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17.略奪

 二三迷いはしたが、ようやく森を抜け麓まで辿り着いた。しかしここからが問題だった。


「どっちに進めばいいんだ……?」


 帰り道がわからない。いや、もはや帰る場所すらないのだが。路頭に迷うとは正にこのことだ。

 空はまだ明るいが時期に日も暮れるだろう。その前に何としても衣食住を確保したいところ。しかし歩けど歩けど周囲には草木に土道が延々と続くだけ。村や街が近くにあるのかさえユウは知らなかった。

 こりゃ今夜は素っ裸で野宿決定かと諦めが頭を過った時だった。

 少し離れた場所からガタガタと何かの音が聞こえた。馬の蹄の音も聞こえる。


「馬車か……」


 しめた、そう思った。馬車を襲って衣服や金目の物を奪う。あわよくば近くの村や街へ脅して運ばせればいい。

 ユウはすぐさま近くの茂みに身を隠し息を潜めた。

 ここから馬車をじっと観察する。

 二頭の茶色馬が牽引する木製の荷馬車だ。多分何か荷物を運んでいるのだろう。


 ――よし、もう少し近づいたら一気に飛び出して……。


 そんなことを考えていたその時、


「止まれぇええ!」


 誰かの野太い大声が木霊した。

 ユウは驚いて動きを止め息を殺す。

 その瞬間、少し離れた茂みから小さな火球が飛び出し走行中の馬車の目前で弾けた。それにより驚いた馬が悲鳴をあげて緊急停止した。

 茂みから馬車の前にぞろぞろと現れたのはヘンテコな格好をした男共だった。数は全部で五人。この距離に居たのに気が付かなかったのは奴らが気配を消していたからだろう。

 ユウの目が捉える、男達の身体から漏れ出るマナの揺らめき。


 ――ザコ……だよな。


 決して弱者では無い。以前の自分を基準に考えるのなら一般人よりはかなり強いはずだ。だが今のユウには奴らが羽虫程度にしか感じられない。


「な、何なんだおめーらは!?」


 馬車を操縦していた御者の男が焦った表情で叫ぶ。


「見てわかるだろ?俺たちは山賊だ。死にたくなければ荷物を全て置いていけ」


 男共の真ん中で偉そげに腕を組む大柄な男がそう言うと、他の連中はケラケラと笑い始めた。何となく、奴が親玉っぽい。


「ふ、ふざけるな!これは家の商売道具だぞ!」

「ほう、嫌ならいいんだぜ?そのかわり殺して奪うだけだがな」

「くっ、」


 馬鹿なやつだ、とユウは思う。戦力差を考えてものを言え。積荷を渡す以外に選択肢は無いだろうに。


「お頭、積荷を確認してたら……こんな奴がいやしたぜ!」

「嫌っ、離して……!」

「ミーナ!!」


 一人の部下が馬車の荷台から一人の少女を引っ張り出してきた。少女はユウより少し年下くらいだろうか。茶色い髪で可愛らしい顔立ちの、まだあどけない少女。御者の男の娘か何かだろうか。


「ほお、まだガキだが上玉だ。よし、このガキも頂いていく」

「やめろ!娘を離せ!」


 御者の男は大声を張り上げるが、


「面倒だ、父親は殺せ」


 親玉が言うと、周りの部下たちはヘラヘラと笑いながら武器を構えて近づいていく。

 その様子を伺いながら、ユウは思考を巡らせた。


 ――どうする……。


 悩んだ末に、ユウは決断した。不意打ちを仕掛ける。

 ユウが掌にマナを集約し、マナブラストを撃つ予備動作に入った。

 その瞬間、


「――なっ、何だ!?そこに誰かいるぞ……!」


 親玉の男がこちらを指さし大声で叫んだ。

 突然のことで驚いて、ユウの心臓が縮む。


 ――何だっ、何でバレた……!?


 だが盗賊達は完全に警戒心を持ってこの茂みの奥を睨みつけ弓を構えている。少しでも動けばきっと位置を気取られ攻撃されるだろう。

 親玉が叫ぶ。


「誰だ!?いるのはわかってる!さっさと出てこい……!」


 奴らが襲いかかってくるのも時間の問題だろう。


 ――仕方ない……作戦変更だ。


 ユウは意を決して茂みの中からゆっくりと姿を現した。

 ユウの姿を見て、盗賊たちは怪訝な顔を見せた。


「な、なんだてめぇは!?」

「裸だぞ……」

「てめえそこで何してやがった!?」


 盗賊の下っ端共は素っ裸のユウを見て困惑した表情を見せるが、全員武器を構えてしっかりと警戒していた。

 しかし親玉の男だけは違った。彼だけは顔を青くし、全身から冷や汗を流しながらごくりと唾を飲み込み黙り込む。


「お頭、こんなわけのわからねえ奴さっさと殺っちまいましょう……お頭?」


 親玉の異変に気づいた一人の子分が首を傾げる。


「お頭……!どうしたんです!こんな奴さっさと」

「わ、わからねぇのか……お前ら……こいつはバ、バケモンだ……」


 震えながら酷く脅えた表情で親玉は言う。


「バ、バケモン?」

「ぁ、あありえねえ……こ、ここいつは人間じゃねぇ……」


 真っ青な顔で完全に戦意を喪失した親玉を見て、ユウは思う。


 ――こいつ、俺を見て怯えてるのか……。


 そうか、と思い出した。

 以前ベルザムが言っていた。強大なマナは少し離れた場所からでも感知できると。現にユウだって離れた場所にいる魔獣の居場所を感じ取れたわけだし、この盗賊達のマナを見て、ある程度実力を測ることも出来た。


 ――さっきこいつらに居場所がバレたのはそのせいか……。


 ユウが考えを巡らせていると、


「おいてめえ!何黙ってやがる!殺されてえのか!?」


 そう叫んだ子分の一人がナイフを抜いて、ズカズカとユウの元まで歩み寄った。

 親玉が「よ、よせっ……殺されるっ」と止めても子分は聞く耳を持たず、


「この野郎ぉお!」


 ナイフを振り上げた。

 ユウの常人離れした動体視力が、ノロマな刃の動きを捉える。ほぼ脊髄反射でそれを躱し、マナ強化を施した右ストレートをユウは迷わず男の顔面に叩き込んだ。

 鈍い破裂音がなり、男の顔面は砕け散った。血を撒き散らしながら列車に跳ねられたみたいに身体ごと弾け飛ぶ。

 ユウの手に残る不快な感覚。


 ――そうか……全力はまずい……。


 マナ強化を解除し、身体の力を抜く。

 周囲を見やると、皆呆然とした顔で立ち竦んでいる。状況が未だ読み込みきれていないのだろうか。

 ユウが視線を向けると、


「ひっ」


 弓を構えていた別の盗賊が小さく悲鳴を上げた。

 大地を砕く程の強烈な踏み込みが、常人には認識すら不可能な高速移動を生み出す。盗賊達が瞬きした合間には既に、弓を構えていた男の身体はユウの前蹴りによって吹き飛ばされた後だった。

 足裏に残る感覚が相手の戦闘不能を教えてくれる。確実に肋骨を砕き内蔵にダメージを与えたはず。もはや意識すらあるまい。


 ――なるほどわかってきた……力の調整の仕方が。


 続いてユウがターゲットを移した。視線を送ったのは少し離れた場所にいたナイフを握る男。


「な、なななんなんだてめぇええっ!!」


 男は膝を震わせながら叫んだ。攻撃でも防御でも逃走でも命乞いでも無く、男が最後に選んだ行動はただ叫ぶだけ。そんな盗賊の姿を見て、ユウは心底哀れんだ。同時に人間に対する不快感が腹の底からふつふつと押し上ってくる。


