第十一話「温もりを届けるアイドル」
こんにちは、オロボ46です。
前回はアイドルとマネージャーを撮影場所まで護衛することになりましたね。
それでは、どうぞ。
私たちはアイドルのウィースちゃんの新曲の撮影場所に向かっていた。
「もうすぐで目的の場所だ」
マネージャーが答えてくれた。
「そういえば、今度の新曲はどんなの?」
私はウィースちゃんに聞いた。
「はい! こんどの新曲はゆったりとしたバラード風の曲です!」
ウィースちゃんは笑顔で答えてくれた。
「サクサ......」
今まで元気だったユキちゃんの様子が急に静かになった。
「ユキちゃん、どうしたの?」
私はユキちゃんに聞いた。
「......どうやら、盗賊たちが現れたらしいな」
カズヒロくんは向こうからやってくる人影を見て構えた。
向こうから盗賊が一人やって来た。
「あいつだ......あいつが我々を襲ったんだ......!」
マネージャーは後退りしながら言った。
「......」
ヤヨイちゃんは静かに弓を引いた。
「......? ヤヨイちゃん......?」
ヤヨイちゃんの手は、動物を狩る時と違って震えていた。
盗賊はこちらに一歩一歩近づいてきて......
「お、お願いですだ!! あっしを殺さないでくれえ!!」
そう言いながら土下座した。
「あっしはチームワークが強みでしたが......先ほど、仲間とはぐれてしまって......
もう一人では生きていけねえ......どうか、あっしを仲間にしてくだせえ!!」
盗賊は涙声で叫んだ。
「さっき我々は盗賊に襲われたばかりだが......」
「でも......とてもかわいそう......」
「助けてあげましょう! 彼だって、温もりがあるはずですから!」
「うん! 私も賛成!」
「サク~?」
みんなの意見が一致しそうな時、カズヒロくんは盗賊に近づいた。
「そうか、仲間がいないのか」
そういいながらカズヒロくんは右手を蹴った。
その右手からホイッスルが落ちた。
「......!! くそっ!!」
盗賊は素早く拾い上げ、それを吹いた。
周りからたくさんの盗賊が現れ、私たちを囲った。
「やっぱり、油断していたところを襲うつもりだったんだ!!」
カズヒロくんが叫んでも、もうどうすることもできなかった。
「これがあっしのやり方でしてねえ......すまねえが、食料をいただいていきやすぜ」
そう言いながら盗賊の一人が近づいた時だった。
「げえ!!? こいつ、ノドユキウサギを飼っていやすぜ!?」
「ひえええ!! 殺されるうう!!!」
盗賊たちは一人、また一人と逃げ去って行った。
私は、最後に残った盗賊に聞いた。
「ねえ、どうして逃げているの?」
「実は昔......ある男を襲ったんですが、
そいつが動物を飼い慣らしていやして......
そいつに返り討ちにされて、すっかりトラウマになったわけですだ」
一人だけになった盗賊はすっかり気を落としてその場に座り込んだ。
(もしかして、この前あった人だったかな?)
そんなことを思いながら私たちは先を急いだ。
戦意喪失した盗賊を置いて......
「!! おーい!! ウィースちゃーん!!」
遠くから声が聞こえた。
「皆さん!?」「生きていたのか!!」
そう叫んで、ウィースちゃんとマネージャーは走っていった。
私たちも置いていかれないように後を追いかけた。
「二人とも......無事でよかった......ん? この人たちは?」
カメラを持った男の人が言った。
その後ろでは撮影スタッフと思わしき人たちがいる。
「この人たちは我々の命の恩人だ」
マネージャーが説明してくれた。
「そうなのか! いやあ、ありがとう。
お礼に何かしてやりたいが......すぐに撮影を再開したいんだ」
「それなら、この人たちに撮影を見てもらっていいですか?」
ウィースちゃんがカメラマンに聞いた。
「ああ......えっと......ちょっと待ってくれよな」
そう言いながらカメラマンは他のスタッフと相談し始めた。
「......よし、いいだろう! ただし、撮影中は静かにな!!」
私たちはウィースちゃんの新曲を聞いた。
それはとてもゆったりとしたテンポに、
とても温かい言葉が歌詞として伝わってきた。
景色やウィースちゃんの動き、そして歌声......
ひとつひとつが、温もりを込めていることが感じられる歌だった......
撮影が終わって、私たちが立ち去ろうとしたとき......
「あ! あの!! 待ってください!!」
ウィースちゃんが後ろから呼び止めた。
「まさか帰りまで護衛しろって言うのか......?」
カズヒロくんは面倒臭そうに言った。
「いえ......そうじゃないですが......あの......私もウォームスになれますか?」
「ウォームスに......なる......?」
ヤヨイちゃんは疑問に思って聞き返した。
「私......ずっとウォームス......つまり牛さんに憧れていたんです。
私もみんなを暖めてあげたくて......だから、この仕事をしているんです。
実は......この街の外で撮影をしたいと言ったのは私です。
そのせいで皆さんにご迷惑をかけてしまって......
こんなことで世界中の人々に
温もりを届けてあげることができるのでしょうか......?」
ウィースちゃんは途中から涙声になっていた。
「手を握って......いいかな......?」
ヤヨイちゃんは手袋を外しながら言った。
「え......? 握手ですか?」
「あくしゅ......うん......そうなるかな」
ヤヨイちゃんはウィースちゃんと握手した。
「......」
ウィースちゃんは驚いた表情で固まった。
「みんなには......内緒にしてね......それじゃあ行こうか......」
そう言いながらヤヨイちゃんは私たちと共に去って行った。
少し歩いて、私は後ろを振り返った。
本物のウォームスと握手したウィースちゃんはまだ固まっていた。
私は自分の肩にユキちゃんを乗せて手を振った。
いかがでしたか?
複数の盗賊を返り討ち......
第八話であった人物は一体何者だったのでしょうか......?
次回もお楽しみに!




