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第五十三話 弥生パーク構想

数日後。

再び

白樺の湯 会議室。

ホワイトボードには新しい文字が書かれていた。

「弥生パーク構想」

湯沢が腕を組んで言う。

「……名前が軽いな」

箕輪が言う。

「軽いくらいがいいのよ」

李が苦笑する。

「まあ、仮称です」

常田が資料をめくる。

「それで」

「具体的には?」

箕輪が説明を始めた。

ホワイトボードに図を書く。

遺跡区域。

そこに小さな丸をいくつも描く。

「復元住居」

「五棟くらい」

李が言う。

「弥生の竪穴住居ですね」

箕輪が頷く。

「そうそう」

「あと」

四角を書く。

小さな資料館

湯沢が聞く。

「誰が管理する?」

箕輪は即答する。

「市」

李が言う。

「押しつける気ですか」

箕輪はニヤリとする。

「共同事業」

常田が言う。

「まあ、観光資源にはなります」

箕輪は続ける。

「それと」

線を一本引く。

遊歩道

遺跡をぐるりと回る道だ。

箕輪が言う。

「ここ」

「リハビリコース」

常田の目が光る。

「なるほど」

湯沢が聞く。

「距離は?」

李が図面を見る。

「一周」

「八百メートル」

常田が頷く。

「ちょうどいい」

「リハビリ歩行に」

箕輪が言う。

「しかも」

一拍。

「景色いい」

窓の外。

白樺林。

その向こうに浅間山の稜線。

湯沢が言う。

「観光客も歩くな」

李が言う。

「温泉」

「遺跡」

「散歩」

箕輪が笑う。

「健康テーマパークよ」

常田が言う。

「テーマが」

一拍。

「二千年の健康」

湯沢が吹き出した。

「キャッチコピーまでできたのか」

箕輪は胸を張る。

「広報担当ですから」

その時。

ノック。

教育委員会の職員が入ってきた。

「失礼します」

湯沢が言う。

「どうぞ」

職員が言う。

「発掘調査ですが」

「住居跡は」

一拍。

「十数棟分ありそうです」

箕輪が目を輝かせた。

「最高じゃない!」

李が言う。

「増えてますね」

職員が続ける。

「しかも」

「炉跡が残っています」

常田が聞く。

「炉?」

学芸員が説明する。

「竪穴住居の中央にある」

「火を使う場所です」

箕輪が言う。

「再現できる?」

学芸員が頷く。

「できます」

箕輪はホワイトボードに書いた。

弥生火起こし体験

湯沢が言う。

「完全に観光施設だな」

箕輪が言う。

「だからいいの」

一拍。

「人が来る」

李が言う。

「医療施設の宣伝にもなる」

常田が静かに言った。

「温泉療養」

「歴史」

「自然」

一拍。

「これは面白い」

湯沢は窓の外を見た。

白樺の林。

その下に眠っていた

弥生時代の村。

湯沢が小さく言う。

「二千年前の人間も」

一拍。

「ここで暮らしてたんだな」

箕輪が言う。

「たぶん」

「温泉にも入ってたわよ」

李が笑う。

「弥生温泉療法ですね」

湯沢が言う。

「それ」

一拍。

「パンフレットに書くなよ」

会議室に笑いが広がった。

こうして

湯の沢メディカルリゾート計画は

医療施設に加え

弥生パーク

という新しい要素を取り込み

さらに大きな計画へと

姿を変えていった。

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