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異界見聞録。九十六式歩行空挺戦車、ハイエルフ、フェンリルと異世界を旅する。  作者: トウフキヌゴシ


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33/35

第33話、出港。

 キーーン

 艦内放送のハウリングの音がした。

「使徒の色を持つエルフと獣人のいるキャラバンが、ギルドの視察艦と一緒に港を出た」

 ドワイフ艦長が全艦放送で言う。

「本艦は使徒の調査のために尾行する」 

「出港準備」

「もやい(ロープ)を外せ、ハッチ閉鎖」

「錨をあげろ」

「各部異常なし」

 伝声管から声がした。

 クルーの人数は十人。

 五十メトル近い艦内はほぼマナバッテリーとあるモノで占められている。

「出港準備完了……皇女」 

 ドワイフ艦長が狭い艦橋を振り返る。


 椅子に座ったナハトーラ皇女が、

「行きましょう」

 と言った。

 背後には侍女であるシャルーレが立つ。


「メインタンク注水っ、湖底まで潜航」

 真下に移動し始めた。 

 潜水艦としても機能するのだ。

 建物に隠された格納庫の中、しずかに試作潜砂艦が湖に沈む。

 しばらくは縦方向の浮遊感。


 ズズッ


 止まった。

「湖の底に着底」

「全方位流動術式発動」

 艦全体に術式陣が白く浮かび上がっていることだろう。

 一瞬の抵抗の後さらに沈み始める。


 ザザザ


「潜砂完了」

 

 パラり


 座っている皇女がひざに落ちてきた砂粒をはらう。


暗車スクリュー用回転術式起動」

「方位〇×に向けて前進」

 ドワイフ艦長が艦橋の中央に設置された球状の羅針盤コンパスを見た。


 今、ガンド帝国の試作潜砂艦、”ウーボート”が出港した。 


 ザッザッザッ


 と後方から暗車スクリューが砂をかき分ける音が続く。

「そろそろ湖を出たな」

 ドワイフ艦長が艦橋の机に広げられた航法図を見ながら言った。

 航海士が小さくうなずく。

「よしっ、潜望鏡深度まで上昇する」

「メインタンクブロー」

 ため込まれていた砂が流動術式でタンクの外に吐き出された。

 湖の水はもったいないので吐き出されない。

 艦が緩やかに上昇する。

「潜望鏡深度に到達」

 操縦士の声だ。

「潜望鏡を出すぞ」

 艦橋の真ん中にあった丸い柱。

 左右についたハンドルを起こし持ち上げた。

 ドワイフ艦長がスコープをのぞき込みながら左右に回す。

 砂の上には潜望鏡の先が出ているはずだ。

「むっ、いた」

 スリーアンブレラ級の戦艦と商船だ。

「ギルドの弩級戦艦まで出張るとは……新たな水場でも見つけたのか」

 潜砂艦は決して足は速くないが民間の商船に置いて行かれるほどではない。

「慎重についていきましょう」

 ドワイフが振り向く。

「はい」

 ナハトーラ皇女がうなずいた。

 

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