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♂転性してもエアラインパイロット♀  作者: 月隠優
第一章 パイロット復帰
24/29

20話 出発

誤字訂正本当に感謝です。

「エンジンスタートします。大丈夫でしょうか?」


奏はグラウンドさんと連携を取りながら安全を確認し、エンジンをスタートさせる。


「エンジンスタートOKです」


「よし、スタートナンバー2」

「No.2エンジンスタート」


奏が小出に声をかけると小出はそれを復唱し第二エンジンを起動させる。

実はこの機体両方同時にエンジンを始動させることができるが、急いでない時は一つ一つ確認していく方が良い。


「No.2、スタビライ」

「スタートナンバー1」

「No.1エンジンスタート」


「パーキングブレーキセットお願いします」

「了解しました」


パーキングブレーキをONにし、トーイングカーを外す作業が行われる。

エンジンが始動したことで、電気の供給源をAPUからエンジンに変更することができる。

APUは必要なくなるので止め、地上走行前のチェックリストをすすめる。


「作業終了しました。いってらっしゃい」

「ありがとうございます。行ってきます」


準備ができたらタキシング許可をもらい、ワイパーを動かしてエンジンを吹かす。


誘導路は管制官の指定したルートに従って走行する。誘導路走行中は離陸準備を進める。小出が操縦しているので、奏はその間にフライトコントロールチェックを行う。


「エルロンライト」

奏は操縦桿を目一杯右に傾ける。

コックピットのディスプレイで、機体を傾ける役割のエルロン、フラッペロン、スポイラーが正しく動作しているか確認する。


「エルロンレフト」

逆も同様に。ちなみに過去にこの確認を怠ったため、整備ミスに気付けず離陸してしまった事故もある。そのミスにより右に操縦桿を傾けたら、左に機体が傾くといった全く相反する挙動を機体が示してしまい、緊急着陸する事態になってしまった。


「エレベーターアップ」

操縦桿を引くと飛行機の前端が上を向く挙動をする。その挙動を引き起こすのは機体後部にある地面と水平に近い2枚の羽である。


「エレベーターダウン」

操縦桿を押すと機体は降下する。


「ラダーライト」

足にあるペダルを踏み込むと、地面に垂直に伸びた羽が動く。飛行機の向きを変えたり、エンジンを片方失った時バランスをとるのに用いられる。


「ラダーレフト」

この時奏が踏んだペダルをラダーペダルと言う。ラダーを動かす際は滑らすように踏み込み、ブレーキをかける時は、踵を支点にしてつま先の方で押すようにするとブレーキがかかる。ブレーキは左右独立しているので、右足で押し右タイヤだけブレーキかけるなんてこともできたりする。


「air nippon 225(←適当) contact tower 118.1」

「contact tower 、air nippon 225」

「air nippon 225、wind 110 at 2 cleared for takeoff 」

「cleared for takeoff air nippon 225、」


橋を渡り、奏は管制からの離陸許可を復唱したら、ランディングライト、ストロボライト(翼端で白く点滅する)をつける。


小出はチラー(飛行機のタイヤのハンドル)を操作して滑走路の中央線に機体を合わせる。


「オッケー行こう」

「はい。ランウェイ05 takeoff 」

小出はスラストレバーをパワー50%にセットする。

「N1チェック」

「チェックスタビライ」

小出はTO/GAスイッチ(離陸パワーに自動で合わせてくれるスイッチ)を押し、離陸中断の際にスラストレバーをすぐに戻せるようしっかりと握る。

「パワーセット」

奏もスラストレバー(ジェットエンジンのアクセル)に手を添え、離陸中断に備える。

「80」

「チェック」


「V1」

奏がコールすると小出は左手をスラストレバーから離し操縦桿を握る。

V1とは離陸決心速度である。使用する滑走路のコンディションや機体性能などで決まり、この速度を超えると離陸を中断した際、安全に飛行機を止めることができなくなる。この速度を超えた後にエンジンが片方壊れたとしても離陸を継続した方が安全なので、スラストレバーから手を離すのは離陸を中断しないという意志を明確にするための動作だ。V1を超えた後何かトラブルが起き、迷ってパワーを絞ってしまったら、それこそ大惨事である。


「ローテイト」

奏がコールすると小出は操縦桿をグッと引く。B787はギヤ部が短く、機体と地面との距離が近い。なので乱暴に操縦桿を引くと機体後部を地面と接触させてしまう。しかし引かな過ぎると機首上げしてくれないので、その塩梅が難しい。


「V2」

V2は安全離陸速度と呼ばれ、この速度を下回る場合は安定した状態を保てなくなる。V2のコールはその速度を超えたことを意味する。


「ポジティブレート」

「ギヤアップ」

「ギヤアップ」


小出が着陸装置の格納を指示し、奏はその操作を行う。

05を離陸後はすぐにライトターンし海上を飛ぶようにする。


「air nippon 225 contact departure 119.1」

「1191 air nipppon 225」


この時間帯は航空機で混み合ってて、管制官も忙しいので挨拶はしない。心の中ではしてるけどね。


「Tokyo departure air nippon 225 now leaving 1500 climb to FL170」

「air nippon 225 reader contact turn right heading 140」

「right heading 140 air nippon 225」


風に揺られながら飛行機はグングン上昇していく。その先の更なる右旋回で着陸機と航路が交差するため、高度差をしっかり稼がなければならない。


「air nippon 225 turn right heading 240」

「turn heading 240 air nippon 225 」


その後奏はオートパイロットのスイッチを入れる。ランディングライトを消し、ワイパーも止め右手をフラップに伸ばす。


「フラップ5」

「スピードチェック フラップ5」


小出の指示で、あらかじめ伸ばしていたフラップを操作する。


飛行速度は管制から指示かない限りパイロットが自由に決められる。これから後ろがどんどん来るので早めに制限速度ギリギリまで加速しておく。


「フラップアップ」

「スピードチェック フラップアップ」


飛行機は時折ガタガタと揺れながら雲を通り抜けていく。奏は目視で避けるべき雲がないか探したり、燃料の減り方に異常がないかなどを確認する。

静岡に近付いてきた辺りで揺れがなくなってきたので、予定より少し早いがシートベルトサインを消す。

レフトターンを開始して那覇空港に向けて進路をとった。

航空無線では聞き間違え防止でフォネティックコードが使われています。

Aはアルファ、Bはブラボー、Cはチャーリー、Zはズール。このようにDEのように聞き分けが困難なものでも、デルタエコーといえばはっきり分かります。

9(ナイン)は、ナイナーといいます。ドイツ語のNoがナインって言うらしくその間違え防止などと聞きますが実際のところはよく分かりません。かっこいいからかな?

119.1であれば、ワンワンナイナーデシマルワン、もしくはワンワンナイナーポイントワンのように言います。その後パイロットは1191(ワンワンナイナーワン)と端折ります。奏も端折ります笑

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