表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルシエルの残響  作者: 此崎 りつ
六章 疑念編
64/71

6-0 雪解けの朝

屋根から落ちる雪の音がいつもより大きい。

カーテンから漏れる光は魅了するほどの煌めきを放っている。

ルシエルは頬を軽く叩き、布団を綺麗にたたんで、その上に枕を置いた。


パンの焼けるいい香りが、食欲を誘う。


「おはよう、母さん」


「おはよう、ルシエル。早いわね」


「うん、早く起きて朝食は僕が作ろうとしたんだけど、遅かった」


「あら、嬉しいこと言ってくれるわね。なら、ベーコンと卵を焼くのお願いしちゃおうかしら」


二人は頬を持ち上げ、キッチンに並んで立った。


 昨晩、ルシエルはアーサー・エルウッドについての違和感を母に話した。

目を見開き、口元を押えたミレイユはその場で固まり、

──「何かの間違いではないのか?」 

と、にわかに信じがたい顔をしていたが、

チルが同時に感じていたことも説明をしたところ、表情が変わった。


「だから、母さんも用心してほしい」


クリストフから託された父の手帳のこと、アーサーは意図的にこちら側に接触しているのではないかということ。

僕たちの知らないところで何かが動いているのではないかという疑念。

それらを話すとミレイユはルシエルの肩にそっと手を置いた。


「母さんは大丈夫。それにロザリーの事も心配いらないわ。

お父さんのかわりにチルがいてくれることだしね。

あなたこそ、無理なことはしないように」


ミレイユの目は全てを包み込むような優しさにあふれていた。

ルシエルは首を縦に振り、しっかりとした声で「はい」と答えた。


*  *  *  *  *


──「ロザリー、チルのことよろしくね」


「うん、まかせて。お兄ちゃんも元気でね」


「チル、母さんとロザリーのこと頼んだよ」


ロザリーの指の上にいるチルは、青い羽をぶるると震わせ、チチっと鳴いた。


「じゃあ、母さん。行ってきます」


ルシエルは新たな決意を胸に、家をあとにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