最終話「あり得ないこと」
こんにちは、オロボ46です。
今回で最終回です。
それでは、どうぞ。
カズヒロくんとユキちゃんと別れて、
私はヤヨイちゃんと共に街まで向かっていた。
やがて、ドームに包まれた街を見つけた。
「あそこ......かな......?」
ヤヨイちゃんは街を見て呟いた。
「うん、とうとう来ちゃったね」
私はメガネのおじさんにもらった地図を眺めて言った。
「もうすぐ......お別れ......だね......」
ヤヨイちゃんは少し寂しそうに言った。
「私、ヤヨイちゃんに会うまでまで知ったかぶりだった......」
私はボソリと呟いた。
「......?」
ヤヨイちゃんが驚いて私を見る。
「私、何でも知っているって思っていた。
おじいちゃんのがくれた図鑑を読んで、その気になっていた。
でも......それは間違いだった。
ウォームスは牛の姿だって信じていたし......
カズヒロくんの事情も知らずに弓が下手くそって言ってしまったり......
間違っていたことに気づくのに、時間がかかっちゃった......」
私はそう言って俯いた。
「サナエちゃん......」
「だから......決めたの」
私は顔を上げる。
「もっと本当のことを知るの。
誰もが知っている常識が......本当に間違っていないか......
歳をとって......死んでしまうまで、できるだけたくさん知りたい」
「それが......サナエちゃんの......夢......?」
私は頷いた。
「調教師のおじさんが言っていたよね、"あり得ないのが夢"なんだって。
これから起こることはわからないけど......きっと叶うよね!」
「うん......きっと叶うよ......!
サナエちゃんの夢も......あたしの......夢も......!!」
ヤヨイちゃんは空を見て、力強く答えた。
「あたしも......今まであり得ない事の繰り返しでここにいる......
きっとこれから起こることだって......わからないけど......
あたしも......おはなを見つけれる気がする......!」
「お花......そうだったね。それがヤヨイちゃんの夢だったね!」
私たちは互いにに笑い合いながら歩いていた。
やがて歩いていると、人々の群れが見えた。
「あの格好......盗賊じゃない......」
ヤヨイちゃんが人々の群れを見て呟いた。
あの人々の群れは、私を探している捜索隊に違いなかった。
やがて、人々の群れはこちらに向かって歩き始めていた。
「これで......本当にお別れだね......」
ヤヨイちゃんは私の顔を見ていた。
「最後に......一回だけいい?」
私はヤヨイちゃんの目を見て言った。
「うん......いいよ......」
ヤヨイちゃんは手袋を外し、私の頬に触れた。
ヤヨイちゃんの温もりが、頬から伝わってきた。
ウォームスという存在の悲しみから生まれた心地よい温もりが......
夢を見つけて、決意し会った暖かさが......
そして、これから夢に向かって歩き続ける情熱が......
すべて......伝わってきた......
やがて、捜索隊は近くまで来ていた。
私の姿を見て、あれこれ相談している。
「それじゃあ......あたしは行くね......」
そう言って手を私の頬から離し、私から離れて行った。
そして、振り替えって私に言った。
「サナエちゃん......おはなが見つかったら......見せにくるね......」
ヤヨイちゃんはまた歩き始めた。
「ヤヨイちゃん!! 約束だよー!!」
私は、消えて行くヤヨイちゃんの後ろ姿に向かって叫んだ。
その後、私は捜索隊に保護された。
しばらくして、私はドームの中にいるお母さんとお父さんに再開した。
二人とも、私の姿を見て涙を流していた。
数ヶ月経って、私の家に一通の手紙が届いた。
外の世界で出会った研究者のおばさんからだった。
おばさんはわざわざ私の住んでいる街を探して届けてくれた。
その中に、一枚の写真があった。
あのクサリクイクマの新たな生態を明かした記念の、あの写真を......
あれからもう二十年経っていた。
私は大学院で勉強に励んでいて、
忙しさから昔の思い出を振り替える機会もなかった。
そんなある日、何気なく自分の机の引き出しを開けた。
中にはあの写真が入っていた。
私はその写真を見て外の世界の出来事を思い出していた。
(初めてあった時も......こんな天気だったな......)
私は窓の外の景色を見て思った。
(......?)
その時、窓の外に人影が見えた。
すぐに走って行った為、誰なのかはわからなかった。
だけど......私は玄関の扉を開けずにはいられなかった。
こんなこと......信じられるだろうか......?
扉の前の地面に、一輪の花が置かれていた。
その花は昔に絶滅していて、このドームでは絶対に育たない花だった。
その花を手に取った時......
懐かしい温もりが一瞬だけ感じられた......




