プロローグ
その神は人間になりたかった。
人間は不思議な生き物だ。
生まれ、出会い、愛し、そして死にゆく。
死ねば悲しむ。
別れれば悲しむ。
裏切られれば怒り、愛されれば喜ぶ。
その全てを私は知っている。
ーー知識としては、、、
「また、一つ消えてしまいました」
声が空間に響いた。
毎日何度も幾度も耳に入る言葉だ。
眼下で小さな光が消えていく。
人間の命だ。その隣にある光が震えている
一つが消えただけなのに、残された光は震えていた。
私にはそれが理解出来ない。
「何故震える、何故悲しむ」
『大切な物を失ったからでしょう。』
「大切?」
『はい、』
分からない。その感情を私は知らない。
「いずれ死ぬと知っていたはずだ」
『……そうですね、』
「ならば最初から愛さなければいい」
「人を愛するというのはどういう事なんだ?」
答えは返って来なかった。
私はもう一度世界を見る
何度観ても理解する事は出来ない。
限りある命。不完全な身体。制御出来ない感情。
人間とは、なんと不合理な生き物なのだろう。。
それなのに私はずっと目を離せずにいた。
笑う者がいる。泣く者がいる。誰かを抱きしめる者もいる。愛する者を守る為に自らの命を投げ出す者も
理解出来ない。
だからこそ――
「決めた」
『…何をでしょう?』
「私も人間になる。」
長い沈黙があった。空気が重くなる。
『…本気で仰っているのですか?』
「あぁ」
『貴方が居なくなることで世界にどれ程の被害が加わるか、貴方が此処を、この世界を想像されたのですよ?』
「構わない。」
『我々の事も、この世界を管理していたことさえ、全て忘れるのですよ……』
それでも構わなかった。
私はただ、知りたかった。人の感情を。
「人を愛するというのはどういう事なんだ」
その問いに誰も答えてはくれなかった。
だかは自分で確かめる事にした。
『……はいつも勝手なんだから…』
微かに声が聞こえた、様な気がした。
その声は神の耳には届いてはいなかった。。
その日世界から1人の神が消えた。
そして十数年後―
世界で最初の異常が観測された。
それはまだ誰にも知られていない。
たった三秒間の
【世界の停止】だった。
初めまして。瀬明と申します。
趣味で小説を書き始めました。
大切なお時間をこちらにお使い頂きありがとうございます。




