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異界見聞録。九十六式歩行空挺戦車、ハイエルフ、フェンリルと異世界を旅する。  作者: トウフキヌゴシ


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45/45

第45話、強化。

「それで……そこにいるマゲッツどもを鍛えて欲しいと……」

 ここは砂漠のど真ん中だ。

 さすがのハートウーマン軍曹でも炬燵に熱燗は無理があるようである。 

「ふん」

 専用のインベントリに炬燵と熱燗を収納した。

 半纏を脱いだ。

 カーゴパンツに迷彩柄のタンクトップ姿である。

 軍曹の身体は小柄ながらも豊かな胸がちらちらと見えた。

「イエスッ、マアムッ」

 シャル殿が気をつけの姿勢で答える。

「……まあよかろう」


 ヴヴン


 ハートウーマン軍曹がかすかな光とともに二人に分かれる。

 世界樹の濃厚なマナの下、光の精霊として神化した彼女にとって、同一次元に二体(二柱?)存在することなど造作もないことなのだ。

 帽子にスラックス、短い杖を小脇に抱えた制服。

 タンクトップ姿の私服の彼女は音もなく消えていく。

 ガンドーラ台地に帰ったのだ。

「マゲッツどもお、気をつけえっ」

 ナハト―ラを先頭に潜砂艦のクルーが整列して気をつけをした。

「これからお前たちが言っていい言葉は、イエス、マムだけだ」

「皇国の皇女だろうが、潜砂艦の艦長だろうが私は差別をしないっ」

「なぜなら等しく価値がないからだっ」

 以下略。

 ニュウローランにワイルダーキャラバンの拠点の建物を建てている横で、

軍用テントを張ってブートキャンプが始まった。 



 ナハト―ラたちが合流して約三カ月。

 ニュウローランに最初につくられたのは一の字に伸びる長いふ頭だった。

 その左右にキャラバン船と潜砂艦がつけられている。

 埠頭の上には巨大な人魚。

 ひれを壊された装甲巨兵である、”アリエル”だ。


「今まで言ってなかったことがある」

 キャラバン船の上に片膝をついた自分(九六)が言った。

「なんだ?」

 チャールズや弟のオルソンの父、ローラたちの祖父に当たるアイクだ。

 五十代半ばで機関長をしている。

「キャラバン船のマナバッテリーの減りが少ない、もしくは増えているということがなかっただろうか」

「……どうしてそれを……?」  

 コックピットハッチを開けて医療用アームで後部の荷物置きをガサゴソと無造作にあさる。

 セーラー服やチャイナ服をのけた。

「あった」

 取り出したのは一振りの木の枝。

「! そ、それはまさか」

「世界樹の枝です」

「な、なんじゃとお」

 マナは生命力そのもの。

 マナをを生み出すのは、森林、大量の水、人や生物の集まるところが一般的だが。

 奇跡的に手に入れた世界樹の葉一枚でも、小さな船なら動かすことができるといわれるものだ。

「それが枝となあ」

 アイクの驚きの声。

「これを、潜砂艦と巨兵に仕込もうと思います」

「た、確かに」

 潜砂艦の全体の九割がマナバッテリーが占める。

 単独で潜る巨兵、”アリエル”は言わずもがなだ。

 後に、シャル殿に許可を得て、

「ふんっ」

 シャル殿が枝から小さな小枝と葉をむしりとった時の声だ。

「ひいっ」

 周りの人はドン引きしていた。

 葉をキャラバン船とアリエルへ。

 小枝を潜砂艦に搭載。

 本枝はシャル殿やフェンリルであるロボの活動用だ。

 さらに、

「汎用性がないんだよね」

 ということで、高性能3Dプリンターを駆使して、”アリエル”の下半身を多関節蛇腹構造に改造した。

 人魚型の装甲巨兵が下半身が蛇(海蛇?)のナーガ型に変わったのである。

 遥かな昔にハイランダーである姫が駆ったといわれる伝説の巨兵。

 その名にちなんで、”シェへラザード”と改名された。 

 武器も同じように大鎌デスサイズに変更される。

 後の世のガンド帝国皇帝機の誕生であった。

 このようにして、ワイルダーキャラバンの装備が大幅に強化されたのである。



「今日は八十キロの遠泳だあ」

 アイクと相談しているとき、胸元に白い布で、”しゃる”と、”なはとうら”と書かれたスクール水着で泳いでいる二人を見つけたのであった。


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