石版の謎?
なんと一過性脳虚血発作と言う脳梗塞の前兆、呂律が回らない症状が高座で出たので診療に来たらそのまま即入院で一週間様子見る事になりました。
落語会も寄席もネタおろしの会も全部お休み。
急に暇になったのでベットの上で小説続き久しぶりに書くよ!
寿限無の続きじゃないのなら、何を語ればいいんだろう? でも石版に寿限無の前半の言葉が 書かれているという事は、やはり、この異世界に同業の落語家が来ていたのだ。 それも遥か昔に。
しかし、この石板の寿限無の呪文の続きは何と言えばいいのか?
そこで後ろの壁に刻まれた扉のレリーフを今一度、見てみる。
両開きの扉を閉じる長方形の石。
そこには日本語で 「この続きを汝の言葉で語れ。されば道は続く」と書いてある。
「汝の言葉」って事は「俺の言葉で語れ」て言う事か?
その時、俺はひらめいた!
前半の呪文は みんながやる寿限無という 古典落語。
では後半は「 俺の言葉」で語られた寿限無。
俺の言葉、俺だけの言葉、すなわち俺だけの寿限無?
まさか?
実は俺には 寿限無の上を行く「スーパー 寿限無」という新作がある。
しかし遥か昔の落語家が俺の新作なんか知るわけもない。
けど「汝の言葉で語れ」という事は「自分だけの言葉で 寿限無を語れ」 という事じゃないのか?
ダメ元でやってみよう。
「寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末…」
さあ、ここから俺のスーパー寿限無になるぞ
「…金ある所にすぐ所、綾小路に仲本工事、ヤッホーヤッホーヤッホーの祝儀代、祝儀代のグリーン車代 グリーン車代のー林家パー子の林家ぺーの圓朝襲名、超凄い…」
この落語を説明しましょう。
新作落語ファンが人間国宝、三遊亭白鳥のところに来て
「赤ん坊が生まれたので、師匠のような新作落語家にふさわしい名前をつけてください」
と、頼まれて「芸人とは、こういうものだ」と名前をつける。
所ジョージさんは、金があるが、仕事と聞けばすぐに行く。芸人はそのくらい機敏じゃなくちゃいけない。
芸人は若くして売れるか歳をとって売れるか?
若くして売れたのがドリフターズの仲本工事さん。歳をとって売れたのが50歳から人気者になった綾小路きみまろ先生。どちらを選ぶか?
芸人が思わずヤッホーと叫びたい時はお客さんから祝儀代をもらった時、地方に行った時、新幹線の席がグリーン車だった時。
お笑い芸人は夫婦仲が良くなくてはいけない。その代表が林家ペー林やパー子夫妻。
そして落語家は誰もが明治時代に活躍した名人三遊亭圓朝師匠の名前を襲名したいと思っている。だから、円朝を襲名したら、圓朝を知らない女子高生までも超スゲーとびっくりする。
これを全部くっつけたのが俺のスーパー寿限無だ。
言い終わった瞬間、遺跡が揺れた。
「うわーなんだ。これ!」
思わず俺は目をつぶった。
後ろの壁に刻まれた扉のレリーフが眩しい光を放つ
ギギギと音がして扉が真ん中から開く。観音開きってやつだ。
おいおい、まさか扉の先なんて何もないよな。ただの石の壁があるだけだよな。
そもそも、この扉のレリーフだって、石壁に刻まれたもんだろうし…。
そう思って振り向くと、ぽっかりと空いた空間に下に伸びる石の階段が見える。
こんな小さな遺跡に地下室なんてあるのか?
俺は不思議に思いながら、その階段に足を踏み入れた。
小さな踊り場に降り立つ。床も壁も灰色のつるつるした石でできている。
目の前に人が3人1度に入れそうな大きな木の扉がある。
表面には、見たことも無い紋様が刻まれている。
この木の扉も観音開き。取っ手は無いので、胸の位置にある。黒くて丸い模様を両手で押す。
すーーーっと開く。
音もなく抵抗もなく開いた。
そして、目の前の光景に、俺は目が泳ぐ。
「なんだよ、ここは?」
一言で言えば、大きな教会の中。
まず目の前に木でできた長椅子がずらりと並んでいる。
壁には色とりどりのステンドグラスがはめ込まれ外からの光で輝いている。
でも、輝くって一体どこからの光だよ?
