復讐の旗揚げ 3
魔族。まして、魔王の娘だ!! 魔力は絶大である。
もうすでにチート状態で殆どの破壊魔法を会得している。
ただ破壊魔法に集中しすぎて防御魔法や回復魔法まで覚えられなくなったのでそこは物理で補おうと剣技をおぼえているだけ。
まあ、チート能力の破壊魔法を使えば防御魔法は不必要なんだけど。
攻撃は最大の防御!と私は思っているんだけど。
魔王である父には『戦争と言うものは何が起きるかわからん』と忠告されたので身を守るための剣技を今は練習中。
防御魔法や回復魔法を覚えるにはもう少し私が成長する必要があって、生まれて間もない私……魔族は宝玉から成人状態で生まれるのだ……は許容限界まで破壊魔法に使ったので空きが出来るまで時間を置かなければならないらしい。
そう言うことなのだ。
そして、にっくきアレックスとエリスのいるヒューマン族の世界は地上にあり、私のいる魔族の世界は地下にある。
私は上を覆う地上の表地を見つめた。
「今に見てろよ、アレックス!! テメーの国ごとぎったんぎったんにぶっ壊して土下座付いたところをこの剣で切り裂いて河へおとしてみせますわ!!」
私は雄叫びを上げてアハハハと魔王の娘というか悪役らしく笑った。
「悪役過ぎる」
「何か言った? カイル」
「いえ」
リリア・エルドス・エスターは清楚で大人しく良識があって何時もアレックス王を立てるために一歩控えて仕えていた。が! 今はあの頃の私は何ておバカだったのか!! と思ってる。
前世の私の命と言う高い授業料を払ったけれど、そんなことしても無駄な野郎には無駄だってわかったのは良かったと今は思っている。
今世は絶対に間違わない! ええ、そうよ。間違えたりしない!
隣で片膝をついて控えているカイルが地下の大地の更に下に落ちるようながっくりと脱力して顔を伏せるようすが少々痛々しいけど、報復が済んだらきっと私は少しは落ち着くと思うわ。
それまで我慢してほしいの。
それに。
私はすっと剣を鞘に戻してこれまでずっと決意していたことを彼に告げた。
「そろそろ、地上制圧に乗り出そうと思うわ」
「え!?」
私は驚くカイルの姿を見てにこやかに微笑んだ。
「そう、ここと地上を結ぶ黒流湖から地上へ出て先ずはマランの国へ行くの」
「え? エルドスでは?? 確かエルドスの王と不倫相手に冤罪を着せられて処刑されたのでは?? 何故マランに??」
そうね、驚くのは最もよ。
「カイル、それはもっともな意見だけどアレックスとエリスに恐怖を味合わせるたいのよ。周囲の国を崩壊させて恐怖がじわじわと迫っていると思い知らせて……そうそう、真綿で首を絞めるように……ふふふ……うふふふふ」
「邪悪」
「カイル! だいたい魔族は魔王以外の命令では動かないし、魔王は地上に興味がない。だけど私は恨みを晴らしたい。目には目をじゃなくて顔全体よ!!」
「いやいや、それ違いますし!」
「いいのよ! あの二人を私の破壊魔法で倒して終わりっていやなの! あの時に私が味わった絶望と恐怖を味あわせて……それから倒すのよ!」
「しかし……そんなにうまくいくでしょうか?」
私はカッと青い目を光らせてカイルを睨んだ。
「上手くいかせるのよ!! マランもローマアーナもエルドスも私の破壊魔法で一発決着vv」
「リリア様……他を巻き込んでって邪悪すぎます」
「マラン、ローマアーナにエルドスの順で終わらせて、あの三国が崩壊したら地上征服は簡単ですものvv」
「行き付くところはそこですか……地上征服って話が何か壮大で違う方へ行っている気がしますけど」
私は身体を伸ばすと長い金糸の髪を紐で束ねてカイルを見た。
「まあ、カイルは私の戦勝報告を待っててくれればいいから、ゆっくりノンビリしていてちょうだい」
「は!? 何を言いますか! 魔王様からリリア様のお目付け役と言うこの大役を拝命したのですから天の上までも付いてまいります……というか、私、最初から頭数に入ってなかったとか??」
ショックを顔に書いたような表情でカイルに見つめられて私は慌てて答えた。
「えー……入ってなかったけど……ううん! 入ってる!入ってる! では、行きましょう!! ぎったんぎったんの旅に!!」
「……ぎったんぎったんって……」




