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デブリードマンって何?

 前回、抗生物質の適正使用について手引きが作成されることになったということは書いたと思う。

薮にもその事実を伝えるとフンと鼻息荒く無視していたのだが、最近の風邪薬の出し方が変わってきたのである。


 患者さんの体調に合わせていつものセットから種類を減らし始めたのである。

まぁこれは、単に風邪薬の患者さんがが大量にやってきているせいで全部書くのが大変になったというのもあるのかもしれない。


 おなじみになった抗生物質の点滴も、一種類に減らそうかとさえ卸さんに言っていたくらいである。

薮医院におそらく(我々の知らない棚の奥深くに忘れられた薬がある可能性は否定しない)二種類ある点滴は両方共セフェム系抗生物質である。薬が効かなかったら抗生物質を変えるというのなら、種類くらい変えたらいいのにと思っていたりするが薮は聞く耳を持っていなかったのでちょうど良い。

しかし、果たして手引きが出たら今までみたいに片っ端から抗生物質の注射や点滴ができるのかは疑問が残る。


 さて、本日のメインの話題はデブリードマンという保険診療の項目についてです。

二週間近く前に薮が往診を頼まれて患者さん宅へ行った際の話で、その患者さんは90代の女性でほぼ意思疎通のできない寝たきりの状態であった。息子さんが介護をしているのだが、褥瘡ができたらしく薮が様子を見に行ったのだ。


 一人で往診に行って帰ってきた薮が、その患者さんについてデブリードマンで保険請求しておいてと事務員さんに伝えたのである。デブリードマンとは何かわからなかったので、診療点数早見表という本で調べると100cm未満で1,020点というものを請求しろということらしい。1点=10円なので1万200円の仕事をしたと言いたいらしい。この患者さんは0割負担なので患者さん負担がないとは言えやりたい放題だなと正直なところ思いました。


 インターネットで『デブリードマン 診療報酬』で検索してもらうとすぐに調べることができると思うが、


(3) 汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに算定する。また、繰り返し算定する場合は、植皮の範囲(全身に占める割合)を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。


とか書かれているものをほとんど何も持って行っていない往診で行ったと言うつもりだったのであろうか?だいたい、そんな金額がもらえる仕事を自分がやったと本気で思えるところがすごいところである。


 薮が往診に持っていったものは皮膚を切り取るためのハサミ、そしてその後の感染防止のためのゲーベンクリームくらいなものである。メスも持って行っていなければ、おそらく縫合のための器具も持っていなかったように思える。


 デブリードマン自体は請求しなかったが、薮の希望をある程度入れて創傷処理の10cmで850点、さらにデブリードマン加算100点を加えて請求することになった。これでも合計9,500円の仕事である。この保険請求が通るようだったら国は医療費が膨大だから患者さんの負担を増やすなんて言ってはいけないと思う。それよりも前に無駄な請求をカットすることから始めたらいいとしか言えない。

 この請求が受理されるか、結果は数ヵ月後に判明するだろう。


 後日病院にやってきた患者さんの息子さんの話だと、褥瘡部分をハサミで切り取られることを痛がって暴れる患者さんを無理やり押さえつけて行ったようである。想像するだけで痛いし、患者さんがかわいそうである。カルテを見る限り痛みを止める事は何も行っていないのだから。


 その患者さんだが、今日息子さんから電話があった。

前回処置したところが腐ってきたらしく、息子さん自身がまつげ用のハサミ?でつまんで傷口をはがし、ゲーベンでは効果がないのでイソジンを薄めて傷口にかけたら膿自体は現在なくなったということだった。しかし、絆創膏にかぶれたせいかもと言いながら手が腫れているということもこちらに伝えてきたので現在の状況はなかなかひどそうに思える。

 薮はその話を聞いて、仕方がないなぁと笑いながら7日分の抗生物質レボフロキサシンを処方していた。何かあったらまた電話してねと薮は患者さんに伝えていたが、今の状況は薮の手に余る状況じゃないかと私は思っている。


 とりあえず息子さんに一度大きな病院へ連れて行くことを提案してみたが、入院するとつきっきりになるので大変だから嫌だということだった。しかし、今の状況でも2時間ごとに体位を変えている状況なのでどちらにせよ大変だと思う。仕方がないので、今回処方した抗生物質を飲んでも状況が改善しなかったら救急車をよんだほうがいいと伝えておいた。


 また床ずれ対策のマットレスのレンタルサービスが介護保険でできるかもしれないので、ケアマネージャーさんに相談してみるといいと伝えた。息子さんも電話すると言っていたので一安心である。

褥瘡箇所が大きく凹んでいるらしくなかなかひどい状況である。薮があてにならないしヘラヘラしているため息子さん自身深刻に受け止めず、自分なりの処置を勝手にしている状態なので少しでもほかの人を介入させて深刻な事態になる前に気がついてもらえる可能性を上げるべきだと考えたのだ。


 これでもし患者さんが死んだとしても薮の責任なんて追求されたりはしないんだろうかと考えると、真面目にやっている医者が随分損していると思うし、無責任な医者はどんどん増長するんだろうなと思ってしまうのであった。

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