 ――ゴミ共が……ゴミは処分してやる……。


「ひいぃッ」


 盗賊達は震えた。まるで身体が鉛のように重く冷たく動かない。その男の温度のない冷徹な視線が彼らを心の臓から震え上がらせ、抵抗の余地すら起こさせないのだ。

 ユウは右手にマナを集約させ、無慈悲に技を行使した。


「マナブラスト」


 制限はした。しかしそれでも尚余りある火力が、轟音と共に地面ごと目の前の男を消し飛ばす。


 ――手加減したのに……やっぱまだ制御が難しいな。


 残った盗賊は子分ひとりと親玉だけ。

他よりなまじ力量があるからだろうか。ユウから溢れ出る常軌を逸したマナに気圧され、親玉は放心する。残った子分は震える足を何とか動かし、


「くっ、来るなぁああ化け物ぉおおおッ……!」


 刀剣を抜いてユウに斬り掛かった。

 ユウは右手の指二本、中指と人差し指を立ててマナを集中、指先を強化。その指先で襲い来る刀を迎え撃つ。

 ガキンッと鉄柱を打ち付けた様な歪な音が響き、折れた刀身がくるくると回って背後の地面に突き立った。


「は……え……?」


 有り得ない現象を目の当たりにし、盗賊は口を開けたまま折れた剣を握って立ち竦む。

 そんな男に対し、ユウは高密度のマナを帯びた指先を向けた。

 小規模のマナブラスト。しかし今度はマナの密度が高く、砲撃と言うより貫通力の高い弾丸の様な一撃となった。故に男の身体が吹き飛ぶことは無かったが、代わりに彼の腹部には致命的な風穴が空いた。

 腕が一本通りそうな腹の穴から大量の血が吹き出し、男は痙攣しながら前のめりに倒れた。


「またやり過ぎた……手加減しようと思ったのに」


 しかし何故だろう。どうしてあれ程苦労したマナ操作が、今はこれ程簡単に思えるのだろうか。


 ――もしかして俺、天恵はないけどセンスはあったのか……?


「あとの課題は出力の微調整と……魔術だよな」

「ヒッ……」


 手にマナを集めながら、一人残った親玉を見た。

 完全に戦意を喪失した顔で親玉は震え、掠れた声で言った。


「た、頼む……命だけは……」


 その無様な命乞いを見て、ユウは思わず笑を零した。


「他人を殺して奪おうって奴が返り討ちにあって命乞いか。あめーんだよ」

「ぐ……」


 ユウは再び右手にマナを集めた。


 ――今なら、出来る気がする……。


 属性は風、形状は刃、狙うは胴、出力、角度、射出速度を設定し、明確なイメージを頭の中で構築する。


「クソったれ……!」


 親玉が掌に火球の生成を試みるが、もはや間に合わない。


「エアスラッシュ」


 ユウの魔術は高速で対象に到達した。圧縮された空気の斬撃が筋肉質な男の胴体を見事に両断し、勢い余って地面にまで深く傷跡を残し消失した。

 切り落とされた上半身が力なく地に落ち、数秒遅れで仁王立ちの下半身がボテっと倒れる。

 ユウは口角を上げて薄ら笑を浮かべた。

 ゾクゾクする。人を殺したと言うのに高揚感が収まらない。まるで全知全能にでもなった気分だ。今なら何でも出来る気がする。

 ユウは手の平を見つめながら小さな旋風を作り出す。


 ――風の魔術……初めてまともに使えたな……。


 魔術にはその属性の特性を活かしたある程度の攻撃パターン、テンプレートが存在する。先程のエアスラッシュは風属性魔術で最も初歩的な魔術のひとつだ。しかし以前はその初歩すらまともに使えなかったわけだが、今ではこの通り高い精度で放つことが出来る。

