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第四話-1:出会い

ゴブリンから魔石を回収した僕たちは再び三階層に向かって歩く。


ちなみにこれまで倒したゴブリンの魔石は、全て僕が腰につけた革袋に入っている。

歩くと革袋からチャラチャラと鳴っている音が聞こえてくるのだが、成果を感じられて心地よい。


おっと、倒したのが実質一匹だなんて言うなよ?

泣くぞ?


そんなことはさておき、次にモンスターが出た時に僕は二匹担当することになった。

一匹ばっかりだと複数相手にする経験が積めないからね。


複数相手は大変だけど、こればっかりは避けるわけにいかない。

ここを乗り越えないと先に進んでも僕は戦うどころか完全に足手まといになってしまうから。


第一、僕は駆け出し冒険者としては異常なまでのサポート付きで潜っている。

僕一人だけで潜っていたならば、最初の死んだフリをしたゴブリンに刺されて死んでいただろう。


「考え事もいいですが、周りに注意を払わないと行けませんよ?」


色々と考えていたのが顔に出ていたのだろう。

後ろにいたイオスが僕の顔を覗き込んでいた。


辺りにはゴブリンや火狼(ファイヤウルフ)だったものが転がっていた。


「はい、どうぞ。考え事は程々にしてくださいね?」


女性の手ってすごく柔らかいなぁ…なんて思いつつ、イオスから渡されたのは魔石。

どうやら全て回収してくれたみたいだ。


考え事に没頭し、戦いにすら気付いていなかった自分を恥じると共に少し情けなく感じてしまう。


しょんぼりとしていた僕だったが、またモンスターの群れが襲ってきたことでそうも言ってられなくなった。


「今度は二匹回します、頼みますよ?」

「言われなくとも!」


僕はこれまでの情けなさを振り払うかのように、反発するかの如く声を張り上げる。

ノエインはフッと笑みを浮かべ、ナイフをモンスターに向かって何本も同時に投げつける。


今までゴブリンが使っていたナイフをこっそり拝借したようだ。

僕から見ればナイフと呼ぶのもお粗末な出来だったが彼には十分らしい。


前から迫っていた五、六匹のゴブリンの眉間に刺さる。

まるでお手本のような精度で眉間を貫かれたゴブリンたちは何が起こったのか分からなかったに違いない。


各々が持っていた武器を持ったまま、うめき声の一つも発さず地面に倒れる。


だが、僕はノエインの手腕に感心している場合ではなかったようだ。

僕の方に向かっていたゴブリン共に目を向けると、今まさに襲いかからんと飛び上がって来ている。


僕は右手に持ったダガーを力いっぱい握りしめ、襲ってくるナイフを何とか受け流す。


ガキィィィィーーーン!と甲高い音に思わず耳を防ぎたくなるが、何とか我慢し体勢を崩したゴブリンを追撃する。

スパッという音と共にゴブリンの首から血が吹き出す。


だが、こいつだけに構ってられない。

僕の方に向かってきたゴブリンはもう一匹いる!


そして今、まさにもう一匹が槍を僕に向かって放つ。


僕は何とか避けようと体を逸らす。

幸いにも、ゴブリンが放った槍はなんとか避けられた。


だが、これはチャンスだ!

