第38話、警備顧問。
夜が明けた。
「昨夜侵入者があった」
ワイルダーキャラバンの商会長であるチャールズに言う。
周りには、シャルとロボ。
兄夫婦と弟夫婦。
そして両親夫婦がいた。
ワイルダーキャラバンの大人たちだ。
「早いな」
チャールズが言う。
「?」
シャル殿が小首をかしげた。
「いや、厳しい砂漠では自分のものは自分で守るのが基本だ」
「砂族……砂漠の海賊もいるしな」
「まあ、正規の航路ならギルドの巡視艦がいるから手は出せない」
「でも、ここは違う」
「発見されたてのオアシスだ」
「巨万の富を生む、”オアシス発見証”を奪いに来るものがいるはずだ」
「発見証を守れる体制ができるまで発見を隠すつもりだった」
そのための二十億イエンの報奨金でもある。
「それから、我らのような弱小のキャラバンが身を守るには、二つの選択肢がある」
「一つは、ギルドに発見証を売ること」
「二つは、大手のキャラバンに譲渡して傘下に加えてもらうこと」
「ふむん」
シャル殿がうなずく。
「二つとも他のキャラバンのオアシスの使用料は入ってこない」
「だが、デザートデビルレイを簡単に撃退したシャルさんと九六、ロボさんがいれば何とかなるはずだ」
「どうだろうシャルさん。 ワイルダーキャラバンの警備顧問になってくれないだろうか」
キャラバンの大人たちが懇願するようにシャルを見る。
「……砂漠を見てまわれるか?」
シャルたちの旅の目的は下界を見てまわること。
「キャラバンをしていると勝手にまわることになる」
チャールズがいう。
「九六?」
「いいと思いますよ、発見したのは我々だし、最後まで見届けましょう」
「ロボ?」
「ガウ」
何か思うところがあるのだろうすぐにうなづいた。
「分かった。 その仕事を受けよう」
「……ありがとう」
シャルと九六、ロボがワイルダーキャラバンの警備部に所属することになった。
「そういや、昨夜の侵入者はバザーで会った少女だったよ」
「黒髪で紅い目の」
「で、人魚型の装甲巨兵が砂の中から現れたよ」
「黒髪で紅い目っ?!」
「人魚型の装甲巨兵?!」
「ガンド帝国の皇女か」
黒髪と紅い目はガンドの皇族の証。
さらに異質な巨兵。
皇族は、生まれた時に専用の巨兵を造るのだ。
「こりゃあ、オアシスではなく亜人のシャルさんと獣人のロボさんをつけてきたんだな」
ガンド帝国の亜人獣人狩りは有名なのである。




