第九話「綺麗な薔薇にはなんとやら」
こんにちは、オロボ46です。
前回は新たな仲間と共に放棄された街から立ち去りましたね。
それでは、どうぞ。
「きゃあ!?」
私は宙を舞っていた。
目の前には暗い空が広がっていて、冷たい風が吹いていて......
ドテーン!!
「いててて......」
私は尻餅をついていた。
「サナエちゃん......大丈夫......?」
「サクサク......?」
ヤヨイちゃんとユキちゃんが心配してくれた。
「うん、結構痛かったけど平気だよ」
私はなんとか立ち上がった。
「それにしても、よく尻餅ですんだな......凄い勢いで一回転していたのに......」
カズヒロくんは私を見て呟いた。
私たちは氷の上を歩いていた。
とても分厚くて、割れることはないように思えた。
「昔、こういうところには海があったんだって!」
私はヤヨイちゃんと会話していた。
「うみ......?」
「とっても大きくて、しょっぱい水なんだよ!」
「水!!? 嘘......これが......?」
ヤヨイちゃんは信じられないように足元を見ていた。
「氷は水が温度が下がって凍ってできたものだ」
カズヒロくんが補足してくれた。
「そうなんだ......身の回りにこんな凄いことがあるなんて......」
ヤヨイちゃんは座り込んで氷を眺めていた。
ぐうぅ~ くうううう...... グウウウ
三人の腹の虫が一斉に鳴き始めた。
「サクサクサク......」
ユキちゃんもお腹がすいたようで、私たちにねだり始めた。
「そういえば、もう干し肉が無いんだよなあ......」
カズヒロくんが持ち物を確かめながら呟いた。
「そろそろ動物を狩らないとね......」
ヤヨイちゃんは立ち上がって、弓を手にした。
目の前に羊のような生き物がいた。
その生き物は、足元の氷をペロペロとなめていた。
それをヤヨイちゃんは、弓で狙い定めていた。
「あれなに?」
私はカズヒロくんに聞いた。
「"ウエナシヒツジ"だ。足は遅い、力もない、繁殖能力も微妙だ」
「なんだかすぐ絶命しそう」
「あいつはほんの少量の水分だけで栄養を賄えることができる。
だから、あいつは飢えとは一切関わりがないんだ」
「へえ......そうなんだ」
私が感心して聞いていると、目の前で信じられない光景が起きた。
「ユキちゃん?」
私は思わず呟いてしまった。
「サク?」
ユキちゃんはすぐそばにいた。
ウエナシヒツジの周りにはユキちゃ......じゃなかった、
ノドユキウサギが4羽ほど群がっていた。
ノドユキウサギはユキちゃんと同じ、可愛いらしい姿をしていたが、
ウエナシヒツジを見るとその姿を豹変させた。
目付きは鋭くなり、手足からは爪がでてきて......
そして頭には一本のツノが出てきた。
ノドユキウサギは雄叫びを上げ、ウエナシヒツジに飛びかかった。
それに気づいたウエナシヒツジは逃げようとしたが、
足が遅いのであっさりと捕まってしまった。
ノドユキウサギはウエナシヒツジの肉に噛みついた。
ウエナシヒツジはその場で暴れ回ったが、やがて動かなくなった。
これを見ていたヤヨイちゃんは矢を放った。
その矢はノドユキウサギの一匹に命中した。
他のノドユキウサギは驚いて逃げようとしたが、
ヤヨイちゃんは次々と矢を放ち、すべて命中させた。
「ヤヨイちゃん、凄い!!」
「サクサク~♪」
私とユキちゃんはヤヨイちゃんの腕を褒めた。
「ありがとう......」
ヤヨイちゃんは私たちに笑顔を見せた後、動物たちの死体に近づいて行った。
「ガキ、ちょっとこっちへ来てくれ」
カズヒロくんに呼ばれて私はノドユキウサギの死体に近づいた。
「このツノを見てみろ」
そういってカズヒロくんはツノを掴んで押し込んだ。
するとそのツノは小さくなっていき、ふわふわな毛に隠れて見えなくなった。
「このツノ、なんなの?」
「ノドユキウサギは普通の兎とは違い、可愛らしい声帯を持つ......
しかし、それは聞くものを油断させるためだ。
油断したところでツノを出し、威嚇する。
そのギャップに驚いている生き物に噛みついて仕留めるんだ」
「でも、図鑑では兎は草食って書いてあったよ?」
「それは昔か街の中で飼われている兎だろ......ノドユキウサギは肉食だ」
そう言ってカズヒロくんはノドユキウサギを解体し始めた。
私はユキちゃんを見た。
「サク?」
あのギャップがあるからこそ、余計に可愛く思えてきた。
「誰か......助けてくれ......」
一通り解体し終えたところで、誰かの声がした。
「......!! あれ......!!」
ヤヨイちゃんが指した方向を見ると、二人の人影がこちらに近づいてきていた。
ぐったりした一人は私よりも年上で、ヤヨイちゃんと同じぐらいの女の子だった。
もう一人はぐったりした女の子を支えている男の人で、背が高かった。
どちらも......傷だらけだった......
いかがでしたか?
次回もお楽しみに!




