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第八話「極寒の調教師」

 こんにちは、オロボ46です。

前回は怪しい人を二度も見たところですね。

それでは、どうぞ。

「そうか......よしよし......いい子だね......」

男は路地裏に向かって呟き続けていた。


「無視していけ、いいな?」

カズヒロくんは念を押すように言った。

「うん、わかっている」

「さすがに警戒しないといけないからね......」

私たちは男に気づかれないように後ろを通ろうとした。


 後ろを通っている時、私は男の足元に何かがいることに気がついた。

「!!」

私はその場に留まった。


 男の足元には白くてふわふわした生き物がいた。

体は全体的に丸く、兎のような耳を持っていた。

「サクサク?」

その愛くるしい目と鳴き声に私の心は奪われた。


「どうしたの......?」

ヤヨイちゃんもその生き物を見た。

「見て! この子!! すごくかわいい!!」

私はつい大声で言ってしまった。

「......」「......」

ヤヨイちゃんとカズヒロくんは固まっていた。




「うわあ!! だっ......誰だ......!?」

男は私たちを見た。

「ねえ!! この生き物......」

私が聞こうとすると、二人に引っ張られた。

「ヒソヒソ(おいっ!! 近づくな!)」

カズヒロくんが耳打ちをした。

「なんで? この子可愛いのに......」

「ヒソヒソ(ねえ......サナエちゃん......あれ......)」

ヤヨイちゃんは路地裏を指した。

そこには......()()()()()()()()の姿が......

「その耳は......!?」

男は、ヤヨイちゃんの耳を見つめていた。




「安心していい。この子たちは私の命令がなければ襲わない」

路地裏で私たちは男と共に路地裏で座っていた。

「おっさん、何者だ?」

カズヒロくんが質問した。

「私は......そうだな......調教師というべきかな」

「ちょう......きょう......し......?」

ヤヨイちゃんはぼそぼそと呟いた。

「調教師なら図鑑で見たことある!! 動物さんと仲良くしているんでしょ?」

私は図鑑に乗っていたことを思いだして言った。

「でもどうやって狂暴な動物を手なずけているの?」

「どんな生き物でも愛情を注げばすぐに心を通わせるものだ」

そう言いながら調教師のおじさんはふわふわな生き物の喉をくすぐった。

「サクサクサ~♪」

ふわふわな生き物......"ノドユキウサギ"は気持ち良さそうに笑った。


「そうだ......実はこの子たち、お腹をすいているんだ。

すまないが......君たちは狩りはできるかね?」

「......」

「ヤヨイちゃんは狩りが上手だよ!!」

黙り続けているヤヨイちゃんに変わって私は説明した。

「えっと......その二人は?」

「あ、私は全然......カズヒロくんも......」

「ッ!!」

カズヒロくんは急に立ち上がった。

「僕は盗賊のリーダーの息子だ。

動物に与えるぐらいの肉ぐらい、お安いご用だ」

そう言って動物を探しに行った。

「あ!! 待ってよ!! カズヒロくん!!」

私もその後に続いた。


 当然、弓が使えないカズヒロくんと狩りがまったく出来ない私には

獣一匹も取れるはずもなく......とぼとぼと路地裏へと戻って行った。




 路地裏ではヤヨイちゃんが手袋を外して動物を暖めていた。

「ごめんね、なにも持ってこれなくて......」

私はヤヨイちゃんに謝った。

カズヒロくんはまたもや落ち込んでいた。

「ううん......大丈夫......」

そう言ってヤヨイちゃんは干し肉を取り出して、カズヒロくんに渡した。

「......これが俺らしいかもな」

カズヒロくんはそれを受け取って調理を始めた。




「私には......夢があるんだ......」

調教師のおじさんは特製タレのかかった干し肉を手に語り始めた。

「この子たちの可愛さを広めたい......

この狂暴な......だけど純粋な心を持ったこの子たちの可愛さを......

笑いそうな夢だけど、私にとって大切な夢なんだ......」

そう言って、アトオイオオカミに干し肉を食べさせた。


「あたしも......夢を見つけたの......」

しばらく黙り続けていたヤヨイちゃんが私の顔を見てから口を開いた。

「この子を親に会わせてあげて......そのあと......おはなを見つけたい......

この世界でも......強く生きていて......それで......すごくいい匂いがする......

とてもきれいな......おはなを......」

「ねえ! そのお花が見つかったら、私にも見せてくれる?」

私はヤヨイちゃんに聞いた。

「あり得ないだろ......まずこの環境で育った花なんて見つかるはずないし......

それに、街の付近までつれていったらこいつは街の中だろ?

どうやって入るんだよ。」

カズヒロくんは冷静に言った。

「いや、あり得ないのが夢だと思うんだ。

寝ている時に見る夢は本当に予測がつかない......

だから、これから起こることも予測することは不可能だ......」

そう言いながら、調教師のおじさんはヤヨイちゃんを見た。

「君が一番よく知っているだろう?」

おじさんの問いに、ヤヨイちゃんはこっくりと頷いた。




「サクサク!! サクサク!!」

私たちがおじさんと別れようとした時、ノドユキウサギが私の肩まで登ってきた。

「ありゃ......ずいぶん君たちを気に入ったな......」

ノドユキウサギは私の頭からカズヒロくんの頭に飛び移り、

ヤヨイちゃんの肩まで飛び移った。

「サクサクサ~♪」

ノドユキウサギは、ヤヨイちゃんの不思議な温もりで

とてもリラックスしているようだった。

それを見た調教師のおじさんは驚くような提案をした。

「よかったら、その子を譲ろうか?」

「え!! 本当!!?」「いいの......?」「マジかよ......」

あまりにも驚いて、私たちは同時に言ってしまった。

「ああ、この子が君たちに心を許すなんて珍しいからな。

ニックネームは"ユキ"。ぜひ可愛がってくれ」

そう言って調教師のおじさんはアトオイオオカミを連れて立ち去った。




「サク♪ サク♪ サクサ♪ 

サク♪ サク♪ サクサ♪」

ノドユキウサギのユキちゃんは私の頭でゴキゲンに歌っていた。


 しばらくすると、ユキちゃんは暖かいヤヨイちゃんの肩まで移動する。

そのころになると私も体が冷えていたので、ヤヨイちゃんの手を握った。

「まさかもっとも恐ろ......いや、可愛い動物と行動するなんてな......」

カズヒロくんは、気を使っているような言い方で呟いていた。


 そんなことをしているうちに、私たちは放置された街を抜けた......

 いかがでしたか?

次回もお楽しみに!

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