 マナの知覚がより鮮明になったことで、マナ操作技術だけでなく、魔術の技量までもが向上した。


 ――俺はもう、雑魚で惨めな無能勇者じゃない。


 ユウは手の平の旋風を握り潰して笑った。

 するとユウは素足のままゆっくりと歩き出し、前蹴りで内蔵を潰した盗賊の子分の元へ赴いた。

 そいつから服を全て引っペがし羽織ってみる。


「うーわだっせぇ……しかもくせぇ……」


 服のセンスはまだしも、服もズボンも靴も何もかもが不潔だ。多分何日も洗ってないんだろう。汗臭い酸っぱい匂いがする。

 しかし他の連中のは全部ボロボロだったり血で汚れてたりしているし、我慢してこれを着るしかない。


「え〜と他に使えそうなものは……」


 一応他の盗賊たちの持ち物も漁っておくと、親玉の懐から小汚い麻袋が出てきた。中には硬貨がいくらか入っている。フェルマニア硬貨だ。


「ちっ、しけてやがんな」


 ユウは奪った麻袋をポケットにしまう。


「あと使えそうなのはこのナイフくらいか」


 回収したのは刃渡り二十センチくらいのちょっとボロい盗賊のナイフ。心もとない得物だが、無いよりは幾分かマシだろうか。


「ん〜他には……」


 ユウが物色を続けていると隣から、


「な、なぁあんた……助けてくれてありがとな」

「あ、ありがとう……」


 御者の男と少女が話しかけてきた。存在を忘れかけていたが、そう言えば助けたのだった。

 そう、ユウは明確な意思を持って彼らを助けた。ユウは当然馬車を操縦出来ないし道もわからない。盗賊たちを半殺しにして脅したからって、盗賊が馬車を乗りこなせるかは分からないし、そもそもユウの脅しに従わなかったかもしれない。だからこの男達を助ける以外に選択肢は無かった。


「別に、大したことはしてないさ」

「いやいや、あんたのおかげで俺も娘も助かった。あんたはきっと女神の使いだ。本当にありがとう」

「ありがとうございます」


 男とその娘は深く頭を下げた。


 ――こいつらは俺を見てもビビったりしないのか。


 盗賊団の子分たちもユウのマナに対して反応してる奴はいなかった。唯一怯えていたのは親玉だけ。おそらくある程度マナ操作に長けた人間でなければ相手のマナや技量を見抜くことは出来ないのだと思う。実際に以前はユウもそうだった。一神達やベルザムが凄いのは何となくはわかっても、どれ程強大なマナを持っていたのかまでは分からなかった。

 とは言え、これでは自分の存在を周囲にアピールしながら歩いてるのと同じ。このままでは困る。

 ユウはベルザムに受けた訓練を思い返す。


『戦場でマナの抑制が出来なければ自分の位置を敵に教えているも同然だ。この様に、自身から溢れるマナを常に最小限にコントロールしろ。いついかなる時も無意識にこれが出来るように鍛錬しろ』


 ベルザムはそう言って自分のマナを身の内に限界まで押さえ込む方法を勇者達に伝授していた。実際にその訓練はユウも受けたが、あのときは赤子程度のマナしか持たない自分には関係ない話だと思っていた。


