第2話
あの日から一週間がたった頃
有言実行とはこのことで
国一番の近衛騎士であるリョウタは
本当に、毎日リョウカの店に通っていた。
王宮の鐘が夕方を知らせると同時に
店のドアに吊るしてある鈴が来客を知らせる。
そこから現れたリョウタは
相も変わらず近衛騎士服を身にまとい
あの雨の日にリョウカが送った一輪の花が
胸に挿されていた。
「こんにちわ、リョウカ。今日も綺麗だね」
「こ、こんにちは…って本当に毎日来てくださいますが
仕事の方は大丈夫なんですか?!」
「問題ない。普段から書類仕事はさっさと
片付けるようにしているからね。」
「それなら、良いんですが…」
何時ものハーブティーを出したリョウカ
彼は、そのカップを手袋を取り、受け取った。
「リョウカが淹れるお茶は
やはり美味しいな。」
「王宮にも、美味しいお茶はあると
思うんですけど…」
「あんなのは、ただの水に近いよ。
色のついた水って言ってもおかしくないけどね」
「えぇ…そこまで言っちゃうんですね…」
結構、とんでもないことを言うリョウタだが
これはすべて、彼の本心である。
リョウカの胸はドキドキしたままである。
「ところでリョウカ
手に持っている花束はどうしたんだい?」
「あ、これは、茎が曲がっている
アネモネとバラで作ったものです。
不格好ではあるけど、綺麗だと思って」
「たしかに、すごくきれいだな」
「ですよね!アネモネも色によって意味が
変わるんですよ!基本的には、はかない恋なんです!
赤は、『あなたを愛してます』・『燃え上がる情熱』
黄色は、基本的なものと一緒で
白は、『希望・期待・真実』
よく見る青は、『固い誓い』
紫は、『あなたを待っています』となるんです!
バラも色によって意味が変わるんですが
薄いピンクは『しとやか』や『満足』って意味で
不揃いから生まれる美しさが
皆違っていいなって思うんですよね!
…あ、すみません!長かったですよね…」
リョウカの語りを
頬杖をついて聞いていたリョウタ
椅子から立ち上がり
リョウカとの距離を詰めた。
「そんなことは無い。
むしろ、花について語る君の姿は
どんな宝石よりも輝いていて、綺麗だ。
確かに、王宮の人間は同じで有ろうとするが
君は、不揃いのままでいいと教えてくれた。
この花束を買いたいのだが、良いだろうか?」
「え!?さすがにお金はいただけませんよ!
売り物にならないもので作ってますから…」
リョウカは断りを入れたのだが
リョウタは折れることなく
多めの花代をおいて帰っていった。
「さすがに、多いよ…
お釣りも受け取らずに帰っちゃったし…
明日も来るんだよね?心臓、持たないよぉ…」
なんて呟いたリョウカ。
彼女のキャパをはるかに超えた
騎士の溺愛は降り注ぐのであった。




