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第十三話「841」

 こんにちは、オロボ46です。

前回では研究者の女性から話を聞くことになったサナエですが......

 それでは、どうぞ。

 私は研究者のおばさんから話を聞いた。

ウォームスのこと......そしてヤヨイちゃんのことを......




 この地球の温度が下がり始めたころ、

地球の地面の遥か下に知的生命体がいた......

人間のような姿を持ち、体温を常に保ち、傷がつくと傷口から蒸気が出てきて......

そして......非常に暖かい......

彼らがウォームスの原型だったの......


 地球が氷河期に向かっていることを知っていた人間たちは

彼らを一人残らず連れ去ったわ。

 そして研究を行い、ドームの中の街を暖めるほどの熱エネルギーが

脳を潰したときじ発生するのを突き止めた。

 人間は一刻も早く暖かい場所を確保するために彼らを家畜のように扱った。




「でも、その人たちは嫌がったでしょ? 逃げたいと思わなかったの?」

研究者のおばさんの話を聞いていた私は質問した。

「ええ、最初は彼らも反抗していたわ。

だけど......人間はなんとしてもその温もりが欲しかったの......」



 彼らは種族の誇りを忘れていなかった。

どんなに家畜として教育しても、20歳を越えると自ら命を絶ってしまう。

 そこで人間は彼らの遺伝子に注目した。

その中に自由に生きられなくなると自ら命を絶ってしまう遺伝子を見つけた。

そして人間の手で遺伝子を組み換え、人間に忠実になるように品種改良した......

 それが......ウォームスだったの......


 どうしてそこまでするのか疑問に思うかもしれないけど......

でも......その時代はとてもピリピリしていたの。

 世界中の国々は氷河期に備えて暖房技術を発展させようとした。

そのために必要な資源を確保できた国はさらに発展させていったけど、

出来なかった国では恐慌が起きた......

 こうして......国と国との間に歪みがおき始めた......


 そんな時、ある国がウォームスの存在を明らかにした。

表は牛のような姿をした生き物として、

そして、裏では人間の姿をした資源として......

 国々はウォームスに関しての協定を結び、

それそれにウォームスが分け与えられた。




「もし、その時にウォームスの存在を明らかにしなかったらどうなっていたの?」

「きっと......戦争が起こっていたでしょうね......」

「......」

私はもし戦争が起きたとしたらと想像してみた。

戦争が終わった後は、すぐに氷河期が訪れるだろう。

人々は温もりを求めて歩く。だけど、その温もりはすべての人間を暖めてくれない。

後は、争いしか思い浮かべなかった。


「ねえ、おばさんとヤヨイちゃんの関係を教えてくれる?」

私は気分を変えるために話を変えようとした。

「うん、そろそろ教えてあげましょうか......」



 私には妹がいた。

妹は私と共に研究に熱中した。

あの時は外の世界の植物などの研究ばかりで楽しかった。

 そして......ついに研究が認められて、私と妹はウォームスの研究者となった。

だけど、実際はウォームスのお世話係だった。

今まで牛だと信じていた私たちはショックを受けたわ......


 私はなんとか慣れていったけど、妹は毎日深刻そうな顔をしていた。

そして、いつもこう呟いていたの。

「あの子たちを......自由にさせたい......」




「でも、妹は彼女の前では笑顔を見せていたわ」

「彼女って......?」

私が聞くと、研究者のおばさんはヤヨイちゃんの顔を見つめていた。

「まさか......ヤヨイちゃん?」

「ええ......あの時は841という名前だったわ......」




 841はウォームスの中でも特に純粋だったわ......

常に同じウォームスや私たちに笑顔を見せて、

怪我した子がいるととても悲しんでいたわ。

 私の妹は841に慰められて立ち直った......と私は勝手に思っていた。


 ある日、私に思いもよらない知らせが入った。

妹が841や他のウォームスと共に街から逃げ出そうとしたの。

ほとんどのウォームスは捕獲されたんだけど......

ついに妹と841は街の外へと逃れた。


 その後、外の世界で妹が死体として発見されたわ......




「その妹さん......どうして死んだんだろう......」

「わからない......ただ、表情はなぜか満足していたらしいの......」

そう言って、研究者のおばさんは涙を流した。


「結局......私は元に戻って外の世界の植物や動物の研究に勤しんだわ......」

「ヤヨイちゃん......」

私はヤヨイちゃんの寝顔を見つめて、手で触れた。


 その温もりは今までと同じだった。

だけど、悲しい真実はその温もりに混もっていると思うと涙が止まらなかった......




 研究者のおばさんが寝た後、私は見張りをするために起きていた。


「ん......ああ......もうそろそろか......」

カズヒロくんが起きた。

「......もうそろそろ交代だ」

私はカズヒロくんの言葉を聞いて横になった。

「おい、牛女ならこっちだぞ?」

「......」

そんなことはわかっていた。

だけど、私はもうその温もりを感じるのが怖くなっていた......

 いかがでしたか?

次回もお楽しみに!!

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