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5.5話-1:ノエインの憂鬱

俺の名はノエイン、第四皇子(クロウ)の専属護衛騎士だ。


まぁ、正確には皇子が追放処分なのでついてきた俺は元騎士なんですけど。


だが後悔はしていない。


そもそも騎士というのは基本的にこの国の貴族、あるいはそれに準じる者しかなれない。


ちなみに俺は例外で、この国の大臣の推薦で騎士になった。

騎士と言っても、殿下のお守りが主な仕事で戦うことはなかったけど。


それに、騎士になって悪いことばかりではない。

冒険者だった頃より稼ぎは落ちたものの、安定はしていたし何より命の危険がなかった。


冒険者をしていたことは見れなかった、新しい景色も見れた。

だが、俺に騎士は向いていなかった。


過去は過去と割り切ることが出来なかったのだ。

散っていった仲間たち…一人一人が、呪いのように毎日夢に出てくる。


『………え……かえ…たたかえ…戦え!!』


毎日毎日、悪夢にうなされる日々。

そんな時だったよ、殿下が冒険者になりたいなんて言い出したのは。


(また冒険者になれば…何か変えられるだろうか?)


殿下が冒険者になりたいと言い続けていたある日、大臣に呼び出された。


丁度いい…俺から大臣を説得して、殿下と二人、冒険者に戻ればいい。


そう思い、大臣の執務室のドアを叩く。

入室の許可を得て入ると、驚かされた。


そこには皇帝陛下と、騎士仲間(イオス)がいた。

普段会うことのない陛下がなぜここに!?


俺はアタフタとするが陛下は普段の威厳たっぷりの表の顔とは違い、素顔は思ったよりフレンドリーらしい。


「あまり緊張しなくてもいい。今日は、一人の父親として頼み事をしに来ただけさ。」

「大臣の私からもお願いはあるんですが…まぁいいでしょう。そこに腰掛けてください。」


陛下と大臣に言われちゃ大人しく従わざるを得ない。

俺は、イオスの隣に腰掛けた。


二人が揃ってお願い?何を言われるのかと焦って脳をフル回転して考える。

だが、当然何も考えつくわけがない。

そんな俺に二人は答えをくれた。


「「君たちに、クロウのことを頼みたい。」」


今も十分頼まれてるとは思うが…どういうことだ?

意味が分からず、隣のイオスに助けを求めたがダメだと確信した。


(こいつ…干し肉食ってやがる。)


なんでこの国のトップとNo.2の前で堂々と食事してんだこのバカは!!

思わず頭を抱えてしまったが、二人に誤解されたらしい。

二人が立てた計画を事細かに教えてくれた。


「二人には、クロウ自身から追放されるように頼むよう説得して欲しい。」

「父としては、息子の夢は応援してやりたい。

だがなぁ…すんなり送り出すのは不可能なのだよ。

我々にもメンツがあるのでな。

私含め、歴代の皇族たちは何不自由ない生活と引き換えに自由を失った。

今更私の代で変えることなど許されんのだよ。」

「たかだか1000年弱の歴史なぞ捨て置けばよいと私は思うのですがね…。あ、ノエインには逐一報告もして欲しいです。」


なんか大臣がしれっと問題発言した気がするが聞かなかったことにする。

エルフの大臣とは、我々人間と感覚が違うのだろう。

そしてイオスは話についてこられなかったようで、昼食後の昼寝タイムに入っている。

おいやめろ寝るな!俺を一人にするんじゃない!


「なるほど…メンツのために【追放】という手段で送り出すと…。して、なぜ私に頼むので?」


別に皇子一人で冒険者になるのだって問題ないだろうに…。

そう思ったが、大臣が答える。


「彼は…第四皇子(クロウ)は私が長い…本当に長い時を経て見つけた救世主なのです。」

大臣(おまえ)、1200年ほどしか生きてないのに長い時って…エルフは永遠に近い時間を生きると聞いているのだが?それに救世主ってどういうことなんだ、初耳だぞ。」

「あの憎き聖国を討ち滅ぼすのが、殿下(クロウ)なのです。いくら陛下とはいえ邪魔立ては許しませんぞ?」


【聖国】かぁ…面倒な連中の名前が出てきたな。

連邦とは我々帝国の北に位置する国で、宗主国でもある。

元は一宗教だったが国を興したとか…。

そして我が帝国と1000年に近い主従関係だと聞いているが、俺を初めそれが当たり前なのでもう諦めていたところはある。


しかし、気になるのは大臣はお目付のためにこの国に来ていたはずだ。

それなのに滅ぼしたいと思っているのなら、おそらく大臣は昔痛い目にあったのだろう。

俺も、連中にいい思い出はないが。


だが、それよりも気になったのは大臣の発言だ。


殿下が滅ぼす鍵?


正直、俺には何がなにやら…おそらく俺の知らない()()()があるのだろう。


考えが纏まらないが、ひとまず二人のお願いは聞いておく。

まぁ、こんな話をしている時点で引き受けると見抜かれていた可能性は否定できない。


まぁとりあえずイオスを担いで殿下の元に戻ろうか…。

殿下と…二人で冒険者になるために。


…あっ!イオスも含めて三人で冒険者になるために。


──────────


そんなことを思い出していた俺だが現在、殿下が一人で潜りたいと言ったのでイオスへの誤魔化しを考え中。

だが、何も思いつかないので食事をとってから考えることにした。


これは逃げではない、食事をとることで脳を活性化させるためだ。


そう思いつつ宿の食事を頂こうと一階に降りると酔い潰れたイオスがいた。

ワイン瓶を抱えて幸せそうに眠っている。


「どうやら…言い訳は考える必要が無さそうだ。」

「何したんですか、ノエイン。」


後ろから突然声をかけられて驚き、思わずビクッとしてしまう。

おそらく部屋の掃除をしてきたのだろう、掃除道具を片手にもったアイリスがいた。


「あぁ、殿下が一人で迷宮(ダンジョン)に潜りに行ってな…イオスへの言い訳を考えていたところだ。」

「ふーん…一人で行かせたんですか?あなた、護衛騎士じゃ?」


うぐっ、痛いところを突いてくる。


だが、殿下の決断を邪魔したくはなかった。

それに、覚悟を決めた者に辞めさせようなんて…俺にする資格などない。


「まぁいいや、イオスさん見ておいてあげるから皇子様がピンチになったら助けてあげなよ?」


アイリスはなんだかんだ面倒見はいいんだよなぁ、まぁ今回は助かるが。


俺は頷き、ひとまず装備を整える。

問題は殿下をどうやって探し出すか、だ。


現在地はだいたいわかるけど、ピンチになっているときは一刻を争う。

そんな時に一人で探すのはちょときつい。


アイツを頼るか…。


俺は後輩を頼るため、急ぎ足で衛兵詰所に向かうのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます


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