ローマアーナの娘 4
王女の部屋の扉には太陽と山々の彫刻が施され取っ手にはローマアーナの国章が彫られている。
「こちらでございます」
そう言われて扉を開けられ、私は深く頭を下げた。
「旅の薬師が到着でございます」
薬師?? いつ私が薬師になったのかしら??
そう思いつつも、まあ、医師とか薬師とかでないと通さないわよね。ってことは『見るだけ見る』と言ったことであのレストランの女性は勘違いをしたのかしら。
「まあ、仕方がないわね」
私はそう呟いて王女のベッドの横に座る覇気のないローマアーナの王と涙に暮れている王妃を見つめた。考えれば私が病気の時もエスター王と王妃と兄が見守るように側にいてくれた。
同じなのよね。
そう思うと私の無実を信じてくれている父と母と兄は私の死をきっと悲しんでくれたと今は確信できる。
それと同じなのだと思うと胸が痛んだ。
ローマアーナの王妃は立ち上がって近付くと手を伸ばして私の手を握りしめた。
「よく来てくださいました。どうか、どうか、マリナを治してください」
祈るような願うような言葉に私は胸を痛めつつ足を踏み入れかけて、カイルに腕を引っ張られた。
「リリアさま」
「どうしたの? カイル」
いつにないカイルの真剣な様子に私は息を飲み込んで見つめた。
「魔眼で見てください。呪、です。魔法陣です」
「え?」
私は足を止めて目を魔眼にすると部屋を見回した。魔族には呪や魔法陣などを見ることが出来る魔眼がある。通常はそんな魔力を使うようなことはしない。けれど、必要な時は魔力を目に集中させてみるのだ。
部屋の中に確かに魔法陣がある。
「起点となっているのは……あのペンダントね」
「はい」
見た目は綺麗なペンダントだが呪が施されている。とんでもない品物である。取りあえず出処を聞いた方がいい。
私は唯立っている私を不思議そうに見ている王妃に目を向けた。
「失礼ながら王妃。マリナ姫のしているペンダントは王妃か王が贈られたものでしょうか?」
「ペンダント?」
王妃は私の視線を追ってマリナ姫の胸元にあるペンダントを見た。
「あのペンダントかしら?」
「はい、あのペンダントの贈り主がローマアーナ王か王妃かとお聞きしております」
「いいえ」
「お二人からではないと?」




