【2−3】 「ある噂を聞きました」
やっと始まりました。
今日で学園生活3日目……多分。
この前は説明やら、案内やらで休日に入ったから、まだ学園生活らしい生活送ってないんだよねぇ。
今日こそは穏やかな日常でありますように。
でも、そうはいかないんだよなぁ。
「準備できました。行きましょう。セドリック様」
「うん……」
この第一王子がいる限りは。
彼は私が未だ「セドリック様」呼びにご不満のようだ。
ムス〜ッと、いつもイケてる顔がなんとも可愛らしくなっているが、そんなものに釣られない。
釣られないぃぃ……ように頑張ってる、今。
こう、グッと。グッと堪えてる。
そんな私を誰か褒めてぇ。
セドリックもセドリックよ。
一回呼んであげたことに感謝するべきだよね。
あの後、「セド」って呼んでくれるよう、私のことを散々追いかけ回した時は、マジでしつこかった。
おかげでまたぶっ倒れたおかげか、しつこく言うことはなくなった。
いやあ、引きこもってる間に、筋力と持久力が死んでるわ。
そろそろ50メートル走、走れなくなるかも。
いや、それは困るわ。
❀ ❀ ❀
「サクラちゃん、おはよう」
「お、おお、お、おはようございますぅぅ」
この前、少しだけ話したソフィアに挨拶され、自分でもびっくりするぐらいの挙動不審な返しをする。
「フフッ。緊張しなくて大丈夫よ。だって私たち、もうお友達でしょ?」
……ん?
「え?」
「え?」
「違った?」みたいな顔されてるが、私にもわからない。
この前少しだけ喋っただけだよ?
それで「友達」って早すぎやしないか?
こう、お互いの仲を徐々に育んでからじゃないのか?
私が、友達に対する認識が間違っているのか?
昨日、一昨日、作り方について一生懸命悩んでたのにぃ〜。
「サ、サクラちゃん……?」
「え? ああ、も、もちろん!! お友達です、はい。よ、よろしくお願いします、ね」
「ええ、よろしくね」
クスッと笑った顔、天使だ……。
ここで、ハアッと感嘆の息を吐かせていただきます。
字面的にキモいな。
ちょっとこれは聞かなかったことにしよう。
私は、「三次元には興味を持たない、二次元にだけ一生を捧げる」という誓いを立てていた。
でももう、こんだけ造形が良かったらそんなんどうでもいいわ。
この世は顔の時代よ?
顔のいい人が何をやっても許されるし、世間が許さなくても私が許す。
そして、ソフィアはというと。
「白髪」と書いて「しらが」と読むこともあるが、この子の髪は真っ白で新鮮な(?)雪のように白い。
その色のおかげで、太陽光を反射しすぎて眩しぃ。
ついでに、スタイルも抜群。そして、私にはないあるところに目が行く、どうしても。
ストップ、通報は一旦待ってくれないかな?
これは……そう、不可抗力というやつだ。
だって、自分にはないものが相手にあったら見ちゃうでしょ?
なぁに、自然なことさ。
「じゃあ、教室行こうか」
「うん!」
❀ ❀ ❀
「サクラちゃん。一つだけ質問いいかな?」
「う、うん!」
な、なんだろう。質問って。
は! まさか、私がソフィアのあそこを見ていたことがバレたか!?
んなわけあるかいっ。
「セドくんとは、どういう関係なの? 彼はサクラちゃんに惚れてるとか……」
これはまた……返すのが難しい質問が来たな。
どうしたものか。
思い切って全部話したほうが早いかな?
でも一体どこまで……?
「その、セドリック様が私に惚れているというのは、本当です……はい」
言葉にしてみて思った。
普段、口で言われてるだけで本当はどう思っているのか。
でも、惚れてなかったらケーキを食べさせたり、ベッドに引きずり込んだりしないわな。
イタズラの可能性も無きにしもあらずだが。
そして、私が魔法使いであること。それでセドリックの病を治したこと。
急にセドリックが許嫁になれと言ってきたこと。
勝負してる……ことまでは言わなくて良いかな。
別に言う必要ないし。
「なるほど。そうだったのね!」
ほっ、納得してくれたみたいで良かった。
あ、そうそう。説明し忘れていたが、セドリックには、私は元々孤児で彷徨っていた所、魔法で王宮に飛んでしまったことにしている。
我ながら、なんとも雑な展開。
でも即席でここまで考えたんだよ。
妄想力って大事だよねっ!
普段の習慣がここで役に立つとは、前代未聞だよぉ。
「でも、サクラちゃん。あの噂は知っているの?」
「噂?」
なになに、この何かありそうな展開は。
穏やかに過ごしたいけど、こういう展開はアニメや小説に置いて良いスパイスになるからね。
見過ごさないよ。
「中等部の頃のセドくんが一回だけ暴力沙汰を起こしたことがあるって噂よ」
「……え」
何、それ……どういうこと?
待って待って、頭の整理が追いつかない。
今のセドリックじゃあ、想像がつかなさすぎるから。
あんなクールぶった顔で、性格は犬系の面倒くさいほどのかまってちゃんで……。
実は中学の頃は荒れてて、オラオラ系のヤンキーだった。
そんなの……。
めちゃくちゃ萌えるんですけど????
「ソフィア!!」
「え? は、はい!」
ここの世界に来て、さいっっこうに良い話を見つけた。
絶対に逃すものか。
「その話、詳しく聞かせて!!」
「え、えぇぇ?」




