エルドスへ 1
カイルと共にマランへ戻ると着々と準備が整っていた。
マランの王城の中庭では兵士たちが剣の訓練をしており、アルフレッド王子もそれに参加していた。
私たちがその真ん中に降り立つとアルフレッド王子が駆け寄ってきた。
「黒き聖女に従者殿!」
それに兵士たちは驚きの声を上げた。
私はゆっくりと城の中から現われたマラン王を見ると頭を下げた。
「書状をいただき戻ってまいりました」
マラン王もアルフレッド王子も大きく頷いた。
「黒き聖女よ、大儀であった。応接室の方へ」
「はい」
私とカイルは二人の後について応接室へと向かった。
応接室に入ると椅子に座るように勧められた。
同時に茶菓子と飲み物を出されたのである。
そして、マラン王が唇を開いた。
「それでエスター王からの返信は?」
私はそれに二つの書状を差し出した。
「実はローマアーナの方にも寄りました。ローマアーナ国では王女がエルドスのエリス王妃からの贈り物に秘められていた呪によって病に臥せっていましたのでその呪を破壊してまいりました」
マラン王は驚きの声を上げた。
「おお、そんなことまでできるとは」
「まあ……ただ壊しただけで済んだので良かったですが、ローマアーナ王もその事を重く受け止め、マランやエスターなどもエルドスの策略で国の存続の危機に立っていたことを重く受け止めて今回の進攻に協力したいということでした」
私はそう言ってマラン王にローマアーナ王とエスター王の書状を渡した。二人はその書状を手に内容を見て大きく頷いた。
マラン王は私に笑みを見せた。
「黒き聖女よ。私が思っていた以上の返事を感謝する。確かに和平を保つには互いに協力することと互いにけん制することのバランスが必要だと今は思っている。それは婚姻関係などではない法と言うものの効力があるべきなのかもしれない」
……政略だけの婚姻は不幸を呼ぶ礎になるのかもしれん……
私は頷いた。
私は確かにアレックスに尽くした。よき王妃になろうと尽くした。けれど、今考えるとそこに愛情はなかった。
だからと言ってエリスの意のままに私に冤罪を擦り付けて処刑するなんて許せることじゃないですけどね!!
外道も外道! 絶対に許すわけにはいかない!
まあ、今回はエルドスの破壊と二人の処罰で終わらせてあげることにするわ。
私はそう心の中で突っ込んでカイルを見た。カイルは何も言わないで黙っていたけれどきっと私の心を見抜いているわね。
一週間後にマラン、ローマアーナ、エスター軍と共にエルドスを目指した。




