第26話 雨のち、英雄
読んでくれるとうれしいです!!
これ、、、、何百年も前に、滅びかけていた私たちの一族を救ってくれたっていう、伝説の「雨天の創始者」が遺した、未来へのメッセージだよ。なんで、なんで今、こんな場所に、、、。双子は呆然と立ち尽くしている。だけど、ヴィンセントの頭の中は、別の衝撃でいっぱいだった。雨天の魔法の創始者。それは、以前、図書館の古い本で見つけた名前。そして、エリートの家族から落ちこぼれと捨てられた自分を、あの木の下で拾って、育ててくれた、大好きな「師匠」の名前だった。(師匠、、。あなたは、何百年も前から、僕がここに来ることを知ってたの? 僕のために、この場所を、、?)世界中から「出来損ない」とバカにされた自分を、何百年もの時間を超えてまで信じて、待っていてくれた人がいる。その優しさに、ヴィンセントの目に涙が溜まった。この結界、どうすれば解けるの、ヴィンセントが静かに一歩を踏み出す。無理だよ!
アヤナが叫ぶ。ここには雨と晴れ、真逆の2つの魔力を、完全に一つに混ぜて流し込まないと、絶対に開かない仕組みになってる。そんな魔法、この世界にあるわけ―、、、「あるよ」ヴィンセントは、まっすぐに宝箱を見つめた。その目には、今までの弱気な落ちこぼれの姿はどこにもなかった。「僕、自分のことがずっと大嫌いだった。名家に生まれたのに、晴天の魔法が使えなくて、出来損ないだって言われて、誰も俺を見てくれなかった。でも、、、あの人だけは、俺の頭をなでて、こう言ってくれたんだ。ヴィンセントの両手に、魔力が灯る。左手には、深くて澄んだ藍色の「雨天」の魔力。右手には、不器用だけど、じわっと温かい「晴天」の炎。「ヴィンセント、雨はな、ただ暗いだけじゃないんだ。命を育てて、いつか綺麗な虹を架けるために、どうしても必要な優しい天気なんだよ」。二つの真逆の魔力が、ヴィンセントの胸の前でゆっくりと混ざり合って、一つの美しい輝きになっていく。それを見た双子とサマンサは、息をするのも忘れて固まった。真逆の属性を混ぜる。それは、歴史の常識をひっくり返す、彼だけのオリジナル魔法だった。僕の魔法は、誰かを傷つけるためのものじゃない。師匠がくれたこの未来で、僕は、みんなと未来へ行くんだ!ヴィンセントが、その手を結界へと突き出す。オリジナル魔法 「雨上がりの虹」激しい爆発は起きなかった。代わりに、暗い森の中に、きらきらと輝く光の雨がサーッと降り注いだ。それはまるで、何百年も前に師匠が世界を救った時と同じ、もの凄く美しい光景。術式を突き破るみたいにして、言葉を失うほど鮮やかな「虹」が、山いっぱいに架かった。パキン、と綺麗な音がして、結界が光の粒になって消えていく。それと同時に、宝箱が静かに開いた。すげえ、、、。綺麗だ。サマンサは呆然と空の虹を見上げ、アヤナとアスナの目からは、涙がボロボロと溢れていた。未来が見えなくて、ずっと暗闇の中でいた双子の目に、今、初めて「この人と一緒なら、どんな未来へだって行ける」という、本当の希望の光が宿っていた。ヴィンセントは、待っててくれ、師匠。歴史が、未来が、師匠が死ぬ運命だって言うなら俺がその運命ごと、全部ひっくり返してやる!!
落ちこぼれの少年が、のちに世界を照らす本物の「英雄」へと駆け上がる。その大きな物語が今、幕を上げる。




