心配
警視庁本部に着く頃には日も完全に落ち、風が私たちを平静にさせるそんな温度を感じた。
九瑠璃の発作は少し落ち着いているが、顔がまだ赤く息を荒げている。
才田廻子は九瑠璃の背中を見て心配が募るが、公安に言われるがままに歩いていく。
陽川はいの一番に連れられて行った。
私の少し後公安の人間であろう運転手と若菜が少し話し、若菜も私に続く形で署に入って来た。
若菜は当然ながら一人で取り調べ室へと移動していく。
才田は少し乱暴に連れられる事に嫌気がさすが、此処は我慢をする。
私も権力には勝てないということか、、
九瑠璃を視て昔を思い出すのは自然な流れだった。
警視庁本部に到着して、結衣は意を決して敷地内へ。
不安も安心も感じながら入り口に見える所に向け足を進める。
暫くして入り口と見られるところから人が出て来て話しかけられる。
「御用ですか?」
「坂木結衣と申します。先程港川九瑠璃のスマホから電話がかかってきまして伺った次第です」
「こちらの書類にお名前を書いて、中の席で少々お待ち下さい」
「わかりました」
暫くしてベッドが何台か置かれている部屋に案内される。
そこで九瑠璃は酸素ボンベをつけられて少し落ち着いているように見える。
「心配したけど持ち直したのね。良かったわ」
結衣はベッド横の椅子に座る。
「結衣ごめん。廻子さんの事心配でずっとみてたら、包丁で前から走って来た人が刺されて、動揺しちゃって、、、」
「もう良いから。今はしっかり休みなさい。辛かっただろうね。詳しい事は警察に訊くわ」
「分かった。私明日には帰して貰えるみたいだから、皆んなには心配させないようにして」
「分かった。そんな気も使えるようになったのね」
「私はもう大人だもん」
「分かった。じゃあ明日迎えにくるよ。」
「大丈夫だよ。アパートにちゃんと帰られるよ」
「何かあってからじゃ遅いのよ」
「分かった。待ってる」




