5話 アラハバキの戦い 外交編(2)
外交は苦手だなぁ
そもそも人と話したりするのが苦手なのに何故こんなことに…
ウクハウの用意してくれた船に乗りながら憂鬱な気分で一杯だった。
おれは出っ歯の張松や諸葛僅のように外交に優れた武将でもなんでもないんだよなぁ。
戦国時代なら外交は安国寺恵瓊とか太原雪斎みたいな僧侶が専門家なんだよなぁ。軍師とはちょっと違うんだけどまぁ仕方ない。
諸葛孔明先生ならなんでもやっただろうからな。
これから胆沢の地に入って北から志和、稗貫、和賀、気仙と族長達にいかに今朝廷と戦わなければならないかを説かなければならない。
蝦夷が一体となって朝廷に反旗を翻す(この場合反旗を翻すという意味がそもそもダメな気がするが)事が大事なのだ。
「アラハバキの神よ!我々に神々のご加護を!!」
船上で神頼みをなんとなくしてみた。
「おお、ミズキ殿もアラハバキの神を信仰して下さるのか」
「はい、私は無神論者ですがこの地には仏教も伝来していなければ当然キリスト教も来ているはずもなく、神頼みといったらアラハバキの神のみですから」
「よくわからないが良いことだ。アラハバキは一人の神ではない。アラハバキの神々は木や石や土に宿っている。この河の水にもな」
なるほど、宗教観が段々わかってきたぞ。まぁそれは別にいいんだけど。
しかしなんていって族長を説き伏せればいいのか。モレちゃん考えてないのかな…
船は一関のあたりまで来たが川幅が広くとても安定していた。
途中急流もあるが馬が何頭も交代で船を引いて特に問題なく北上している。
ふと思ったがこの時代にここまで家畜化された馬を持っているのはこの地方だけなのだろうか。
中国が夷蛮戎狄と呼ばれるモンゴル遊牧民に滅ぼされた原因の一つとして騎馬隊の力があるだろうがその騎馬隊は今から400年以上後の話だ。
でもハンニバルが騎馬隊をつかってたのは確か紀元前だから騎馬隊自体は普通にあるのか。
おれはこの時騎馬隊をつかってなんとか戦いを有利に進められないか考えていた。
「モレちゃん。朝廷軍って騎馬隊とかあるの?強いの?」
「朝廷に年間献上される馬は百頭程と聞く。そこまで大規模な騎馬隊は無いはずだと思うが私も見たことがないからわからん」
「じゃあこっちで騎馬隊を作るとなると何頭くらい用意できるの?おれは乗れないけど」
「五百くらいなら一月もあれば揃えられるな」
勝機みつけたり!
ハンニバルの包囲戦術とチンギスハンの騎馬隊。おれのなんとなく知識でなんとかしてやる!
あ、それより族長をまとめるのが先だったか…、気が重い。




