第41話、雷撃。
ナハト―ラは、人魚型装甲巨兵、”アリエル”を前進させた。
左手には、三又の槍。
魚雷に速度を合わせてキャラバン船に強襲をかける気だ。
開発したての魚雷ははっきり言ってあてにならない。
本命はナハト―ラの近接攻撃なのだ。
ザザザザザ
砂の上に顔を出した。
「あっ」
キャラバン船の甲板に座っていた巨兵が立ち上がり右手を開いて伸ばした。
キイイイイイイン
甲高い音を出しながら腕を横に振る。
砂漠に円状に線が走った。
ズドン、ズドーン
「魚雷二発、正体不明の攻撃により爆発っ」
「こちらの攻撃がばれているわっ、急速潜航っ」
ナハト―ラは、潜砂艦に向けて無線で言うと同時に砂の中へ。
次の瞬間。
カーンカーンカーン
砂の中に甲高い音が響き渡る。
「これは、砂漠用のアクティブソナーッ」
潜砂艦の存在を知るガンド軍しか装備していない。
例えば、カスペンの砂上艦には装備されていた。
「まさかっ」
「 来たぞっドワイフッ、貴族学園で殴られたこと忘れていないっ」
魔動無線から流れてきた。
「サクソン皇子っ」
ドワイフだ。
ドワイフはカスペンを下級貴族の令嬢を助ける時に殴り飛ばしている。
「ナハト―ラも目障りだ、爆雷で砂に沈めっ、爆雷投下っ」
ズドオン、ズドオン、ズドオン
砂の中で爆雷が爆発する音が響く。
ズドオオオン
ギシイイ、ガクガクガク
「キャアアアア」
運悪く、ナハト―ラの乗る人魚型装甲巨兵、アリエルの近くで爆発したのだった。
「くうう、被害は」
巨兵と同期した頭の中に各部の被害が入ってくる。
「損害は中破……。 尾びれが……破損」
「……浮上不可」
試しに下半身を動かしても動かない。
砂に生き埋めになった。
――マナバッテリーは十分しか持たない、流動術式が切れると砂につぶされるわっ
真っ暗な巨兵の視界。
真っ暗な操縦席。
「いや」
「いやああ」
「いやああああ」
「だれかっ、だれか助けてっ」
「何が、皇女よっ、皇帝も母も一度も見たことないわよっ」
「大体、なにが帝国よお、世界樹を身勝手に切り倒そうとして楽園を追われただけじゃないっ」
「使徒たちは世界を守ってるだけよおお」
「何が、ワクセイカイハツコウシャよおお」
「何が宇宙に帰るよお、マナに触れた時点でこの星から出られないわよお」
「マナには強烈な常習性があるんでしょお」
「マナが無くなると廃人になるのよお」
「生まれてから一度もいいことなかったわよお」
「もう一息に〇してええ」
ギシ
「ひっ」
「あ、圧壊が始まった、マナバッテリーが底をついてる」
ギシギシ
「死にたくない、死にたくない、死にたくない」
「誰かここから出してえ、あああああ」
ドンドン
操縦席の壁をたたく音が響く。
◆
「ねえ、ろぼちゃ、かわいそうだよお、助けてあげてよお」
涙目で訴えるローラ。
「ガウッ」
すがるような目で九六(の中にいるシャル)を見た。
九十六式空挺歩行戦車のコンセプトはニンジャアアである。
出港した時から、不審な潜砂艦と砂上艦、飛行艦に気づいていた。
最初から敵の魔動無線を傍受してキャラバン船内に流していたのである。
ナハト―ラの絶叫がキャラバン船内に響き渡っていた。




