エスター王国へ 1
エスター王国はそれほど大きな国ではない。どちらかと言うと小国家と呼ばれるくらいの大きさと国民の数であった。
それでも豊かな国で生きるのに困っている国民はいなかった。
その分だけ他国との外交が重要で豊かな分だけ他国から狙われることが多く、国力を高めることと同時に外交にも力を入れる必要があった。
だからこそ、エルドスという大国の後ろ盾を作るために私はアレックスの元へ嫁いだ。
だけど。
「それが間違いだったわ」
私はそう呟いて近付いてくる王城を見つめた。ローマアーナ王と共にエスター王と対面してマラン王の書状を渡すためだ。エスターの中心都市は王城と城下町が城壁で守られている王城都市である。
そう言う作りの城は多く、ローマアーナやラマンも同じである。
王城都市の多くは出入口が絞られていて多くは二か所くらいでそこに数名の門番がいて怪しい人物は入れないようにしているのだ。
もっとも、王城以外の街や村、領主が住む街でもそう言う作りは意外と少なくほぼほぼ出入り自由と言う形にはなっている。
それは出入口を閉ざすということは商業の面ではデメリットが多いからである。
なので王城都市は入口を限定し、他の町や村は自由に出入りできるようにする。
それがエスターや他の国々の通例であった。
ローマアーナから街道を通って王城都市につくまでは緑の森や林を抜けながら、要所要所にある街や村を抜けながら、東へ東へと進んでいく。その間にそれぞれの国の特徴的な光景が広がっているのだ。
特にエスター王国は農業が盛んで街に近付くと田園風景が広がり、中心部に商業的な建物が集中している作りとなっている。そこに領主の館もあるのだ。
全体的に俯瞰するとエスター王国は何処か牧歌的な様相の濃い国である。
前世の私も生まれてから結婚するまではその自然豊かな光景の中で生きていて、今もやっぱりこの落ち着いた雰囲気のエスター王国を愛している。
懐かしい。
懐かしい。
故郷のエスター王国の中心王城都市。
王城へと続く西の門を門番の確認を得て中へ入り、石畳の道を両側にある家々を見ながら馬の手綱を動かした。人々の行き交う姿もありマランやローマアーナのような大変な事態にはなっていないようで少しだけ安堵した。
しかし。
王城に入りエントランスでローマアーナの王を出迎えに現れたエスター王と王子を見て息をのんだ。かつての父であるエスター王はこう言っては何だが少し太っていた。兄の王子はそれほどでもなかったが、父は酷く痩せてやつれていた。
それに表情は幾分暗く、その原因に私は直ぐに行き渡った。