 ――確か……。


 ユウは試しに全身のマナを抑え込んでみる。

 すると身体から漏れ出るマナがぐんと小さくなった。

 案外簡単に出来た。やはりマナ操作技術は向上している。だが、これを常に維持し続けるとなるとかなり難しい。気を抜いたらマナが溢れてしまいそうだ。


 ――慣れるっきゃないな……。


 目の前の親子はきょとんとした顔でユウを見ている。ユウから溢れていたマナの変化には全く気がついて無いんだろう。


「礼はいい。それより代わと言ったらなんだけど、近くの村か街まで運んでくれないか?足が無くてね」

「あ、ああ。そんなことでいいならお安い御用だ」


 男に案内され、ユウは早速馬車の荷台にずかずかと乗り込む。


「それじゃあ、出発するぞ」


 御者台から男がそう言うと、ゆっくりと馬車が走り始めた。

 しかし荷台には大きな木箱や樽なんかが沢山積んであって思った以上に狭苦しい。この樽はなんだろう。確か御者の男は商売道具と言っていたが。


「窮屈ですまないな。それはウチの商品なんだ。ポーデの村で作られる酒が評判良くてな、わざわざ出向いて大量仕入れしちまったんだ。だがそのエールの味は格別だぞ」

「酒屋か」

「ああ、宿と酒場を兼営してるんだ」


 宿と聞いて、今後の寝床はどうしようかと頭を過る。今向かってる街でどこか部屋を借りられるだろうか。


「ねえ、お兄さんウチに泊まっていきなよ!勿論タダで!ねーお父さんいいでしょ?」


 少女は元気な声で提案する。


「そうだな、あんたが良いならウチに泊まってくれてかまわない。金も要らねぇ。命の恩人から金なんかとったら、カミさんに怒られちまう」

「いいのか?」

「ああもちろん」


 盗賊から奪った金もいくらあるか分からないがそんなに多くはないはずだし、ありがたい申し出だ。しかしその肝心な宿とやらは何処にあるのだろう。


「そう言えば、今どこに向かっているんだ?」

「王都だ。ウチの宿屋も王都にあんのさ。聞いて驚け、何と南区の一等地だぞ?」


 げっ、とユウは顔をひきつらせた。

 まさかの王都行き。王都なんて彷徨っていて見つかりでもしたら、また第一王女に狙われかねない。

 いいや待てよ、と思う。流石に第一王女達もユウのことは死んだと思っているはず。城から見下ろしただけだが王都はかなり広かった。人も多い。それにユウの顔を知っているのは貴族の連中と城内の人間だけだ。城にさえ近づかなければ見つかる可能性は低いかも。だがユウは異世界人、日本人顔に黒髪黒目だ。目立つんじゃなかろうか。


「なあ、ひとつ聞きたいんだが、俺のこの黒髪は珍しいか?」

「ん?黒髪?んなもん別に珍しくもねぇと思うが」

「私のお母さんも黒に近い茶髪だよ?」


 黒髪が珍しいということはないらしい。なら顔さえ隠せばバレる危険性も少ないだろうか。

 いやまて、と思い留まった。


「なあ、何で俺を泊めてくれるなんて言い出したんだ?それも無償で。丁度行くあてのない俺の前に、偶然出会った奴らが宿屋の経営主って……話がうますぎると思わないか……?」


 ユウは盗賊から奪ったナイフの柄を悟られぬ様にゆっくりと握った。


 ――大丈夫、俺は強くなったんだ……今までとは違う……もしもの場合は即座に殺してやる。


 こいつらが第一王女の手先だという可能性がある。ユウを宿に泊めると見せかけて、そこに奴らが待ち伏せしているとか。こんな場所で盗賊に襲われている人間に遭遇するなんて、そもそも出来すぎている。全部芝居だったのか。じゃああの盗賊たちもグルの可能性があるじゃないか。また騙されて


「ふふっ、変なこと聞くのね。そんなのお兄さんが助けてくれたからに決まってるじゃない」

「…………、」


 少女が無邪気に笑ったのを見て、ふと我に返った。


「そうそう、あんたは俺だけじゃなく娘の命お恩人でもあるんだ。礼くらいさせてくれよ」


 ――バカか、考えすぎだ。子供連れでそんなことするか。そもそもそんな回りくどいやり方をせず、あのルーナスって男が直接来るに決まっている。


「す、すまない……疲れてるみたいだ……近頃寝不足でな……」


 我ながら酷い言い訳をしている気がして苦笑する。


「ふふっ、変なの。そう言えば何でお兄さん裸だったの?」

「あ、えと、その……盗賊に持ち物を奪われて……」


「「え……?」」


 間違いなく酷い言い訳だった。


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