静観
いつものキャバクラの近くで車を停める。
「若菜君が行ってらっしゃい。道行く人の中女だと身長差であんまり前が見えないのよねー。後の運転は私がします。」
「わかりました。まぁ突っ立ってるだけで良いですよね。」
「スマホにたまに目を流しなさいね」
「了解です」
私が車に残った理由として、勿論若菜の成長、いや本質をみたからだけでは無い。
単純に女が立っててろくなことが無いのだ。
本題に戻ると切迫感があるのは九瑠璃ちゃんだけでは無い、記者として人を追うのはそれなりになれているはずで、理解もしているはず、だが港川九瑠璃ちゃんに追われてそれを許しているのも不安なのだ。
まるでそれも織り込み済みの様で寒気がする。
石川さんには伝わっているだろうか?
私は感情的になかなかなれない。
若菜もそういう所がある。
私達に共通点があるとすれば達観している所だろうか?
いや危うさがあるという側面を表す言葉では無いか、、
若菜が目的のキャバクラの近くに立ち、スマホ見始めた。
幸い周りにおじさん達が立ち並んでいる為あまり不審な感じはしない。
昼飲み、昼キャバのキャッチにダラダラと話しかけられている。
女が立っていたらやばい場所だなと改めて思う黒川。
陽川が暫くしてキャバクラから出て、それを若菜が追う。
若菜の靴には県警の発信機が付いている。
私のにも入っている。
若菜も少し置いて私の電話にワンコールして追いかけ始める。
黒川は暫くGPSの動向を確認して車で迎えそうな道路をリストアップして運転を開始する。