4話 アテルイとモレちゃん(3)
「暗殺計画」
紀広純ら東北を管轄としている朝廷群を一掃するために暗殺する。
紀広純は陸奥の按察使なので第一ターゲット
道嶋大盾は牡鹿の大領なので第二ターゲット、なんせ大盾にはアザマロも散々バカにされてきた故に深い恨みを持っているらしいから本当はこっちを先に殺したいようである。
ウクハウは桃生城の乱を鎮圧しに来た百済王俊哲も暗殺したかったが父親の百済王理伯が数年前に亡くなってからしばらく都にいるらしい。武闘派で田村麻呂との戦いの時に出てくるはずだから今暗殺しておきたかったがそういう理由だったのか…。
とにかく朝廷から信頼されているアザマロの伊治城に呼び寄せて朝廷側を一気に暗殺する案を皆に熱弁した。
「うーむ、堂々と戦いたいもんじゃのう」
やっぱり、ウクハウはあまり良い顔しない感じはしていた。
アザマロは満更でもないようである。
アテルイとモレは何か話しているようだ。
「陸奥の按察使を暗殺したとしてその後どうする、いくら朝廷側に人がいないといっても武闘派の坂上刈田麻呂や道嶋嶋足殿も黙っていないのではないか、今は都にいるが百済王も再び陸奥の地へ戻ってくるはずだ」
「道嶋嶋足なら大丈夫じゃ、数年前に朝廷側を出ていくときに会ったが最早武闘派の面影はないじじいじゃわい。この地まで来ることもままならぬじゃろう」
ウクハウは朝廷に絶縁状を叩きつけた際に嶋足と会っているそうだ。もう十年近く前の事らしい。
「例え今按察使を殺したとしても、すぐに多賀城に増援が来る。伊治と牡鹿、桃生だけでは到底戦えぬ。もちろん胆沢と黒石も加勢したいがあまりに多勢に無勢ではないか」
なんとアテルイ現実的な意見。もっとヒーロー的な感じじゃないのかよ!と思った。
「少なくとも伊佐西古、諸絞、八十島、乙代らには話を通しておかなければならない。もし朝廷と戦うのであれば蝦夷の族長達が団結する必要がある」
モレは自分ならやれると言わんばかりの感じである。
確かにかわいい子に頼まれたら断れないかも。
「じゃあモレさんちょっと蝦夷の意思統一をお願いしてもいいかな、アテルイと一緒に」
「ついでに多賀城の増援の件だけど、多賀城もこの際一気にぶっ壊すんで」
「なんと、多賀城まで攻めるか!?」
これにはさすがに皆驚いている。
史実だとびっくりして多賀城の兵は闘わずに逃げ出すはず。史実だとね…
「一気に前線を多賀城以南まで押しこんで、そう易々と体制を立て直せないようにしましょう」
この時代実は騎馬隊的なものがほとんど無い事をオレは調べていた。
しかしこの地には馬は豊富だ。
伊治城での暗殺計画が成功した後一気に騎馬隊で多賀城まで行く。おれは馬に乗れないからバイクで。
一先ずこれで宮城県内から朝廷軍を一掃できるはず。
ただ一つ気がかりなのは朝廷からの統治を受けているアザマロやウクハウと違い、未だ未開の地である岩手県の胆沢のアテルイ達は賛成するであろうか…。事なかれ主義の俺ならわざわざ争いごとに首を突っ込みたくない。
それは朝廷の光仁天皇も同じであるからこそ今がチャンスなのだが…。
モレちゃんはどう思ってるんだろう。




