表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
母の羽の下で――ある雛の話  作者: Kentarou Tou / Kentarou Theater


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/10

第六話「遠くへ行った」


温かさが、遠くへ行く日があった。


朝に出て、戻らない時間があった。


長い時間だった。



雛は巣にいた。


温かさがなかった。


外の音があった。


風の音があった。


葉の音があった。



雛は声を出した。


返事がなかった。


また声を出した。


返事がなかった。



腹が減った。


声を出した。


返事がなかった。



雛は待った。


待つことしかできなかった。


待ちながら、声を出した。


小さな声を。



影が来た。


大きな影が来た。


雛は動かなかった。



温かさが来た。


くちばしに、何かを持っていた。


雛の口に入れた。


腹が満ちた。



温かさが、羽の下に雛を入れた。


包んだ。


雛は声を出した。


大きな声ではなかった。


小さな声だった。


温かさに向けた、小さな声だった。



温かさが声を出した。


低く、繰り返す声を。


雛はその声を聞いた。


いつもの声だった。


変わっていなかった。



眠った。


温かさの中で眠った。


遠くへ行っていた温かさが、戻ってきた後の温かさの中で。



(第六話 了)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