確かここは地下だぜ?
正面には1段高いステージがあり、中央におしゃれな机が載っている。
おしゃれって言うのは、バリ島の高級ホテルのロビーに置いてあるような机だ。
机の足が猫足って言うのか、くるりと綺麗な曲線を描いている。
そして、机の周りを花や植物の飾り彫りがぐるりと取り囲んでいる。
「すいませーん。誰かいますか?」
ガランとした空間に響き渡る。
誰も出てきてくれない。
普通の異世界小説なら、根性のひん曲がった女神様が出てくるところなんだけど。
仕方なく、自分で教会の前方に進む。
ステージには、短い階段がついており、すぐに上に上がることができた。
中央の机の前に行ってみる。
ピコーン
小さな警告音が鳴ると、俺の目の前にウインドウが現れた。空中に浮かんでいる1枚の板。
大きさは、A4用紙位。濃い青色の背景に、白抜きの太い文字。
「寿限無チャレンジ」
そのチャレンジに挑戦する前に、ツッコミどころ満載なんだけど。
なんで急に俺の目の前にウインドウが現れるんだ?
普通の異世界転生小説なら、異世界に来た時点で、ウィンドが開き、
主人公が
「これじゃあまるで、俺がプログラミングしていたゲームと一緒じゃないか」
と、驚くところだろう?
それが今更なんでウィンドが開くんだよ。
まさか、神様が忘れていて、(とりあえずゲームっぽくなってきたから、ここでウィンドウ、スイッチオン いや、いや歳をとると、忘れっぽくていかん、ガハハハ)
なんて流れじゃないだろうなぁ。
そう思って空中を見るが、神様の声は、俺の頭の中には響かなかった。
そして、もう一度ウインドウを見る。
「寿限無チャレンジ」ってなんだ?
すると、画面に文字が消え、新しい文字が並ぶ。
「汝の言葉で可能な限り寿限無を語れ」
どういうことだ?
「今までのオリジナル寿限無ポイント 85点」
85点?これ多いのか少ないのかわからないよな。
100点満点なら合格だけど、案外満点が100,000と8567点みたいなフリーザー様のパワーポイントだったらシャレにならん。
すると、まるで俺の考えを読んだように画面に表示が出た。
「落語の神殿に来るためには、オリジナルポイント30点以上でなければいけません」
そうか、ここは落語の神殿って言うんだ。
それじゃあ、85点てなかなか優秀じゃない。
「オリジナルポイント100点で、神聖落語武具を授けます」
ええ、100点て、あと15点取れば何かくれるの?山崎春のパン祭りみたいなもん?
よりも神聖落語武具って何でしょうか?
落語家なのに、勇者の剣とかもらっても困るんだけど。
「寿限無チャレンジに挑戦しますか? はい いいえ」
おお、これじゃあまるで俺の大好きな「俺だけレベルアップする件」みたいじゃありませんか?
もちろん挑戦しますよ
「はい」
すると画面にマイクの表示が出た。
「汝だけの寿限無を全て語れ」
タイムリミット15分
15分で寄席の持ち時間と一緒じゃねーか?
やはりこのシステムを作ったのは絶対に落語家だ。
さぁ、ここで俺は何を語る?
決まっているよ、俺のスーパー寿限無を全部語ってやる。
果たして、それが正解なのかはわからない。
でも、俺ができるのはそれしかない。
覚悟を決めると、マイクに向かって大きな声で
「今日は寿限無の上を行くスーパー寿限無と言うお話を聞いていただきましょう」
マイクの表示の周りに波紋ができた。
これはちゃんと音を拾ってますよと言う合図だろう。
さぁ、これから何が起こるのか、俺はさっぱりわからない。
でもわからないことって楽しいよね。
今隔離された病室でこの小説を書いてます。
お昼にエコー検査があっただけで、今日1日何もありません。
お昼ご飯は小さなパンが3つとサーモンのマリネ、コップに半分ほどの高スープ、そしてみかんが1個
はっきり言って、この量で夜6時の夕飯まで耐えられません
でも、耐えなきゃいけないのよ。緊急外来に入院しているからむやみに外に出ることはできません
こんな暮らしが来週まで続くとは。
小説でも、書いていなになけりゃ、暇で気が狂いそうです。




