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気合

「で、返事が返ってきて、今も思い出すだけでそんなふうなるってわけだね」

 

 手紙の返事を貰ったことを報告するために、チャンフェイの姿を探しながら帰っていたところ、運が良くすぐに見つかった。

 リーメイは手紙の返事を貰ったことを話すや否や、顔を赤くし、その顔と上がった口角を隠すために両手で顔を押さえて俯いている。

 

「な、言ったとおりだっただろ?こういうのはねえ、結構くるんだ。何であんなこと書いたんだろう、とか思ってたら予想以上のものが返されるからね」

 

「……本当に、予想以上というか……すごいというか……感動というか……」

 

 リーメイは今の気持ちを表す言葉を選んでは口にし、次々と並べた。しかし、そのどれもがあの手紙の素晴らしさを表すには足りない。

 

「読むと幸せになれる、というか……すっごく丁寧に書いてあって、内容もこう……読むと気持ちがいっぱいに湧き上がってくるみたいな感じで……」

 

「なるほど。それじゃあその手紙の書き手の気持ちが伝わったってことだね。あんたもそれを読み解けた。

 簡単に言うね。それは書き手があんたのことを想う気持ちを表したものだからそう感じるのさ。あんたのもそうだったから、そう返ってきたわけだ。おめでとさん!」

 

「想う気持ち!?それって……つまり……大切だ〜とか、一緒にいたい〜とか?」

 

「そういうことさ、あんたの手紙は大成功だったってのがここでもよくわかったね!」

 

 チャンフェイがリーメイの肩を優しく叩く。

 リーメイもおぼろげではあるが、達成感のようなものが湧いてきて、目頭が熱くなった。

 

「いやあ、それにしても、今日は旦那さんが帰ってきたあと、何て話しかけるか迷うねぇ!ドキドキして会話つっかえるからがんばりな!」

 

 そう言われて、はっとする。そうだ。手紙の返事を貰ったのだから、何か話さねばならない。あんなに丁寧に書いてもらったのだ。何も言わないのは本当にダメだ。

 

「な、なんて話しかけよう……いつも通りがいいですよね!いつも通りの流れで、何かのときにすらっと……」

 

「その何かのときがどこなのか分かるのかい?機会を逃すよ?」

 

 リーメイは口をむぎゅ、と噤む。その通りだ。言い返せない。

 

「まあ、ぶっつけで勇気振り絞っていくしかないね!もうこの際だからどこでもいいから言っちゃうのがいいと思うよ!早めにね!」

 

 チャンフェイがリーメイの背中をとんとんと叩く。元気づけられているのが分かる。リーメイも覚悟を決めて、拳を握りしめた。

 

「が、がんばります!もう変なこと言っても噛んでもかまいません!なるべく早くいきます!」

 

「よし!がんばりな!」

 

 チャンフェイに背中を押されて、リーメイは歩き出した。

 今日は家事が捗りそうだ。気力が溢れ出てくるのを感じる。

 

 昨日つぼみだった花がほころんで微かに開き、風に揺れている。季節の変わり目をそっと告げるようなそれは、建物の影であっても鮮やかに見えた。

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