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第八話「少し離れた」
ある朝、雛は自分で巣の縁まで動いた。
温かさが連れて行ったのではなかった。
雛が、自分で動いた。
縁から、外を見た。
広かった。
空があった。
温かさが来た。
雛の傍に立った。
並んで、外を見た。
温かさが飛んだ。
近くの枝へ飛んだ。
少しだけ離れた。
雛は、温かさを見た。
温かさは、雛を見た。
雛は声を出した。
温かさが声を出した。
温かさが、また来た。
戻ってきた。
雛の傍に来た。
また飛んだ。
少し遠い枝へ飛んだ。
雛を見た。
雛は温かさを見た。
温かさは、離れていた。
しかし見えた。
見えていた。
雛は声を出した。
温かさが声を出した。
温かさが翼を広げた。
大きく広げた。
雛は、その翼を見た。
大きかった。
雛も、翼を動かした。
小さかった。
まだ小さかった。
しかし、動かした。
温かさが戻ってきた。
雛の傍に来た。
くちばしが、雛の頭に触れた。
一度だけ。
それから並んで、空を見た。
広い空を。
(第八話 了)




