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【完結】勇者学園とスライム魔王 ~ 勇者になりたい僕と魔王になった君と ~【4万PV感謝!】  作者: 冒人間
最終章

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第6話 『彼ら』と感情論


 それは、フィル達が勇者学園を出発する直前のこと―――


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「だから僕も―――僕達も、戦います!!」

「きゅるっ!!」


「っ………!」


 フィルと彼の肩に乗る小さなキュルルの力強い言葉に、アリエスの心は揺れる。


 出来ることなら、このまま彼らの意志を組んであげたい。

 しかし―――!


「許可しよう」


「―――!?

 コーディスさん!?」


 懊悩するアリエスの後ろから投げかけられた声の主―――コーディス=レイジーニアスを、彼女は驚愕の目で見つめる。

 そして、慌てて声をかけた。


「ま、待ってください!

 彼らの気持ちは分かります!

 けれど―――!」


「アリエス先生―――私はただの感情論で彼らの同行を許可した訳じゃないよ」


「え―――?」


 呆けたような声を上げるアリエスを前に―――


「―――いや、違うな」


 コーディスは―――朗らかに笑いながら告げた


()()()()()()彼らの同行を許可したんだ」


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 そして―――


 彼らが『10体』の『水晶ゴーレム』の姿を確認した時のこと―――


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「っ………!!」


 馬車に乗っている生徒達は―――誰もが息を飲み、『それ』らを見つめていた。

 自らの身体の震えは、残念ながら武者震いではない。


 地平線を埋め尽くさんとする程の魔物の群れ、そして大地を踏み鳴らす『水晶ゴーレム』の巨躯は否応が無しに彼らの恐怖心を呼び起こす。


 ―――早まってしまったのではないか。

 ―――その場の熱に浮かされ、分不相応な場所に来てしまったのではないか。


 そんな弱音が、生徒達の心の中に生まれかけていた。


「―――皆」


 そんな生徒達に―――その男は、はっきりと告げた。



「信じているよ」


「「「「「――――!」」」」」



 その男―――コーディス=レイジーニアスからの言葉を聞いた瞬間―――


 生徒達の身体の震えは、止まっていた。


 そして―――コーディスは彼らに向けて、その『魔法』を唱える。



「《エンハンス・フィジカル》!!」



 次の瞬間―――――


 ―――シュウゥゥゥゥウウウウウウウ……!!


 その場に居る生徒達全ての身体から、光の粒が溢れ出し―――!



「オメェらぁああああああああッッ!!!!」

「行くぞぉおおおおおおおおおおおおッッ!!!!」



 ミルキィとヴィガーの叫びに呼応した生徒達は、一斉に馬車から飛び出すのだった―――!


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「あの人が―――?

 まさか、そんなことが―――!」


 アルミナからの説明を聞いたスクトは、『信じられない』という表情を隠すことが出来なかった。


「私達としても、驚きと同時に中々複雑な気分だよ」


「ふふ……」と、軽く笑いながらアルミナは告げるのだった。


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 コーディス=レイジーニアスの持つ『エクシード・スキル』―――【ドラスティック・トラスト】

 それは自らの使用する魔法の効力を数百倍に引き上げることが出来る、というもの。


 但しその対象は―――自らが『心の底から信頼を置いた相手』、に限られる。


 その対象は、彼が常に連れ歩く蛇達以外にはいない―――はず、であった。


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「「「おおおおおおおおッッッ!!!」」」


 生徒達は戦場を駆ける。


『勇者一行』のメンバーに引けを取らない力を振るいながら。


 コーディスの身体強化魔法 《エンハンス・フィジカル》をその身に受けた証である、光の粒を身体から振りまきながら―――


「全く、長年共に戦ってきた私達にはちっとも効果が出なかった癖にね―――《エレメンタル・シャワー》!」


 ウィデーレ=ヘイムが『槍の雨』を『水晶ゴーレム』に降り注がせながら、ぼやくように呟き―――


『ある意味、この結果こそがあの子達が「勇者」であるということの証なのかもね。

《デグレード・デッドリー・ロアー》!』


 ロクス=エンドが首元のチョーカーから『音の塊』を『水晶ゴーレム』に叩きつけながら、ウィデーレの言葉に応じ―――


「ホント、物凄い力とか魔法とかを見せつけられるより、よっぽど吃驚仰天ですよねー。

 あっ、怪我した人こっち来て下さーい。

《ハイ・ラピッド・リカバリー・サークル》」


 ヴィア=ウォーカーが自身の周囲50メートル内に存在する、全ての味方の怪我を瞬時に回復しながら呑気そうな声を出していた―――


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「―――仮にその話が本当であったとしても」


 スクトは改めてアルミナへと話しかけた。


「コーディスさんの《エンハンス・フィジカル》はあくまで『身体能力』が強化されるだけ。

 それだけで対応できるようになるほど、『レッドエリア』の魔物達―――そして『水晶ゴーレム』は(ぬる)くはありません。

 それに『アレら』の相手をするには強力な魔法は必須。

 魔力だってすぐに尽きてしまうはずです」


「私だって、ただ『コーディスの助けがある』というだけで彼らにあの場を任せる判断はしないよ」


 アルミナは「しかし―――」と言葉を続ける。


「今の彼ら自身にも―――『力』はあるのさ」


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