第34話、追尾。
今自分は、ワイルダーキャラバンのキャラバン船の甲板にいる。
片膝をつき、耐熱用のシートをかけられた状態だ。
「おや?」
自分が何かに気づいた。
収納されている頭部のセンサーユニット群を伸ばして百八十度まわす。
隣にはギルドの弩級戦艦ポーラスターが並走している。
「ここか、ズーム」
砂の間から何かが飛び出している。
細長くて丸い。
きらりと光を反射させた。
しばらくすると砂の中にひっこんでいった。
「潜望鏡……? 潜水艦の」
「……シャル殿」
「何だ」
細い足。
くびれたウエスト。
白いレースはちょうどよいふくらみを強調する。
絹糸のような金髪が谷間に流れる。
ほぼ下着姿のシャル殿が答えた。
これ以上ないくらいリラックスした姿。
自分の操縦席の中だ。
ゴ~~~~
キンキンにクーラーが効いている。
「……はしたない、……つつしみをだな」
「あ”あ”⤵何か言ったか九六」
「いえ、何でもありません」
「砂の中に何かがいるような」
「砂の中あ?」
「気のせいかなあ」
「かき氷を出せ、九六」
「……ハイハイ」
TENGAと書かれた医療用アームの指先。
水と3Dプリンターでかき氷を作る九六であった。
「……思考結晶(こちらの世界のAI)の學天則……ねえ」
かき氷を受け取りながら、シャル殿が小さくつぶやく。
「ん、何か言った」
「いやなんでもないな」
「?」
シャル殿のつぶやきははっきりと聞こえなかった。
◆
「ろぼちゃろぼちゃ」
ギュ~
ロボの尻尾に力いっぱいしがみつくローラ。
「ガウ?」
ローラの頭を優しくなでるロボ。
「ん~~」
気持ちよさそうに目を閉じるローラ。
「ろぼちゃ~、大きくなったら~」
「およめちゃんになってあげる~」
しばらくした後、
スゥーーー。
ローラは尻尾に包まれて眠ってしまった。
ロボはローラの寝顔を優しく見つめている。
「あらっ、寝ちゃったのね」
ローラの母のキャリーだ。
「……ローラをよろしくお願いね、ロボさん」
「ガウ」
ロボがうなずいた。
◆
「見えてきたぞー」
「本当にオアシスがある」
「結構大きい」
「久しぶりの新しい水場だ」
弩級戦艦のクルーたちが騒ぐ。
元ロウランのあった場所、後に、”ニュウロウラン”と呼ばれるオアシスに到着した。
その後ろを砂の中ついてきた船がいることに誰も気づいていなかったのである。




