第七話「おじいちゃんの図鑑」
こんにちは、オロボ46です。
前回はサナエの親が待つ街を目指して歩き始めたところからですね。
それでは、どうぞ。
「うわあ!! 何これ!?」
私は目の前に広がった景色に驚いた。
私たちは街に来ていた。
それは私の知っている街とは違ってドームがなく、あちこちに雪が降っていた。
「もしかして、放置された街?」
私はヤヨイちゃんに聞いた。
「え......? いや......どうなんだろう......?」
「ガキの言う通りだ。街を暖める範囲は限りがあるから、
ほとんどの街は放棄された......ここもその一つだ」
横からカズヒロくんが補足してくれた。
「すごい......二人とも......どうしてそんなに物知りなの......?」
ヤヨイちゃんは尊敬するような目で私たちを見た。
「この盗賊団のリーダーである僕にかかれば、こんな事ぐらい......」
「私、おじいちゃんがくれた図鑑で知ったの!!」
「ずかん......?」
ヤヨイちゃんは私の目だけを見た。
「うん! おじいちゃんの図鑑はね、昔のいろんなことが書かれているんだよ!」
「え......? あ......あの......」
「昔のこと......!? ねえ......他にどんなことが書かれているの......?」
「えっとね、私が一番印象に残っているのはね......」
そう言いながら、私は地面に絵を書いた。
「これ......なに......? 木の実......?」
「お花だよ!! 昔はこの辺りにいっぱい咲いていたんだって!
今も街の中でも咲いているけど、昔のようにいい香りはしないって
おじいちゃんが言ってた!」
「香りって......匂いのこと......?」
「もしもーし?」
「うん! すごくいい匂いだって!!」
「そうなんだ......見てみたいな......おはな......」
「......」
「うん! 私も街の外を見てみたい!」
私たち二人は花の話題で盛り上がった。
「そういえば......カズヒロくん......さっきなんて言っていたの......?」
「......ほっといてくれ」
カズヒロくんはすっかり不機嫌になっていた。
「ん? あんなところに人がいるよ?」
放置された街を歩いていた私は人影を指差して言った。
その人影は道の真ん中で膝を押さえていた。
「怪我......しているのかな......助けてあげないと......」
「あんなところで怪我で動けないならとっくに盗賊に襲われているだろ......」
助けるかどうか迷っていると、人影はこちらに近づいてきた。
「うぅ......」
「ねえ......大丈夫......?」
ヤヨイちゃんは人影をじっと見つめていた。
その人影は髪を下まで伸ばしており、顔が見えなかった。
体型でなんとなく男だということしかわからなかった。
「うぅ......うぅ..............................うふふふふ......」
男は不気味に笑ったと思うと、縄のようなものを投げた。
「きゃあ!!?」
「サナエちゃん!!」「ガキっ!?」
私は足を縄で縛られた。
「ふふふふ......かわいいねえ......かわいいねえ......」
そう言いながら、男は縄を手繰り寄せた。
「くそっ!! あいつは盗賊よりもタチが悪いぞ!!」
「サナエちゃんは......渡さない......!!」
ヤヨイちゃんとカズヒロくんは私の体を掴んだ。
男は私を手繰り寄せようと縄を引っ張る。
ヤヨイちゃんとカズヒロくんは負けずに私の体を引っ張る。
私は何もできないまま流れに身を任せるしかなかった。
「この子は......おいらのもんだ......」
男はより一層力を入れて引っ張った。
二人は力及ばず、少しずつ引きずられるようになった。
「......あ」
私は男の後ろを見て気がついた。
「ふふ......おいで......おいで......おいらが可愛がって......」
そう男が呟いた時だった。
アオーン!!
狼の遠吠えが聞こえたと思うと、男の後ろにいた獣が高く飛び上がった。
「!!?」
男は間一髪避けたが、獣の群れは男を追い詰めようとしていた。
「......ひいいぃぃぃぃ!!」
男は素早く逃げていった。獣の群れもそれに続いて行った。
「あれって、アトオイオオカミだよね?」
私はヤヨイちゃんに聞いた。
アトオイオオカミは、人間の後ろ姿に反応する......
「うん......あの人......ずっとこっちを見ていたから......
後ろ姿に興奮しちゃったんだね......」
ヤヨイちゃんはアトオイオオカミの群れを見つめながら言った。
「そういえば、さっきの人も......盗賊なの?」
今度はカズヒロくんに聞いた。
「いや......あれは物資を求めている目じゃない......欲望にまみれた目だった......」
カズヒロくんは私の縄をほどきながら答えてくれた。
「どういう意味?」
「つまり......何て言えばいいか......その......混乱しているんだ。
人間は混乱すると、何をするのか解らないからな......」
足の縄をほどいてもらって、私たちは再び歩きだした。
「まあ、これでわかっただろ? 無闇に人助けするなってことだ」
「よく解らないけど......用心しろってことだよね」
私はカズヒロくんに向かって言った。
「とにかく......先へ行こう......ここを抜ければそこで一休みでも......」
ヤヨイちゃんはそう言って立ち止まった。
「......」「......」「......」
目の前に、さっきとは違う男の人が座り込んでいた。
男の人は路地裏に向かって、何かを話していた。
私はどうすればいいのか迷って、結局ヤヨイちゃんの顔を見ていた。
いかがでしたか?
次回もお楽しみに!




