少し超えたばかりなんだ、たのむっ」
艦長帽を着た男性が両ひざをそろえてすわり、顔を潜砂艦の甲板にこすりつけた。
誇りと自分の存在全てをのせた最上位の謝罪、”DOGEZA”であった。
「……シャル殿」
自分がつぶやく。
「……シャルさん」
チャールズを中心にキャラバンのメンバーだ。
「……たすけてあげてよう」
ローラが涙目で言う。
「ガウウ」
ロボが何か言いたそうな目で自分(に乗ったシャル殿を)を見上げた。
「くっ、そ、そんな目で見るなあ」
「助けないなんて言ってないだろう」
「ここで見捨てるような鬼畜生に見えるのかっ」
シャル殿が吠えた。
「九六っ、どこだっ」
「ここだよ」
埋まっている砂の上に光で出来た下向きの矢印を空間表示。
「助けられるなっ」
「もちろん」
「ロボッ、ここ掘れわんわんっ」
「ア、アオオオオオン」
光の矢印に走り出すフェンリルに戻ったロボ。
バサササササ
両手と両足(前足と後ろ足?)を使い、猛烈な勢いで砂を掘り始めた。
「あ、見えた」
人魚型の装甲巨兵の顔と胸部が砂から出てくる。
カプッ
という感じで顔と胸部をくわえるロボ。
そのまま、ブンブンブンと振り回した。
砂から全身が出たところで、ポイッという感じで潜砂艦の近くに放り投げた。
顔と胸部はロボのよだれでべたべたである。
「こ、皇女様あ」
クルーたちが走り寄った。
よだれでべとつく緊急脱用のレバーを引く。
ボン、ボボン
爆炸ボルトが胸部装甲を吹き飛ばした。
「ふええええ、こわかったよお」
「皇女は無事だっ」
「ナハト―ラ皇女っ、無事でよかったっ」
「もう大丈夫だっ」
ドワイフが、ナハト―ラを大きな胸に包み込むように強く抱きしめた。




