第76話 長崎旅行その7
最後の目的地である伊王島に着いた。
ここでプールと温泉を楽しんで、そのまま帰る予定だ。
バスを降りると「バスに酔った?顔色悪いよ」と、美明が聞いてくる
「いや平気。なんでもない」
「なんでもなくはないでしょ。気になるじゃん」
そう言って逆方向に歩き出すが、ツッコむ気力もなかった。
遊理香が美明にツッコんでプールへと向かう。
僕はなんとか水着に着替えた。
まずは屋内プールだ。
水着に着替えた3人がやってくる。
僕もそうだが、4人とも露出は少ない。
遊理香がやってきて「露出少なくて残念?そっちは後のお風呂でね」とウインクをした。
しかし僕の反応がよくなかったのか、顔を覗き込み心配しだす。
「隼人どこかで休んだ方がいいんじゃない?」
「ああ、大丈夫」と力ない返事をする。
美明と静羽もやってきて心配しだす。
結局僕は休憩所で休むことになった。
3人には申し訳ないと思う。
3人は森をイメージしたボタニカルサークルスパやプール内にテーブルなどがあるリビングスパに入ったみたいだ。
シルク風呂やジャグジーもあったとか。
後で聞いた話なので僕はわからないが。
休憩所で横になっていると静羽がやって来た。
「隼人さん、大丈夫ですか」
「心配をかけてごめん。体はなんともないよ。考え事をして気分が悪くなっちゃった」
「もしかして私のせいですか?私が隼人さんに告白したから」
僕は落ち込む静羽に話し出した。
「僕には好きな人がいたんだ。でもその人は急にいなくなってしまった。ところがずっと身近にいたことがわかったんだ」
静羽が真剣な顔で僕の話を聞いている。
「その人のことはすごく気になる。でもそれと同じぐらい静羽のことも気になる。僕は不誠実な男なんだ」
少し経ってから、静羽が話し出す。
「隼人さんにそういう人がいたのですか。美明さんかな。でも私の気持ちは変わりません」
「ありがとう」
「私の方こそありがとう。私のことをこんなにも考えてくれて」
そして静羽はみんなのところへ戻っていった。
柱の陰にいた美明に気づかないまま。
静羽が去ると美明がやってきた。
「隼人君……」
「美明どうした」
美明が僕の手を握る。
そして、僕の唇にそっとキスをした。
「えっ」
「じゃあ。またすぐに来るよ」
そう言って美明が去って行った。
僕はもう、何がなんだかわからなくなっていた。
頭が追いつかない。
3人はプールを早めに切り上げた。
そして東京へ戻ることになった。
バスで一旦長崎駅に戻り、そこからリムジンバスで空港へ向かった。
行きと違って3人は口数が少ない。
僕のせいだ。
申し訳なく思った。
空港へ着くと搭乗手続きをして羽田行きへ乗る。
帰り隣の席は静羽だった。
静羽は何も言わずにいてくれた。
少し経って静羽を見た。
静羽は笑顔で対応してくれた。
僕は静羽は本当にいい子だと思った。
それだけに心が痛い。
さっき美明とキスをしたことを。
心が大きく揺れたことも。
飛行機が羽田に着いた。
後はモノレールと電車を乗り継ぐだけだ。
しばらくして地元の駅に着いた。
家まで送っていくと言う3人に大丈夫と言い、僕は家に帰って来た。
帰るとベッドで横になる。
このままじゃいけない。
はっきりさせないといけない。
そんな時、美明から連絡が。
「実は3人でプールで話していました。私たち3人、バレンタインで隼人君に告白します」
僕は「えっ」と思いながら続きを読む。
「そこで誰かを選ぶか、3人を振るか選んで欲しい。私たちのわがままなお願いです」
少し考え、「わかった」と返信した。
僕は……




