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第十五話「持っているもの」

 こんにちは、オロボ46です。

前回は研究者の女性から話を聞きましたね。

それでは、どうぞ。

 翌日......私たちは研究者のおばさんと共にクサリクイクマを探した。

「だいたい......この辺りでいるんだと思うんだけど......」

研究者のおばさんは周りを見渡して言った。

「あ......あれ......!!」

ヤヨイちゃんはあるものを見つけて指した。


 そこにはアトオイオオカミが横たわっていた。

息づかいも荒く、

私たちをギョロリと見つめるものの立ち上がろうとしなかった。

「これはずいぶん衰弱しているな......」

カズヒロくんはアトオイオオカミに近づいた。

「もう、助けてあげることはできないの?」

私は研究者のおばさんに聞いた。

「ええ......ここまで弱っているとできないわ」

「それなら逆に好都合じゃないか?」

カズヒロくんは立ち上がった。

「確か......クサリクイクマは死体を食べるんだよね......?」

ヤヨイちゃんは研究者のおばさんに向かって聞いた。

「そうね......このままにしましょう」

研究者のおばさんはそう言ってアトオイオオカミの元から離れた。

私たちもアトオイオオカミから離れて、観察することにした。




「......来たわ」

研究者のおばさんが呟いた。

 向こうから熊らしき生き物がやってきたのがわかった。

私の知っている熊よりもかなり小さく、よちよちと歩いててかわいかった。

 クサリクイクマはアトオイオオカミを見つけるとそこへ向かって歩いていき......


ズボォ!!


姿を消した。


「ひゃあああっはー!!」

どこからか声が聞こえると、木の上から三つの人影が落ちてきた。


ズドッ ズドッ ズドッ


「落とし穴作成、またまた成功ゥ!!」

「今回は俺も着地に成功したぜえ!!」

三人はモヒカンヘアーで、左から青、黄、赤色だった。

「盗賊かしら......!?」

研究者のおばさんは恐れるように三人を見ていた。


「兄貴ィ!! あの時のガキどもがいやしたぜ!!」

赤いモヒカンの盗賊が私たちを指して言った。

「おう!! お前ら!! 俺たちの名前を覚え......」

「覚えてない」「誰だっけ......?」「誰だてめえ」「サク~?」

「......」

三人はすっかり黙りこんでしまった。




「お前らあああ!! よーーく見ておけ!!!」

黄色いモヒカンの盗賊が叫ぶと、三人は一斉にしゃがんだ。


「進めのサブロウ!!」

「止まれのジロウ!!」

「注意のタロウ!!」

「「「三人あわせて、"モヒカン信号三兄......」」」」


「サクサク~?」

ユキちゃんが落とし穴の中を覗いた。

「ユキちゃん、どうしたの?」

私もユキちゃんに続いて穴を覗いた。

そこにクサリクイクマの姿はなかった。

「おい、熊はどこに行きやがったんだ?」

カズヒロくんも後ろから穴を覗く。

「あ......あれ......」

ヤヨイちゃんが穴の中を指した。

そこにはトンネルのような穴があった。

「これ......もしかして......」

研究者のおばさんがそう呟いた時......


むしゃ......むしゃ......


 後ろで音がした。

振り替えると、クサリクイクマがアトオイオオカミを貪っていた。

その足元には穴のようなものがあった。

「......それよりも、あいつらはいいのか?」

カズヒロくんは盗賊たちの方を向いた。

「そんなことよりもこっちのほうが大事だよ!!」

私はカズヒロくんの手を引っ張った。


 あの時私は夢中で気がつかなかったけど、

後日カズヒロくんに聞くと、盗賊たちはとぼとぼと帰っていったらしい。

「俺たち......何やっているんだろう......」と呟きながら......




「ありがとう。おかげで興味深い生態を見ることができたわ。

まさかトンネルを掘る知能を持っていたなんて......」

研究者のおばさんはその場に横たわるクサリクイクマを見て言った。

「モグラか、こいつは......」

カズヒロくんは穴を覗きながら呟いた。

「でも......これで手伝いができたんだよね......」

ヤヨイちゃんはクサリクイクマの頭に刺さった矢を回収しながら言った。

「ええ、もちろん...... あ! 血清採取しないと......」

そう言いながら、研究者のおばさんは注射器を取り出してクサリクイクマに刺した。


「......ちょっとあっちに行ってもらえないか?」

突然、カズヒロくんが私とヤヨイちゃんに向けて言った。

「どうして?」

「ちょっと聞きたいことがあって......二人には聞かれたくないんだ」

カズヒロくんは少し遠慮がちに言った。

「うん......わかった......」

ヤヨイちゃんは私を連れてその場から去った。




「ねえ、ヤヨイちゃん......」

私はヤヨイちゃんに話しかけた。

「どうしたの......?」

「昨日、私に聞いたよね......ちっとも怖くないんだねって......」

「うん......」

「あの時、私は何も考えていなかった......

なぜそんなことを聞いたのかも......ヤヨイちゃんのことも......なにも......」

「どういうこと......?」

「私......実は......」


 私は昨日の晩で研究者のおばさんからウォームスについて聞いたことを

ヤヨイちゃんにすべて話した。

「そうだったの......」

「うん、私......何も知らずにヤヨイちゃんの温もりに頼っていた......

もう......ヤヨイちゃんには触れないよ......」

私は......それ以上言葉が出なかった......


 ヤヨイちゃんはしばらく黙って私の顔を見つめていて、そして口を開いた。

「あたし......全然平気......って言いたいけど......

人の気持ちはよくわからないから......よく言えないの......

だけど......あたしは暖まってくれたほうが嬉しいかな......」

「え......?」

「それが自分らしいから......あたしの持っているものはそれだけだから......

それを生かせるなら何でもいいの......」

「ヤヨイちゃん......」




「おーい、ババアが記念に写真を取りたいって言い出したから来てくれないか?」

カズヒロくんが呼びに来た。

「それじゃあ......行こっか......」

ヤヨイちゃんは私に手を差しのべた。

「......うん!!」

私はその手を握った。




 この時取った写真に写っている私は......笑顔だった。

 いかがでしたか?

次回もお楽しみに!

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