エルドスへ 2
マランは西側からエルドスへと攻め込み、東はローマアーナとエスターの連合軍で進攻する。
エルドスは大国の一つだけれど、大国二つと小国であっても力のあるエスター国を含めた三国からの包囲網に耐えることはできない。
私とカイルはマラン王から用意された馬に乗りエルドスの領内へと入った。が、その領内の村や町は既に崩壊していた。
勿論、ローマアーナとエスターは東からの進攻なので二つの国がしたことではない。
村の建物と言う建物は焼け落ち、村人の姿は見られなかった。ただ、その焼け野原になっている建物の残骸から且つて人が暮らしていただろう食器や小さな人形などの名残りがあった。
「どういうことなのかしら」
「まるで自ら崩壊しようとしているみたいですねぇ」
隣で同じように馬に乗っていたカイルも顔を顰めて見つめた。
マラン王とその光景を見て目を細めていた。
「罠か?」
それにアフレッド王子も唸りながら答えた。
「確かに、その可能性はありますが……村を焼いてのメリットはない気がしますが」
私もそれに頷いた。
「そうね、罠を張るにしても村を焼いてしまってはそこに住む人々の心も離れてしまうわ」
マラン王は静かに頷いた。
「ローマアーナとエスターの王に伝令を送り、とにかく進軍だ」
私たちはその焼け落ちた村を横目に更にエルドスの王城を目指して進軍した。
街道はそのまま王城へと向かって森や林の間の縫うように走っている。
空は青く不気味なほどの静寂が広がっていた。
更に奥にあった町だった場所も残骸があるだけで町の姿を保ってはいなかった。
マラン王は用心のために一旦町の比較的無事な広間に野営を組んでローマアーナとエスターからの伝令を待つことにした。
私は空を見上げた。
「カイル、上から見てみましょう」
「はい」
二人で羽を広げて空へと舞い上がった。
街道はそのまま城へと続いているが町や村は全て焼け落ちていた。
私は王城の周囲の森林だっただろう場所に王城を囲むように無数の墓標が作られているのを見つめて指をさした。
「カイル、あれ!」
「……恐らく、我々が見てきた村や町の人々のでは」
「だとしたら、正気の沙汰じゃないわ」
下を見ると送り出した伝令が戻ってきておりマラン王とアルフレッド王子を前に報告をしていた。
「東側もこちらと同じで町や村が焼け落ちていたそうです。途中での町や村も同じでしたのでどこも同じ状態だと思われます」
マラン王とアルフレッド王子も顔を見合わせた。
「まさか、自国の町や村を壊して何の意味があるというのか」
「それに村人や町の人々は」
私は降り立つと二人を見た。
「王城の近くに多くの墓標が立てられています……恐らくは」
全員が息を飲み込んだ。




