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第十話:君の力になりたい-1

ノクスたちに助けられた僕たちは宿に辿り着いた。


ノクスから聞いた、彼らが迷宮(ダンジョン)に潜るまでの経緯を纏めるとこうである。


どうやら、ノクスが異変に気付いて助けに来てくれた。

という訳ではなく…。


僕が捕まった、先日の件で来ていたらしい。

どうやら、最近迷宮(ダンジョン)の内外で異変が起きているとか。


組織的な動きが見られるため、迷宮(ダンジョン)との関連を調べに来たらしい。

あの蜥蜴人(リザードマン)も異変といえば異変だが、どうやら関係がある訳では無いんだとか。


長々とノクスは説明してくれたが、それ話していいのだろうか?

…ともかく、つまり助かったのは偶然だ。


だが、偶然だろうと運が良いことには変わりない。


今は部屋に一人、今日の出来事の慌ただしさとは正反対で物静かだ。


ちなみに、ノエインは診療所に放り込んできた。

本人は嫌がっていたが、そのままにしておく訳にも行かない。


そして気絶していたファロスはというと、宿に帰ってからイオスに託してきた。

僕では二人の部屋に入れないからね、仕方ない。


僕はベッドに寝転がり、今日の行動を反省する。

いくら二人が頼りになるからといって、深く潜りすぎた。


本来ならもう少し経験を積んでから潜るべきで、油断があったと思う。

もし…僕がもっと強ければイオスが僕を助けに来ることもなかったし、ノエインが負傷することもなかった。


あぁ…やめだやめ!

考えれば考えるほど後悔するだけだ!


このモヤモヤを八つ当たりすることで発散しようと、僕は再び迷宮(ダンジョン)に向かった。


──────────


迷宮(ダンジョン)に潜った僕は、一直線に第十階層に向かっていた。


もちろん、辿り着くまでに多くのモンスターたちが襲ってきたのだが全て返り討ちにしている。


少し前ならば、苦戦を強いられていたのに、今では難なく倒すことができる。


何回も戦ううちに、自分なりの対処法を掴んでいるのだろう。

毎日潜っていたとはいえ、急速に力をつけていることが実感できた。


もちろん、魔石は忘れずに回収している。

初心を忘れない…これが何事においても大事だと思っているからだ。


そんなこんなで順調に十階層への階段まで辿り着いた。


思えば…あの日のことが今に繋がっていると思うと感慨深い。

だが、今の僕に感傷に浸ることなど許されないのだ。


今は黙って一人で来ている。

何かあっても助けてくれる者などいない。


僕は意を決して階段を降りる。

あの日の僕とは違うんだ!


十階層に足を踏み入れると、早速蜘蛛が襲いかかってくる。

だが…冷静に攻撃を交わしつつ、蜘蛛に渾身の一撃をおみまい。


斜め一線に放たれた斬撃が敵を斬り裂く。


今までの僕ならば…こんなあっさりと倒すことなど出来なかった。

こんなにあっさり倒す、そんな自分に違和感を覚える。


少し前まで敵うはずのない格上のモンスターを一撃で葬り去る。

一般的な成長曲線からはかけ離れた成長具合だ。


僕は…一体どうしたというのだろうか。

疑問が湧き上がって来るが、一先ず押し込めて再び臨戦態勢に移行する。


あっという間に蜘蛛のモンスターたちが僕を取り囲んでいる。

本来なら窮地に陥り、絶望と諦めが来るのだろうが…僕は笑っていた。


僕には果たすべき約束がある。


亡き母との…約束。

それは皇帝になり、この腐った世界を変えること。


自分を包囲したモンスターたちがいつ襲って来てもおかしくない中で僕は再び思いを馳せる。

そのおかげで、かつての決意を思い出せた。


モンスターたちが一斉に向かってくる中、僕の心は一つの思いがあるだけだった。


こんな場所で躓いていられない!


僕は体を回転させ、連続で斬り続けることでモンスターたちに攻撃を加え続ける。

モンスターからは血飛沫が吹き上がる中、僕はそれを見て怯んだモンスターたちにさらに攻撃を仕掛ける。


あらかた倒すと、文字通り蜘蛛たちは散るように逃げていった。

僕は逃げていくのを目で追いかけるだけで、追撃は仕掛けない。


大人しく、倒したモンスターたちから魔石を頂くだけだ。

もうこの階層のモンスターたちならば、冒険者として普通に生きていけるだけの収益が見込める。


わざわざ危険を犯し、追撃してまで倒すべきとは思えなかった。

欲をかいて痛い目に合うのはもうごめんだね。


魔石をかき集めていると、どこかから親蜘蛛とでもいうのだろうか…どこにいたのかと言うほど、とんでもなくデカイ蜘蛛が壁をぶち抜き僕の前に現れた。

もちろん、周りには今までのサイズの蜘蛛もいる。


ふと後ろを見ると、上層への階段は蜘蛛の糸で塞がれ通れなくなっている。

それなのに、僕の頭は冷静だった。


魔石の回収を中断し、武器を構える。

不思議なことに、焦燥よりも喜びが上回っている。


「あぁ…最高に冒険をしていると感じるよ。」


パーティを組んで忘れていた感覚だ。

文字通り一人で、道を切り開いて行くこの感覚。


最高に冒険をしているって感じだ。


一刻も早く脱出しろと理性が訴えかけるが、僕はあえて無視する。


だって今…力が湧いてきているのだ。

亡き母を始め、僕を支えてくれた皆が力を貸してくれるような感じがした。


僕は…今が一番生を実感している。

そこで初めて気づいた。


僕はもう…心まで冒険者に染まっていたのだと。


あとは…実力をつけるだけだ!

そしてそれは今、証明すべきだろう。


今まで関わった人たちに背中を押されるように、僕は武器を構えモンスターと激突した。

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