エルドスへ 3
マラン王は前を見つめた。
「例えエルドスの民と言えど無為に死なせるわけにはいかない。我々も抵抗すればやむを得ないが無益な殺生を考えねばならない。エルドスのアレックス王とエリス王妃を先ず捉えることを先決とする!!」
それに誰もが声を上げた。
そして、エルドスの王城前に集合して息を飲み込んだ。
カイルも気付いたみたいに眼を見開いた。
「強い魔法陣で守っているみたいですね。恐らくこの魔法人の為に村を滅ぼしたのだと思います」
「つまり人柱って事かしら……アレックスもエリスもコチラが攻め込むことは想定済みってことだったのね」
「まあ、それぞれの国にあれだけのことをしたのだから……普通は気付くでしょ」
あっさりしすぎてるわ、カイル。と私は心で突っ込んだけれど、彼の言う通りだわ。
マラン王の号令が響いた。
「撃てー!!」
中には入れないので弓を放った。
けれど、弓は弾かれた。
そして、強い黄金の光が小塔から放たれて向かってきた。
「まさか!」
驚く私の隣でカイルが手を前にして魔法陣を広げた。
「サークレッドバリア!!」
光はカイルが広げた魔法陣の黒い守りを強く押したもののはじけた。
カイルは目を細めるとふわりと黒い4枚羽を広げた。
「あの光、神族の力ですねぇ」
「神族!?」
頷くカイルの表情で私は直ぐに真実だと分かった。
周囲のそれぞれの兵士たちもざわめきが広がった。
カイルがバリアを張らなければ一気に大半が崩壊していたのかもしれないのだ。
私は意を決した。そうと分かったら私もありのままの力でやるしかないってことよ。
「王たちよ! それから兵士たちよ! 私がこのヒューマン族ならざる相手と対峙します! その間にエルドスのヒューマン族同士の戦いを行いなさい!!」
6枚片羽を広げて私は飛び上がった。飛ぶことに羽はそれほど意味がない。魔力で飛ぶのだ。カイルは後ろに立ち攻撃された時のフォローへと回ってくれた。
破壊ならお任せよ。
「バリスデスロード!!」
私は手を前に黒い光の矢を魔法陣の描かれた場所に放った。死者の墓標へ矢を射ることは胸が痛むけれど魔法陣がある限りこちらは防戦一方になる。あの二人を捕まえることはできない。
白い魔法陣の一角にぶつかり押し込みながら途中で消え去った。
だけど、これは想定済み。
「バリスデスロード!! 第二弾!!」
同じ場所へと衝撃を与えた。魔法陣の呪にひび割れが見える。
魔法陣は一角を破壊すると消え去るのだ。
カイルは小さく笑った。
「戦い方は知っておられるようですね」
その時、城の小塔から光が走った。
カイルはそれに合わせて手を広げた。
「バリア!!」
光がバリアの魔法陣の前に砕け散った。
カイルの力を不安に思うことはない。
つまり、私は攻撃に集中すれば良いということ。
私は更に攻撃を仕掛けた。