ゴブリンに放った槍以外の武器は見当たらない。

僕はゴブリンにトドメを刺さんと駆け出す。


「これで、トドメだ!」

『ゴブゥァ!』


僕は何とか攻撃を止めようと手を伸ばしてきたゴブリンごと突き刺す。

ダガーは正確にゴブリンの胸元まで貫きらゴブリンは悲鳴をあげる。


しかし、ここで問題が起きた。

ゴブリンに突き刺したダガーが抜けず、そのまま刺さったままゴブリンが辺りを転がりまわる。


僕は何とかダガーを引き抜こうとゴブリンに馬乗りになり、引っこ抜こうとする。

だが、ベッタリとゴブリンの血が着いており、なかなか抜けない。


見かねたノエインが近寄ってきてダガーを引き抜いてくれた。

ゴブリンは蓋の役割をしていたダガーを失い、出血多量でそのまま息絶えた。


「武器はそのダガー、ただ一本だけです。

突き刺すことはなるべく避けてください。」

「ノエインに見とれてて対応が遅れちゃったんだ…許して欲しいな?」


僕はあざとく上目遣いで許しを乞う。

ノエインは照れ隠しのつもりだろう、目を逸らしている。


「今日はそろそろ帰りませんか?もう夜も近いはずです。」


ここまで静かだったイオスが手を挙げている。

ノエインも頷き、今日のところは帰還することになった。


ただ…イオスは時計なんて持っていないはず。

一体どうやって…と思ったがすぐにわかった。

イオスのお腹が鳴ったのである。


なるほど、腹時計だったと思っているとイオスは恥ずかしかったようで…。

ノエイン共々ボコボコにされてしまった。


僕たち何も悪くないのに…モンスターたちよりよっぽど恐ろしいことを改めて思い知らされた。


──────────


迷宮(ダンジョン)から帰還した僕たちはノエインのツテで取った宿に泊まることにした。


ちなみに魔石はギルドで売却済で、日本円にしておよそ5000円ほどになった。

これは駆け出し冒険者が稼ぐ額としてはそこそこいい線いっているのではないだろうか?


そんなことを思いつつ、歩いているとすぐ宿屋に着いた。


看板には【炎翼の獅子亭】の書かれている。

名前からして力強そうだ。


ノエインによると、ここの宿は一回で酒場もやっており、美味い料理がたっぷり食べられる冒険者御用達なんだとか…。


だが、店の雰囲気からして駆け出しが泊まっていいような宿には見えない。

こんな高そうなところに泊まるお金はないと思ったが、ノエインが出してくれた。


ノエイン、お前ほんと何者だよ…。


そう思わずには居られなかったが、聞いても答えてくれるとは思えなかったので考えることをやめた。


僕たちは二階の通りに面した部屋らしい。

ノエインは迷うことなく取った部屋に辿り着いた。

ちなみにイオスはと言うと、別部屋である。

この宿は男女で部屋が別れているらしい。


「あぁー、疲れたー。」

「少し休憩したら食事にしましょう、イオスが腹を空かすとろくなことしませんので。」

「あー…そうだね、早く食事しに行こう。」


僕は部屋のベッドに横たわりながら返事をする。


今日は初めて、夢にまで見た迷宮(ダンジョン)攻略をした。

思い返すだけでも嬉しさが止まらない。


「明日こそは…僕も一人で!!」

「…あのー、行きますよ?」


ベッドの上で、そう決意する僕だったがノエインにガッツリと見られていた。

ノエインはいつの間に着替えたのか、戦士の風格を漂わせていた人物とは思えないほどラフな格好になっていた。


僕も急いで革鎧を脱ぎ、返り血の着いた服を脱ぎ捨ててサッと着替えるとノエインと共に一階へ降りるのだった。


──────────


一階に降りると、イオスが先にテーブルを確保しておいてくれたようだ。

僕とノエインはイオスの取ってくれたテーブルを囲うように椅子に座る。


すると、見計らったように丸焼き肉やサラダが次々と到着した。


「ノエインさん、お久しぶりですね。もう戻って来ないものかと思っていましたよ?」

「久しぶりだな、アイリス。言っただろう?戻ってくるってな。」


どうやら給仕のお姉さん―アイリスさんはノエインの旧友のようだ。

再会を邪魔するのは悪いかと思ったが、そんなこともないらしい。

アイリスさんは給仕を済ませるとさっさと厨房に戻って言ってしまった。


「すまねぇなぁ、それじゃ乾杯しようか。」

「あのオレンジ髪の綺麗なお姉さんは誰よ、説明しなさい!」

「ただの元同僚だよ、さぁ食事だ食事、な?」


ノエインはイオスに問い詰められていたがサラッと躱し、右手に骨付きチキン、左手にジョッキを持ち高々と掲げる。


イオスはと言うと、不満そうにしながらも渋々席に戻りジョッキを掴んだ。


ははぁーん?そういう事ですか。

僕はニヤニヤしながら二人と同じようにジョッキを掴み、乾杯した。


「今日はお疲れ様でした、ですが明日はもっと深くまで潜るつもりです。」

「それなら、ポーションを持っていく必要もありそうですね?」

「そうですね…それに………。」


乾杯すると二人は明日のことを話しだす。

なんだかんだ僕のことを心配してくれているのだろう、ずっと僕に気を使っていることを嫌というほど感じる。


そうか、明日はさらに深く潜るのか。

そう考えると、僕もより一層気を引き締めなければならない。

僕は覚悟を決め、ジョッキに注がれたジュースを一気に飲み干す。


僕は今、14歳で一応飲めなくはないが明日の攻略に支障が出ると行けないので酒は飲んでいない。


それはノエインとイオスも同様で、ジュースを酒代わりに飲んでいる。

二人は昔からずっと、僕に着いてきてくれている。


明後日は僕一人で潜って、二人には休んでもらおう!

そんなことを画策しつつ、話しながらも食べ進める二人に食い尽くされないよう負けじと僕も食べ進めていったのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます


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