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母の羽の下で――ある雛の話  作者: Kentarou Tou / Kentarou Theater


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第九話「羽が育った」


羽が育った。


気づいたら、育っていた。


最初は産毛だけだった。


いつの間にか、硬い羽が生えていた。



翼を広げると、前より大きかった。


風を受けると、前より強かった。



温かさが、縁に立った。


雛も、縁に立った。


並んで、外を見た。



温かさが飛んだ。


遠い枝へ飛んだ。


そこから、雛を見た。



雛は温かさを見た。


温かさは、待っていた。



雛は翼を動かした。


前より大きな翼を。



怖かった。


縁の下は、遠かった。



しかし温かさが待っていた。


遠い枝で、待っていた。



雛は飛んだ。


落ちた。


翼が開いた。


浮いた。


また落ちた。


枝に降りた。



温かさの隣の枝に降りた。


温かさが声を出した。


低く、繰り返す声を。



雛も声を出した。


同じ高さの枝から。



温かさが、雛に体を寄せた。


並んで、止まった。


二羽で、並んで。


巣の外で、初めて並んだ。



風が来た。


二羽の羽が揺れた。



(第九話 了)


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