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第六十六話 最後の条件

数日後。

湯の沢公民館。

夜。

集まっているのは

反対派の七十人だった。

机も資料もない。

ただ

円になって座っている。

中央に立っているのは

川上。

川上は腕を組んだまま言った。

「今日は」

一拍。

「本音で話す」

静かな声。

「湯沢の計画」

「医療リゾート」

「百八十億」

周囲を見渡す。

「どう思う」

最初に口を開いたのは

建設業の男だった。

「悪くない」

一拍。

「村に金は落ちる」

次に

農家の男が言う。

「医者が来るなら」

「ありがたい」

だが

別の男が言う。

「失敗したら?」

一拍。

「スキー場みたいに」

空気が重くなる。

川上は黙って聞いていた。

やがて

白樺の湯の常連の老人が言った。

「村が借金背負うのか」

川上が答える。

「背負わない」

一拍。

「民間事業だ」

老人が言う。

「なら」

一拍。

「反対する理由は」

静かな声。

「減ったな」

別の男が言う。

「中国人の話は?」

川上が答える。

「御代田家の血だ」

男が言う。

「それは聞いた」

沈黙。

川上が

ゆっくり言った。

「わしは」

一拍。

「この計画」

静かな声。

「まだ信用していない」

全員が川上を見る。

川上が続ける。

「だが」

一拍。

「完全に嘘でもない」

周囲がざわめく。

川上が言う。

「だから」

一拍。

「最後に」

静かな声。

「条件を出す」

その翌日。

湯沢の古民家。

川上は

湯沢と李の前に座っていた。

「条件は三つだ」

指を立てる。

「一つ」

一拍。

「白樺の湯」

静かな声。

「村人が今まで通り使えること」

湯沢が頷く。

「約束します」

川上が続ける。

「二つ」

一拍。

「医療」

静かな声。

「保険診療を必ず続けること」

常田の言葉を思い出しながら

湯沢が答える。

「当然です」

川上が三本目の指を立てた。

「三つ」

一拍。

「事業が失敗した場合」

静かな声。

「村に借金を残さない契約を明文化すること」

部屋が静まる。

李が言う。

「それは」

一拍。

「できます」

湯沢も頷いた。

「銀行とも整理します」

川上が

ゆっくり立ち上がる。

「なら」

一拍。

「わしは」

静かな声。

「反対をやめる」

それは

反対派のリーダーが出した

最後の判断だった。

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