第42話、迎撃。
「つけられてるね」
いま、ワイルダーキャラバン船がサマーンカーンを出港したところである。
発見証と報奨金二十億イエンをもらった。
ニュウロウランに拠点を作るための建物の資材をのせて出港したのだ。
「つけられてる?」
ブレスレットコマンダー越しの自分の声にシャル殿が聞いた。
曲面の天井、丸い窓が並ぶキャラバン船のブリッジ。
「やはり、ガンド帝国の?」
キャラバン長のチャールズが聞く。
「潜砂艦に砂上艦に飛行艦だ」
「飛行艦?」
ブリッジにいる人のけげんな声。
「ああ、空を飛ぶ船は初めて聞いたのか、ほら」
ブレスレットコマンダーから光の板がでた。
そこに空を飛ぶ船が映る。
大きさはこの船より少し大きいくらいか。
四方に上向きにプロぺラ。
後ろには二個のプロペラが回る。
艦の横には、”月と斧”のガンド帝国の紋章。
「多分、サマーンカーンから離れたところで襲撃してくると思うよ」
「夜間航行するから眠りに入る明け方かなあ」
自分が答える。
「……分かった、明け方に待ち伏せししよう」
シャル殿が腕を組んだ。
「了解だ」
チャールズがうなずきながら答えた。
◆
数日後の朝。
白々とあたりが明るくなる。
船を止め寝たふりをする。
「シャル殿、襲撃が来る、きづかれないように操縦席へ」
「分かった」
パシュン
操縦席が前と下に開きシャル殿が乗り込んできた。
しばらく待つと、潜望鏡が砂の中から出てきた。
攻撃が来る。
砂の中を何かが走る音が二つ。
それと、
「人魚型の装甲巨兵が浮上してくるぞ」
「分かった」
甲板の上。
自分が片膝から立ち上がった。
マスターアームオン。
左手のメーサー砲起動。
操縦席のモニターに魚雷の進路を表示。
シャル殿がレバーの引き金を引きながら横に動かす。
キイイイイイン
ズドン、ズドーン
魚雷二発を爆発させた。
――いい判断だ
飛び出そうとした人魚型の装甲巨兵が慌てて砂に潜る。
「上だ、シャル殿」
「了解」
上空から急速接近してきた飛行艦。
飛行艦の下側にあるブリッジ。
その後ろの爆弾槽の扉が両方に開いた。
ヒュウルルル
樽状の爆弾(雷)が流動術式を光らせながら落ちてくる。
その数、六個。
うち二発がキャラバン船に当たりそうなので、メーサー砲で撃ち落とした。
残りは砂の中へ。
飛行艦はキャラバン船の上をなめるようにフライパス。
飛行艦のブリッジであわてる人が丸いガラス越しに見えた。
撃ち落とされるとは思っていなかったのか、飛行艦と砂上艦が大慌てで逃げて行った。
「いやああ」
その直後、傍受していた無線から少女の叫び声が船内に響いたのである。




