↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/13

【2−2】 「いつも通りが一番……!?」

お、お────。



大人気なぁ〜……!



私は幼稚園児かっての。

これは「コミュ障」とか会話の仕方以前で、人間としての常識として最低だった。


セドリック、怒ってるかな。

まあ普通は怒るよね。私だったら怒るもの。

うん、謝ろう。今すぐに。

あ、で、でも! このままだと、許嫁の件が白紙になるかも!

あー……でも、謝らないと人道的にやばいよね。



ど、どうしよう〜……。



と、うだうだ考えていたらもう次の日。

一日経ったら余計に謝りにくくなってしまった。


あーもう!! なんであそこで踏みとどまったかなぁ!

私ったら本当に馬鹿過ぎる!!


いい? さくら。

自分で変わるって決めたんだから、ここは腹括ってセドリックの自室へ突撃するのよ!!

覚悟は決めた。よし、今よ!!



「セ、セドリック様!! お、おお、おはようございます!!」



また、くしゃみがかかったらどうしようとか、半分思いながらドアを開けた。

あ、あれ? 返事がない?

パッと見、彼の姿はなくどこかに行ったのかもしれないと、部屋を回っていると。


ベッドの横に差し掛かった瞬間、布団の中へと引きずり込まれたのだ。


あまりにも一瞬の出来事すぎて、理解するのに数分かかった。

ほら、早送りされている動画って台詞を理解するのが難しいでしょ? そんな感じ。

現代っ子(私含め)って、動画を早送りする傾向があるらしいよねー。


なんて、呑気にモノローグを語ってるけど、なぜ私はベッドに転がされ、上には半裸の王子がいるんだろう?


朝の日差しでより一層輝く黒髪がなんとも、いとおかし。

寝癖で乱れていても、それもまた一興。

すっぴんでここまで綺麗な顔は、もはや天然記念物だよ。



「どうしたの? 夜這いでもしに来た?」

「それならこんな堂々と来ませんよ。それに今は朝です」



朝っぱから私たちは何の会話をしているんだ……。

こんな意味不明な状況でうまく躱せた私を褒めてほしい。

セドリックはというとそのまま固まったので、私はそこから抜け出しベッドから降りる。

うぅ〜となぜかメソメソ泣いている彼を見ていると、昨日のことは気にしてないのかなと少し安堵した。

でも、自分の非についてはちゃんと謝罪をしないと。



「昨日は、その……す、すみませんでした!」



ガバっと頭を下げ、精一杯の謝罪の意を示す。

親にすらこんなふうに謝ったこと無いよ。

相手がセドリックだからだろう。



「わ、私が言い出したことなのに……あんな態度を取ってしまって……本当にすみません」



彼の許嫁になんて本当になりたくない。いや、どっちかというとなるわけにはいかないというか。

私は彼に私よりもっと良い人がいると、そう教えたい。

たとえ、それでも。



私は彼に嫌われたくないんだ。



頭を下げて数秒。返ってきたのは。




「え? なんのこと?」




それだけだった。


「な、なんのことって……友達の作り方について聞いた時ですよ」

「うん。それは覚えてるよ」

「そ、それで、セドリック様が折角私に助言をしてくださったというのに、私が無理やり会話を中断させたみたいになって……第一王子に対してもですが、その……人としてあるまじき行為だったので……」


私がそう言うと、彼はやっと思い出したかのように「あー!!」と声を上げ、手を叩いた。


「あれね、別に謝らなくていいよ。むしろ謝るのはこっちだよ」

「どうしてですか?」

「ほら、俺がアドバイスした時、サクラ、なんかすごい嫌そうな顔をしていたっていうかさ」


そう言いながら今思いついたかのように、クローゼットから服を取り出し袖を通していく。

私は一回、布一枚の彼を見ているからか、初見の時よりは冷静だ。

そう。だからいい加減よだれを止めなさい。


「サクラにとって、あんまり聞かれたくなかった内容なんじゃないかって思って。人それぞれ聞かれたくないことあるし。だから、気に障るようなことを言った俺が謝るべきだよ。ごめん」

「い、いえ! そんな……!」


セドリックも気にしていたのか。

私こそ気にしていないというのに。


でも、これで一件落着。

心のわだかまりも解けてまたいつもの日常に戻れる。

そうだよ。いつも通りが一番なんだよ。



「それを謝るんだったらさ、さっきのこと謝ってほしいなぁ」



プクッと頬を膨らませる。


さっき……?

さっきとは一体いつのことだ?


私が部屋に入った時? それとも今の会話の中?

全く心当たりがなく、まずいと冷や汗が出てくる。


「心当たりは?」

「な……ない、です」


ヤバいヤバいヤバいよ。

どうする? この状況。逃げたら、なんて考えたけど、それこそ人間の恥だ。ここは正直に、穏便に……とはいかな……、



「俺のこと、セドリックじゃなくて『セド』って呼んでって言ったの、忘れたの?」

「……へ?」



そんな腑抜けた声が出てしまうほど、彼の言葉によって硬直していた体の緊張が一気に解れた。


その会話はした。した、けど……。



「そ、そんなことで怒ってるんですか?」

「そんなことじゃないの! 俺、すごい悲しかったんだけど!」

「す、すみません……?」


今度こそ私は何に謝ってるのか本気でわからなくなってきた。

もはや、馬鹿馬鹿しいと思うぐらいには。



「じゃあ、はい」



何が「じゃあ、はい」なんだ?

と、まあ思ったけど、耳に手を当てあからさまに、私に何かを言ってほしい仕草。

顔はよくても行動に可愛げがない。

ここは諦めて彼に従うか。



「セド様」



ほら、どうだ? 言ってやったぞ。

でも彼の表情はまだ不満気で、物足りなさそう。

なんで? ちゃんと言ったじゃない!!


「セド様じゃなくて?」


セド様じゃない? じゃ、じゃあなんと呼べと?

ま、まさか……!



一つの仮定にたどり着いたが、「いやいや、待て待て」という二単語を頭の中で数十回繰り返す。



も、もしそうだとしても! 私には無理!!


同世代の男の子を愛称で呼ぶことすら初めてなのに……そ、そんな……。

でも、目を爛々とさせ「早く!」と期待の眼差しを向けられたら、もう抵抗するすべもなく……。




「セ、セ……セド」




カアっと顔が熱くなるのがわかる。

冷やそうと手を当てるも、手も熱い。

彼はというと、やっと満足したような顔をしている。

そして、顔をどうにか冷やそうとしている私にトドメの一言。



「じゃあ、一回呼べたんだから。二回でも三回でも十回でも同じだよね?」



そう、グイグイ迫ってくるものだから、ついに私はこの部屋から抜け出した。



「え? ちょっと、サクラぁ〜」

「そう易々と第一王子の名前を敬称略で呼べません! 勘弁して下さい!!」


これは逃げて正解、逃げて正解……と自分に言い聞かせる。


いつも通りが一番って思ったけどさぁ……!!




いつも通りって一体なんなのー!!??


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。